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高度画像処理・AI(機械学習)の技術開発・コンサルティング 医療・ヘルスケア分野への適用事例

AI(人工知能)・機械学習の技術コンサルティング、既存手法の評価や新規手法の研究開発、ソフトウェア開発などの支援を行うことで、お客さまのシステム自動化・高度化に伴う課題解決、および研究開発の加速を支援いたします。

当社では、下記以外にも、さまざまな分野におけるお客さまの広範な技術課題の解決のサポートをしております。以下の適用事例もご参照ください。

高度画像処理・AI(機械学習)の技術開発・コンサルティング

【事例1】胸部X線画像からの肺がん検出

当社と公立大学法人福島県立医科大学は、2019年より胸部X線画像に対するAIによる異常検知の実用化に向けた共同研究に取り組みました。

この共同研究は、読影医の負担軽減を目的として、ディープラーニング(深層学習)を用いてX線画像から肺がんの疑いがあるものを推定する取り組みです。福島県保健衛生協会から提供を受けた853枚(正常401枚+肺がん疑い452枚)の胸部X線の画像データを教師データとして用い、ディープラーニングにより肺がん疑いを推定し、ROC-AUC*1 0.80を達成しました。この検出精度は、同じくディープラーニングを用いて肺疾患の推定を試みたRajpurkarらの先行研究*2における、X線画像での見え方が肺がんに近い結節の検出精度ROC-AUC 0.78に匹敵します。今後も実用的な精度の達成に向け、データの拡充や医学的知見の活用を予定しています。

この共同研究においては、Rajpurkarらの先行研究*2を参考に、説明可能なAIの1手法であるCAM(Class Activation Mapping)を利用してディープラーニングの判断における注目領域の可視化についても試みました。下図左側の画像は、ChestX-ray14*3にて結節に分類されるデータであり、当社の試行においても疾患の疑いがあると判定されたものです。読影医により疾患の疑いがあると判断された領域を青丸で示しました。同じ画像を入力としてAIが判定の際に注目した領域を CAMにより可視化した結果が下図右側の画像です。青色部分は反応が弱い部分、赤色部分は反応が強い部分を示しています。肺の疾患の疑いがあると読影医によって判断された箇所を含む胸の中央領域に、AIが強く注目したことが確認できます。

図1

※ChestX-ray14*3の胸部X線画像に、当社が加工を行ったもの。

  • *1ROC-AUC(Area under an ROC curve):二値分類における評価指標。横軸に偽陽性率(陰性データのうち、陽性と予測したデータの率)、縦軸に真陽性率(陽性データのうち、陽性と予測したデータの率)を取ったROC曲線の下側面積であり、0から1の値を取る。1に近いほど精度が高く、完全ランダムの場合0.5となる。
  • *2Pranav Rajpurkar, Jeremy Irvin, Kaylie Zhu, Brandon Yang, Hershel Mehta, Tony Duan, Daisy Ding, Aarti Bagul, Curtis Langlotz, Katie Shpanskaya, Matthew P. Lungren, Andrew Y. Ng, "Chexnet: Radiologistlevel pneumonia detection on chest x-rays with deep learning." arXiv preprint arXiv: 1711.05225 (2017)
  • *3ChestX-ray14: National Institutes of Health (NIH)のNIH Clinical Centerにより提供されている胸部X線データセット(https://nihcc.app.box.com/v/ChestXray-NIHCC)。Xiaosong Wang, Yifan Peng, Le Lu, Zhiyong Lu, Mohammadhadi Bagheri, Ronald Summers, "ChestX-ray8: Hospital-scale Chest X-ray Database and Benchmarks on Weakly-Supervised Classification and Localization of Common Thorax Diseases." IEEE CVPR, pp. 3462-3471, 2017

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 形状検出, セマンティクセグメンテーション, 異常検知, ディープラーニング(深層学習), 説明可能なAI(XAI), DenseNet, 読影, 肺がん, CAM

【事例2】3次元顔画像の加齢シミュレーション

警察庁科学警察研究所の顔画像の加齢化技術の研究に対して、画像解析、形状解析およびシステム化を支援しました。科学警察研究所と当社は、同一人物の経年変化を10年単位で計測した約150名分のデータを含む、約800名の三次元形状と顔テクスチャからなる三次元顔画像を元に機械学習を行いました。

初めに、三次元顔画像データから作成したさまざまな角度の二次元顔画像データを組み合わせて機械学習を行い、三次元画像と二次元顔画像の関係性を学習させることで、二次元の顔画像から三次元の顔画像を推定するモデルを開発しました。また、顔の特徴と加齢変化について機械学習を行い、顔の三次元形状と顔テクスチャの経年変化を推定するモデルを構築しました。これにより、顔が映った写真などの二次元画像から三次元の顔画像を推定し、加齢シミュレーションを行うことで、さまざまな角度からみた加齢画像を推定することが可能となりました。(「加齢化予測システム、加齢化予測方法及び加齢化予測プログラム」特許第5950486号)

図2

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 回帰, AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 学習, 回帰, 三次元画像, 加齢シミュレーション

【事例3】3次元CT画像への腫瘍画像合成

下図は当社が保有する、違和感なく2枚の画像を合成する技術を応用して、正常例の門脈相CT画像に切り出した転移性肝腫瘍画像を3次元的に埋め込んだ事例です。この手法を用いて作成した合成画像は日本医用画像学会が主催するCADコンテスト2013*1において第2位に入賞しました。このコンテストは、CAD研究が対象とする疾病サンプルの不足を補うことを目的としており、この様な技術は、今後のCAD研究への貢献が期待できます。

図3

※CT画像提供:JAMIT医用画像データベース

  • *1CAD:コンピュータ支援診断(Computer-aided Diagnosis)
    2013年度の課題は、「3次元腹部CT像への肝腫瘍の埋め込み」でした。

【事例4】PETの画像再構成

CTやPETなどの放射線診断では、患者被爆量の低減のため、低線量で撮影したノイズを含む低解像度の測定データから高精度な画像を再構成することが求められます。これを実現するものとして従来の解析的手法に代わる逐次近似計算による画像再構成手法が注目されています。一方で、逐次近似計算による画像再構成は計算量が膨大になるため、実用化には計算時間の短縮が不可欠です。この課題に対し、当社は放射線医学総合研究所と共同で、GPUを用いた大規模並列計算によるPET画像再構成の高速化に適した収束性の高い逐次近似型画像再構成アルゴリズムの開発に取り組み、世界最速水準の画像再構成高速化手法を開発しました。下図は、この開発した画像再構成手法を適用したファントムのPET再構成画像です。

図4

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キーワード

画像合成,画像再構成,CT,PET,高速化