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高度画像処理・AI(機械学習)の技術開発・コンサルティング 製造分野への適用事例

AI(人工知能)・機械学習の技術コンサルティング、既存手法の評価や新規手法の研究開発、ソフトウェア開発などの支援を行うことで、お客さまのシステム自動化・高度化に伴う課題解決、および研究開発の加速を支援いたします。

当社では、下記以外にも、さまざまな分野におけるお客さまの広範な技術課題の解決のサポートをしております。以下の適用事例もご参照ください。

高度画像処理・AI(機械学習)の技術開発・コンサルティング

【事例1】鋳造部品の欠陥検出

機械学習においては、学習データとして大量の画像を用意する必要がありますが、実際には学習データを大量に用意することが困難なケースがあります。鋳造部品の撮影画像から欠陥を検出するというテーマで開催された外観検査アルゴリズムコンテスト2013*1も、学習データが非常に少ないケースでした。当社は、統計的なばらつきを考慮しつつ学習データを擬似的に増やすことで、複雑な鋳造部品の画像から欠陥領域を正しく検出し、誤検出をゼロに抑えることに成功しました。この手法は同コンテストにて「最優秀賞」を受賞しました。

図1

※鋳造部品画像提供: 外観検査アルゴリズムコンテスト2013

  • *1精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催する、外観検査プログラムの性能を競うコンテスト。

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 欠陥検出, 外観検査, 特徴抽出, 異常検知,サポートベクターマシン(SVM), サンプル抽出

【事例2】X線CT画像からの鋳巣(空洞欠陥)の検出

鋳造製品の非破壊検査の方法の1つに、X線CTによる内部検査があります。外観検査アルゴリズムコンテスト2019*1は、CT画像から鋳巣(製品内部の空洞)を検出するというテーマで開催され、当社はディープラーニング(深層学習)を用いた手法を提案しました。

大域的な連続性を考慮しつつ鋳巣の細かな形状を推定するために、低解像度の特徴と高解像度の特徴を同時に考慮する新しい小型のニューラルネットワークを考案し、データ拡張や学習の目的関数の工夫も行いました。この手法は、同コンテストにて「最優秀賞」を受賞しました。

図2
図3

※入力画像, 正解ラベル情報提供: 外観検査アルゴリズムコンテスト2019。
ただし正解ラベルは当社により加工してラベルごとにランダムに色付けをして表示。

  • *1精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催する、外観検査プログラムの性能を競うコンテスト。

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 形状検出, セマンティックセグメンテーション, 異常検知, 鋳巣抽出, ディープラーニング(深層学習)

【事例3】X線CT画像からの部品カウント・欠陥検出

X線CT画像の解析により、3次元的に積み重なった物体の検出・カウントが可能です。外観検査アルゴリズムコンテスト2020*1では、容器内に格納された多数の工業部品を種類ごとにカウントすることがテーマとなりました。また外観検査アルゴリズムコンテスト2021では、容器内の部品に混在する欠損・変形部品の検知、および種類ごとのカウントがテーマとなりました。

撮影されたX線CTによる3次元データのデータ量は大きく、そのまま扱うと計算機リソースが大量に必要となります。当社は、3次元データを複数視点の2次元画像群に変換し、複数視点画像による形状認識を行うMV-CNN*2を用いることで、高速かつ省メモリで推定を行う手法を提案しました。

この手法は、2020年のコンテストにて「最優秀賞」を、2021年のコンテストでは「理研ボクセル賞」を受賞しました。

図4

※画像提供: 外観検査アルゴリズムコンテスト2020

  • *1精密工学会 画像応用技術専門委員会が主催する、外観検査プログラムの性能を競うコンテスト。
  • *2H. Su, S. Maji, E. Kalogerakis, Erik Learned-Miller, "Multi-view convolutional neural networks for 3d shape recognition. " Proceedings of the IEEE international conference on computer vision. (2015).

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, 形状検出, セマンティックセグメンテーション, 異常検知, 鋳巣抽出, ディープラーニング(深層学習)

【事例4】電子顕微鏡画像中の粒子認識

リチウムイオン二次電池の電極構造を電子顕微鏡で撮影すると、粒子状の物質(電極活物質)が充填されている様子が観察されます。この電極構造は多孔体電極構造と呼ばれ、その活物質粒子の充填率、粒子径、表面積、接触状態が、電池の性能を大きく左右することが知られています。これらの情報は、製造した電池の性能評価に使用でき、また、電池の性能シミュレーションを実行する際にも有用です。

下の左図は、リチウムイオン二次電池の電極を集束イオンビーム(FIB)によって削りだした断面の電子顕微鏡撮影画像で、この画像に対し粒子認識技術を適用し、活物質断面の輪郭抽出を試みた結果、自動的に捉えることに成功しました(右図)。この技術を電子顕微鏡の積層画像に適用することで、電極の内部構造を3次元的に自動で再構成することが可能となり、前述の多孔体構造情報を定量的に、再現性高く取得することが可能となります。

図5

※画像提供:九州大学 井上元 准教授(当時)

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キーワード

SEM、電顕画像、電子顕微鏡、粒子解析、粒子認識、リチウムイオン電池、多孔体、多孔質材料

【事例5】良品学習の外観検査への適用

工場の製造ラインでの異物混入や汚れの付着、損傷箇所の発生などによる不良品を検出する外観検査においては、異常データを網羅的に取得することは多くの場合困難です。

このようなケースにおいて、正常データのみを学習させて正常/異常データを判別する「良品学習」という手法が考案され、その一つに、画像の次元圧縮及び再構成を利用した方法があります。これは、正常データを用いて学習した次元圧縮・再構成構造を利用すると異常個所も正常な状態に再構成される傾向を利用して異常を検知します。

当社では、次元圧縮・再構成の構造にAuto EncoderやDenoising Auto Encoder、pix2pixなどを用いた異常検知について検証を進めています。なかでもpix2pixを用いた方法では、電子基板を模した模擬画像の異常検知試行において、分類の指標であるROC-AUC*1がシミ状欠陥に対して0.934, 糸くず状欠陥に対して0.948となり、異なる傾向の異常に対して安定した異常検出性能を示しました。

  • *正常パターンがあまり複雑でない状況など、精度を得るには条件があります。
図6
  • *1ROC-AUC(Area under an ROC curve):二値分類における評価指標。横軸に偽陽性率(陰性データのうち、陽性と予測したデータの率)、縦軸に真陽性率(陽性データのうち、陽性と予測したデータの率)を取ったROC曲線の下側面積であり、0から1の値を取る。1に近いほど精度が高く、完全ランダムの場合0.5となる。

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キーワード

AI(人工知能), 機械学習, パターン認識, クラス分類, 二値分類, 形状検出, 異常検知, ディープラーニング(深層学習), 良品学習(1-class分類, 半教師あり異常検知), Auto Encoder(AE), Denoising Auto Encoder, pix2pix, 電子基板画像