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津波解析サービス BCM津波シミュレータ

  • BCM津波シミュレータ

みずほリサーチ&テクノロジーズでは、BCMによる津波シミュレータを開発しました。BCM(Building Cube Method:参考文献1)は従来のネスティング手法に変わる手法で、計算メッシュの自由度が高く海岸線に合わせて詳細メッシュを配置することが可能なため、広い範囲の津波解析を短時間で実施することが可能です。みずほリサーチ&テクノロジーズでは、BCM津波シミュレータを用いた広域の津波浸水解析サービスを提供します。詳細はお問い合わせください。

参考文献1) Nakahashi, K. et al.: Building-Cube Method for Large-Scale, High Resolution Flow Computations, AIAA Paper 2004-0423.

BCMの特徴

BCMは小規模な直交メッシュ(Cubeと呼ぶ)を大量に組み合わせて計算する手法です。サイズの小さなCubeを地形に合わせて配置することが可能なため総メッシュ数を削減できます。更に、最小サイズのメッシュ内に水深の大きな点が含まれることによる計算効率の悪化を回避することができます。また、構造格子としてプログラムされているためメモリアクセスが速く、計算速度が速いという特徴があります。

図1

Cubeの組み合わせの概念図

図2

実際のメッシュの例

機能

本シミュレータ(参考文献2)の機能を以下に示します。現在は並列計算にも対応しています。各コアがほぼ同数のCubeを受け持つため、コア間の負荷バランスはほぼ均等になり高い並列性能が得られます。

参考文献 2) 荒木, 筧, 秋山: “BCMを用いた津波解析シミュレータ”, みずほ情報総研技報 Vol.8
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/giho/pdf/008_06.pdf(PDF/1,500KB)

物理モデル

項目 特徴

支配方程式

非線形長波理論に基づく連続の式と運動方程式

座標系

経緯度座標系

地盤変動

Okada(1985)のモデル

開境界

Sommerfeld型の無反射境界

陸上境界

遡上先端で流量制限

海底摩擦

Manningの粗度係数を用いる方法

防潮堤

防潮堤を考慮(本間の越流公式による流量制限)

数値計算法

項目 特徴

離散化方法

スタッガード・メッシュを用いた差分法

時間積分

リープ・フロッグ法(陽解法)

移流項

1次風上差分

計算格子

BCMに基づく格子を適用

解析事例

東北地方太平洋沖地震津波(2011)の地震発生後3時間の再現計算です。波源断層モデルは、藤井・佐竹モデルver.8を使用しています。この計算では、日本全域の海岸線・遡上域を約250mメッシュで計算(総メッシュ数約900万)しており、1台のPC(Intel Xeon E3-1220v2 4コア)を用いてリアルタイムに近いスピードで計算(計算時間3時間21分)しています。

日本全域の水位分布(アニメーション)

仙台付近の水位分布(計算メッシュを重ねがき)(アニメーション)