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LDA+U法による酸化チタンの電子構造解析

背景及び目的

  • 酸化チタンは光触媒材料としてしられていますが、紫外線照射下でないと活性を示しません。そこで種々の不純物をドープすることにより可視光応答する材料の開発が行われています。
  • 可視光で活性を示さないのはバンドギャップが大きいためで、可視光を吸収できないことが原因です。
  • どのような不純物をどの程度ドープしたらよいかをシミュレーションで評価することが期待されますが、一般にLDAではバンドギャップが実験値に比べて小さくなることが知られています。
  • 実験とより定量的に比較できるようにするために、LDA+U法を用いたバンドギャップの計算を試みました。

解析事例

  • アナターゼ型およびルチル型酸化チタンのバンドギャップをLDAとLDA+U法(Ueff=10eV)で計算しました。

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酸化チタンのバンドギャップ [eV]

手法 直接バンドギャップ バンドギャップ

アナターゼ

LDA

2.1

1.9

アナターゼ

LDA+U

3.5

3.2

ルチル

LDA

1.7

1.7

ルチル

LDA+U

2.8

2.8

成果及び展望

  • LDA+U法を用いることにより、バンドギャップが実験値(アナターゼ型3.2eV,ルチル型3.0eV)に近い値を得ることができました。
  • 展望としては窒素、硫黄等種々の不純物をドープすることによりバンドギャップがどの程度小さくなるかを調べて可視光応答材料の探索に寄与することが考えられます。

TiO2の状態密度(LDA)

TiO2の状態密度(LDA+U)

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担当:サイエンスソリューション部

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