訪日外国人の6割以上が帰国後に再購買、日本での買い物満足度が影響
訪日外国人の購買行動と帰国後の再購買意向に関する調査結果を発表
2016年8月3日
みずほ情報総研株式会社
みずほ情報総研株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:西澤 順一)は、訪日外国人旅行者を対象に、「訪日外国人の再購買に関する調査」を行い、このたび調査報告書としてまとめましたのでご案内いたします。
2015年の訪日外国人旅行者数は、前年比47.1%増の1973万7千人に達し、旅行消費額は前年比71.5%増の3兆4771億円、1人当たり旅行支出は17万6167円(前年比16.5%増)と大幅に増加しています(*)。2016年も訪日外国人の数は増加傾向にあり、インバウンド市場の拡大は続いています。少子高齢化などを背景にグローバル市場に活路を求める日本企業にとって、外国人旅行者に向けた自社製品・ブランドの認知度向上や来店促進、購入単価の向上といったマーケティング施策の検討は、今後ますます重要になると考えられます。一方で、インバウンド市場には、一度に大量の商品を購入する「爆買」行動の変化や、自然災害や伝染病、為替変動などコントロールが難しい外的要因リスクなどの市場停滞リスクへの対策として、自社や自社製品のファン(ロイヤルカスタマー)を育てることが効果的と考えられます。
このような背景から、みずほ情報総研では、訪日旅行を通じた外国人顧客向けマーケティング施策の検討を目的として、外国人旅行者の訪日前、訪日中、訪日後の購買行動・意識に関する調査を実施しました。今回の調査から、訪日旅行中に買い物をした人の8~9割が日本で買った商品の再購買意向を示しており、6割以上が帰国後に再購買していることがわかりました。日本で買った「商品の品質の高さ」や、「店舗の場所や店舗内の案内のわかりやすさ」に満足した人ほど、再購買の意向が強くなる傾向がうかがえました。一方「越境ECの送料の高さ」や「現地での価格や品揃え」が、帰国後の再購買における課題であることが浮き彫りになりました。主な調査結果は以下のとおりです。
- 購買率が最も高かったのは「菓子類」(94.7%)であった。次いで、「その他食料・飲料」(90.3%)、「化粧品・香水」(85.3%)、「衣類・鞄・靴」(85.2%)の順に購買率が高かった
- 全体として、訪日旅行中に買い物をした店舗や商品に対する満足度が高かった。特に、「商品の品質の高さ」(4.25)、「商品の価格の安さ」(4.13)、「店員の接客態度」(4.13)に対する満足度が高い
- 訪日旅行中に買い物をした人の8~9割が日本で買った商品の再購買意向を持っており、60%以上の人が帰国後にその商品を再購買している
- 訪日旅行中の買い物において、「商品の品質の高さ」や「店舗の場所や店舗内の案内のわかりやすさ」に満足した人ほど、再購買意向が強くなることがわかった。実際に商品を手にして品質の高さを知ったことや、ストレスなく買い物ができた経験が、再度買いたいという意識を高めていると考えられる
- 帰国後に再購買しない理由として最も当てはまるのは、「越境ECの送料が高い」であり、海外から商品を取り寄せる越境ECは普及しているが、送料の割高感から購入に慎重になっていることが考えられる。次いで、「居住地近辺の店舗に商品が置いていない」「置いてあっても価格が高い」が購入しない理由として挙げられており、日本の店舗との商品ラインナップの違いや割高感がハードルとなっていることがうかがえる
- *日本政府環境局および観光庁報道発表による
アンケート調査の概要
- 訪日外国人の再購買に関する調査
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Webアンケート調査 | インタビュー調査 | |
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調査期間 | 2016年3月2日~8日 | 2016年3月1日~31日 |
調査対象 | 過去1年以内に観光目的で東京を訪問し、買い物をした中国人、タイ人、台湾人観光客 | 東京で買い物をした訪日旅行中の中国人、タイ人、台湾人観光客 |
有効回答数 | 600人 | 12人 |
主な調査項目 |
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調査・分析結果
購買内容
購買満足度
- 全体として、訪日中に買い物をした店舗や商品に対する満足度が高かった。特に、「商品の品質の高さ」(4.25)、「商品の価格の安さ」(4.13)、「店員の接客態度」(4.13)に対する満足度が高いことがわかった。
- *「非常に満足した」を5点、「やや満足した」を4点、「どちらともいえない」を3点、「あまり満足しなかった」を2点、「全く満足しなかった」を1点としたときの平均点
訪日後の再購買行動
- 商品種別によらず、60%以上の人が訪日旅行中に購入した商品を帰国後に再購買していることがわかった。
- 入手チャネルとしては、現地店舗の割合が高い(4~5割)が、「電気製品」「衣類・鞄・靴」「トイレタリー/その他日用品」は、ECによる購入割合も高かった。また、その後日本に旅行に行った友人・親族に買ってきてもらったという人も一定の割合でいることがわかった。
考察
- 本調査の結果から、多くの訪日外国人が、訪日中に購入した商品に対して「帰国後に再度買いたい」という感情的なロイヤルティ(*)を持ち、さらに「実際に再度入手した」という行動的なロイヤルティも現れていることがわかった。
- 帰国後の再購買を促進するためには、「訪日中の買い物満足」や、「訪日前の情報収集行動」といった感情的ロイヤルティに影響を与える要素への対策を講じるとともに、「越境EC対策」「現地での商品価格や品揃え」などの行動的なロイヤルティの障害となる事象を取り除くことが必要である。
- これらの取り組みは、各種の外的要因リスクや爆買行動の変化への対策となり、自社に対する強いロイヤルティを持つ外国人顧客基盤を構築し、中長期的な成長を支える要素の一つとなると考えられる。
- *ロイヤルティとは、顧客が持つ企業や商品に対する信頼度や愛着度を示す言葉
本調査の詳細については、こちらをご覧ください。
訪日外国人の再購買に関する調査 ―インバウンド観光を起点とした外国人顧客向けマーケティング施策の検討―
https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/report/2016/inbound0803.html
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