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GPUを用いた画像再構成の高速化により、未来型がん治療の実現を支援

みずほ情報総研、PET画像再構成手法の開発に向けて、放射線医学総合研究所と共同研究を開始

2013年9月30日

みずほ情報総研株式会社

みずほ情報総研株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西澤 順一)は、診断・治療・確認をリアルタイムで行う未来型のがん治療実現に貢献する技術の創出を目指して、GPU*1を用いたPET*2画像再構成手法の開発に着手すべく、2013年9月12日より、独立行政法人放射線医学総合研究所(本部:千葉県千葉市、理事長:米倉 義晴)と共同研究を開始しました。

X線CT装置やPET装置のような人体を取り囲む形で配置した放射線検出器により計測したデータから体内の密度分布などを画像化するには、画像再構成と呼ばれる計算処理が必要です。放射線診断・治療において、画像再構成に必要な計算量は、画像の高精細化などの流れに伴い膨大になりつつあり、計算時間の短縮に対するニーズはますます高まる傾向にあります。特に、現在、放射線医学総合研究所が開発を進めている診断と治療が同時に可能な世界初の開放型PET装置(OpenPET®*3)による画像誘導型放射線治療*4を実現するためには、画像再構成の計算時間を極限にまで短縮化したリアルタイムイメージングシステムの構築が不可欠です。

このような背景から、みずほ情報総研は、将来の画像誘導型放射線治療の実現に資するため、GPUを用いたPET画像再構成手法の開発に向けて、放射線医学総合研究所と共同研究を行うことといたしました。画像処理・高速化分野で豊富な開発実績を持つみずほ情報総研が、生体内で起こるさまざまな生命現象を外部から分子レベルで捉えて画像化する研究を推進している放射線医学総合研究所と連携することで、診断・治療・確認をリアルタイムで行う未来型のがん治療の実現に貢献する技術の創出を目指します。

今回の共同研究において、みずほ情報総研は、GPUを用いた大規模並列計算によるPET画像再構成の高速化に適した収束性の高い逐次近似型画像再構成*5アルゴリズムを放射線医学総合研究所と共同で開発し、プログラムとして実装します。アルゴリズムの最適化およびチューニングにより、従来のCPUによる処理に比べて、画像再構成の計算時間を1/100程度に短縮化できる見込みです。なお、共同研究の成果となる画像再構成およびその高速化に関わる知識、知見、ノウハウは、今後のOpenPET®の実用化に役立てていくとともに、放射線診断・治療をはじめとした生物・医療分野のお客さまの研究開発、事業化の推進などに貢献すべく幅広く応用を検討していきます。


  1. *1GPU(Graphics Processing Unit):グラフィックス描画用アクセラレータ半導体チップ。高い並列計算能力を生かして汎用計算(GPGPU)にも用いられる。
  2. *2PET(Positron Emission Tomography):陽電子放射断層撮像法。陽電子を放出する薬剤を利用し、その陽電子が近傍の電子と対消滅する際に放出されるガンマ線を検出することで、薬剤の集積する様子を断層画像として出力する撮像法。がん細胞が正常細胞より多くのブドウ糖を取り込むという性質を利用して、ブドウ糖に似た薬剤を体内に注入し、薬剤の集積場所を画像化することで、がんの診断などに利用される。
  3. *3体軸方向に検出器リングを2分割して離して配置することで、画質の最も優れる装置中央部分が検出器で覆われていないPET装置。これにより診断とビームによる放射線治療を同時に行うことが可能となる。
  4. *4照射直前や照射中に撮影された画像情報をもとに、位置誤差を補正しながら正確に放射線を照射する高精度な治療技術。
  5. *5推定画像から計算により再現された投影データと測定された投影データを比較して、その差分が最小化するように反復計算することで真に近い画像を得ようとする画像再構成手法。

PET画像再構成のイメージ図

図1

OpenPET®のイメージ図

図2
[資料提供:放射線医学総合研究所]


  • *OpenPETは、独立行政法人放射線医学総合研究所の登録商標です。

ニュースリリースに関するお問い合わせ

みずほ情報総研株式会社
広報室 佐藤 綾子、石原 卓
電話:03-5281-7548
E-mail:info@mizuho-ir.co.jp

研究内容に関するお問い合わせ

みずほ情報総研株式会社
情報通信研究部 前川 秀正、二田 晴彦
電話: 03-5281-5289

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