見通しのポイント
- 世界経済は、AI関連需要の高まりや株高による資産効果が追い風となり、2025年は前年を上回る成長率で着地する見込み。2026年はAIブームがソフトランディングに向かう中、貿易・投資フローの変化を伴いつつ財政・AIが押し上げ要因となり、3%台の成長を維持する見通し
- 米国は、関税影響は徐々に顕在化も、データセンター投資の急拡大や株高の支えもあり、景気は緩やかな拡大が継続。2026年はAI投資や株高による資産効果が一服する一方、中間選挙に向けた減税が成長を後押し。 FRBは雇用の悪化に配慮し2026年1~3月期に利下げ後、インフレ再燃を警戒し金利を当面据え置き
- 欧州は、2025年は前年を上回る成長率で着地する見込みながら、景気回復のペースは各国間で格差。エネルギー高など構造問題は残るも、2026年は防衛費増や独のインフラ投資などの財政拡張が押し上げ、内需主導で成長は加速へ。景気は上向くものの労働需給はひっ迫せず、ECBは政策金利を当面2%に据え置く見通し
- 中国は、国産化進展等を背景に外需が堅調に推移し、2025年は政府目標の「+5%前後」の成長を達成する見込み。 2026年は補助金効果のはく落やインフラ投資の減少により内需の減速が鮮明に。アジアはAI関連輸出が足元の成長をけん引も、2026年は関税影響による輸出減や中国製品の流入増で景気は減速する見通し
- 日本は、省力化・脱炭素対応等の設備投資需要や高水準の賃上げ継続が内需を下支えするもと、総合経済対策の効果発現が2026年度の成長率を押し上げ。食品価格高騰の一服や物価高対策によりインフレ率は2026年度前半に一旦鈍化するも、継続的な賃金上昇を背景に年度後半に再び2%へ向け上昇する見込み
- 日銀は12月会合で政策金利を0.75%に引き上げ。その後も円安が継続するなか、2026年7~9月期に1%への追加利上げを予想。利上げ後も実質金利はマイナスであり、財政懸念もくすぶるもとで円高圧力は限定的。ドル円相場は2026年前半は1ドル=150円台前半、年末には150円台後半まで円安が進展する見通し

