2013年2月28日
みずほ情報総研株式会社

みずほ情報総研株式会社（本社：東京都千代田区、代表取締役社長：井上 直美）は、2013年3月1日より、バイオ分子相互作用シミュレータ「MIZUHO/BioStation」^*1をクラウドサービスにて提供開始いたします。本サービスは、財団法人計算科学振興財団が運営する「FOCUSスパコン」^*2を利用したクラウド型のサービスです。

「MIZUHO/ BioStation」は、フラグメント分子軌道（FMO）法^*3計算プログラム「MIZUHO/ABINIT-MP」と、解析条件の設定や結果の可視化をサポートする「MIZUHO/BioStation Viewer」から構成される量子化学計算ソフトウェアです。FMO法を適用することにより、従来は計算が困難であったタンパク質やDNAなどの大規模分子の電子状態や相互作用を高速かつ高精度に解析することを実現します。これまで主に、インフルエンザウイルスの膜表面タンパク質にかかわる抗原抗体反応や抗ウイルス薬タミフルの酵素‐阻害剤結合、肺がんの分子標的薬とのドッキングなど、さまざまな分子認識における相互作用の解明に貢献した実績を有しています。さらに、フラグメント展開を4体まで拡張したFMO4法、および4体補正まで考慮したフラグメント間の相互作用エネルギー（IFIE）解析機能を新たに実装することにより、医薬分子設計において官能基^*4ごとの詳細な相互作用解析が可能となり、医薬品開発の効率化が期待できます。

今回新たに提供を開始するクラウド型サービスの利用により、お客さまが独自にハードウェアの保有・管理、計算機環境の構築を行うことなく、手軽にインターネット経由で安価（月額利用料22万円）に大規模分子の量子化学計算を行うことが可能となります。なお、本サービスでは、MIZUHO/ BioStationの技術サポートも提供いたします。

みずほ情報総研では、本サービスの提供を通じ付随するコンサルティングサービスやシステム構築を含めて、今後2年間で1億円の売上を見込んでおります。

• *1「BioStation」は、国立大学法人東京大学生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センターが中核となり推進している文部科学省次世代IT基盤構築のための研究開発「イノベーション基盤シミュレーションソフトウェアの研究開発」プロジェクトにおいて開発したソフトウェア。みずほ情報総研は、プロジェクト発足時の2008年より同研究開発に参画し、「MIZUHO/BioStation」として商用ライセンスを取得している。
• *2FOCUSスパコンは、スーパーコンピュータ「京」の産業利用の促進を図り、産業界のスパコン利用企業層を拡大するための技術高度化支援を中心とした供用のほか、産学連携研究や実践的な企業技術者の育成を推進することを目的として、国の補助金によって計算科学振興財団（FOCUS）に整備された産業界専用のスーパーコンピュータ。208ノード2496コアの演算サーバ（Aシステム）、2ノード合計1024GB（ノードあたり512GB）の大容量メモリのデータ処理サーバ（Bシステム）、38ノード合計456コア（ノードあたり12コア、内16ノードはAシステムと一体運用）のノード内並列向け演算サーバ（Cシステム）、京へのステップアップに役立つSPARC64サーバの4タイプのシステムから構成される。
• *3タンパク質やDNAなどの大規模分子をフラグメント（断片）に分割し、フラグメント間の相互作用を取り込みながら系全体の電子状態を計算する方法。
• *4有機化合物の中にある特定の構造を持つ基で、その化合物の特徴的な 反応性の原因となる原子や原子団のこと。

■本ソリューションの詳細はこちらをご覧下さい。
バイオ分子相互作用シミュレータ MIZUHO/BioStation