2011年7月12日
みずほ情報総研株式会社

みずほ情報総研株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：井上 直美）は2011年7月13日より、MEMS分野の製造における開発試作などを主対象としてX線CT装置による3次元構造計測とシミュレーションを活用した、国内初の3次元構造・特性解析ソリューション「3次元キャラクタリゼーション」の提供を開始します。

製造業における開発試作では、設計ツールである3次元CADの浸透、CADとCAE^*1ツールの連携強化、計算機の高速化によるシミュレーションの活用により、設計時に機械特性等を予測し、試作回数の削減、開発期間の短縮などの効率化が図られています。

しかし、設計時に予測した特性と計測により得られる試作品の特性との差異が大きい場合には、意図した特性を実現するため設計や製造工程を見直す必要があります。通常は、試作品の形状が設計通りであるかどうかの確認を行い、原因の特定を始めます。試作品の3次元構造のうちどの箇所が特性に強く影響しているのかを特定することもまた必要です。もしも、このような情報が得られず設計の見直し方針が定まらなければ、特性の改善のため設計・試作・計測を繰り返すことになり、製品開発のボトルネックとなります。

みずほ情報総研では、このような課題の解決に向け、国内最高レベルの空間分解能を持つ産業用マイクロX線CT装置による計測技術と、独自のシミュレーション技術による分析とを組み合わせた、MEMS分野で国内初となる下記の3次元構造・特性解析サービスを提供します。

• 空間分解能１ミクロンのマイクロX線CT装置を用いてMEMSの3次元構造を内部まで計測
• 計測した3次元構造をCAD/CAEなどのデジタルデータ化
• 設計と試作品との3次元形状差異を評価
• シミュレーションにより、3次元形状差異による特性への影響を分析
• 3次元形状差異や再現性の評価、特性への影響の分析により、設計・製造工程の改善方針を示唆

これにより、製品の開発効率向上・期間短縮、試作回数削減による省資源・省エネルギー化、製造の容易さを考慮した設計による歩留まり向上などが期待できます。

当初は、微細加工部品であるMEMS^*2へのソリューション提供となりますが、今後は、精密機械・精密機械部品をはじめとした機械製造分野へのサービス提供も展開する予定です。

1. *1CAE（Computer Aided Engineering）
   シミュレーション技術を活用して製品の設計、製造や工程設計の事前検討の支援を行うことや、それを行うツールである。
2. *2MEMS（Micro Electro Mechanical System：微小電気機械システム）
   電気回路（制御部）と微細な機械構造（駆動部）を融合し、ひとつの基板上に集積させた部品。半導体製造技術やレーザー加工技術など各種の微細加工技術を用いて製造され、主にインクジェットプリンタのヘッド部にある微小ノズルや圧力センサー、加速度センサー、流量センサーなどに活用されている。今後、情報通信、医療・バイオ、自動車、ロボット、航空・宇宙、福祉など多様な分野における小型・高精度で省エネルギー性に優れた高性能のキーデバイスとして期待されており、国内製造業における基幹部品の国際競争力強化などの観点から、重要な分野である。