みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(以下 みずほリサーチ&テクノロジーズ)とNTTドコモビジネス株式会社(旧 NTTコミュニケーションズ株式会社、以下 NTTドコモビジネス)は、Catena–Xやデジタル製品パスポート(DPP)などへの対応として注目されるデータスペースを介した温室効果ガス排出量のデータ連携支援を通じ、企業課題を解決するソリューション提供に向けた取り組みを開始します。
背景・概要
地球温暖化や気候変動がもたらす社会課題が世界的に注目を集める中、温室効果ガス(以下 GHG)の排出削減に向けて、GHG排出量を算定し、その結果をサプライチェーン全体で連携することへの関心が高まっています。
ドイツ企業を中心に設立されたCatena–X*1では、自動車産業のサプライチェーン上の企業間で製品のGHG排出量データの連携が開始されました。また、2024年7月に施行されたエコデザイン規則では、DPPが導入されることが規定され、欧州で販売される製品はDPPを通じて製品のサステナビリティ等に関する情報を電子的に提供していくことが義務化される予定です。国内においても、2025年2月に公表された「GX2040ビジョン*2」において、サプライチェーンを通じた企業・業種横断的なデータ連携の仕組みの整備が進められることも謳われるなど、企業間でのGHG排出量のデジタル基盤上の連携が進み始めました。
企業においては、これまでのGHG排出量の算定に加えて、このデジタル基盤の中で企業間の安全かつ効率的なデータ共有への対応が急務となっています。
検討を開始する協業の内容
こうした背景を踏まえ、GHG排出量算定分野に強みを持つみずほリサーチ&テクノロジーズと、デジタル基盤の一つである「データスペース*3」への接続サービスに強みを持つNTTドコモビジネスは、GHG排出量算定からデータスペースを介した算定後のデータ連携まで、お客様をシームレスにサポートするための協業に向けた取り組みを開始します。
具体的には、みずほリサーチ&テクノロジーズは、製品カーボンフットプリント等GHG排出量の算定に関わるコンサルティングサービスを、NTTドコモビジネスは算定後のデータのデータスペースを介した連携に関わる支援を担当することを想定し、検討を進めていきます(下図イメージを参照)。
産業界においては、日本を含むグローバルでデータスペースの構築が進む中、サプライチェーン全体でGHG排出量データを連携する動きが今後活発化すると見込まれます。みずほリサーチ&テクノロジーズとNTTドコモビジネスは、Catena–Xを端緒として協業に向けた取り組みに着手するとともに、将来的にはさらに多様なデータスペースへの接続を可能とする体制の構築も視野に入れています。

参考:多様かつ複雑化する算定ルール及びデジタル基盤への対応
製品カーボンフットプリントの算定ルールや算定結果を交換するデータ交換方法は多様化しつつあります。例えばCatena–Xと欧州電池規則*4では、算定ルールもデータ交換方法もそれぞれ異なる方式を採用しており、さらにスコープ3排出量の一次データ化を目指すPACT(Partnership for Carbon Transparency)や、化学業界の製品カーボンフットプリントの算定ルールおよびデータ交換の共通化を目指すTfS(Together for Sustainability)なども、それぞれ固有の算定ルールやデジタル技術を用いたデータ交換方法の確立と普及を目指しています。
こうした状況の下、製品納入先(バイヤー)から製品カーボンフットプリントに関するデータ連携を求められた際には、多様な算定ルール/デジタル基盤が存在する中で、どのように対応すればよいかわかりにくい状況が生じ始めています。今回、このような課題に対し、みずほリサーチ&テクノロジーズの豊富なGHG排出量算定支援の経験と、NTTドコモビジネスのデータスペース領域における先駆的ノウハウを組み合わせることで、お客様に適切な支援を提供できる体制の構築を目指しています。

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社について
製品カーボンフットプリント算定(そのもととなるLCA)について30年以上、スコープ1・2・3排出量算定について15年以上、いずれもその検討が始まった時期から現在に至るまで関連する多くの知見を積み重ね、国内外の有識者、先進的に取り組んでいる企業と深い関係を構築してきました。さらには、この知見やネットワークを基に、国内外の政策に用いるルール、業界のルール、データ連携に向けたルールなどの策定に多く携わるとともに、民間企業様の算定体制・システムの構築、第三者検証への対応まで支援しています。
特定の商品・サービスに対するLCA・CO2排出量「見える化」の実施サービス 概要
NTTドコモビジネスについて
日本企業の中でもいち早く2022年よりCatena–Xに参画するだけでなく、お客様がデータスペースを利用するための実証実験を積極的に支援する等、データスペース領域の先駆者として位置付けられます。
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*1Catena–X
自動車サプライチェーンに関する企業等が参加する国際アライアンス。データが企業や国境を越えて安全かつ効率的に交換される、グローバルに接続された産業の確立を目指している。 -
*2GX2040ビジョン
正式名称は「GX2040ビジョン ~脱炭素成長型経済構造移行推進戦略 改訂~」であり、GX(グリーン・トランスフォーメーション)の推進に向けて2025年2月18日に閣議決定された。同ビジョンでは「サプライチェーンを通じた企業・業種横断的な温室効果ガス排出量についてのデータ連携の仕組みの整備を進める」ことが示されている。 -
*3データスペース
データの主権を確保しつつ安全に運用できるデジタル基盤技術。Catena–Xにおいてもデータスペースが活用されており、国内では2025年5月に経団連が「産業データスペースの構築に向けた第2次提言」を公表するなど、国内外でデータスペースを活用したデータ連携に関する取り組みがさらに拡大していくことが見込まれている。 -
*4欧州電池規則
欧州で販売される電池を対象として、カーボンフットプリントやリサイクル、デューデリジェンス等の観点から規定しており、2023年8月に施行。規則の一部にBattery Passportが含まれており、QRコード等を通じて電池情報にアクセスできるようになること等が定められている。
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サステナビリティコンサルティング第1部 環境エネルギー政策チーム 桐原
サステナビリティコンサルティング第2部 環境ビジネス戦略チーム 西脇