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「複数自治体連携型大規模健幸ポイントプロジェクト」実証結果について最終成果を発表

2017年5月11日
<健幸ポイント運営事業者>
国立大学法人筑波大学
みずほ情報総研株式会社
株式会社つくばウエルネスリサーチ
凸版印刷株式会社

筑波大学、みずほ情報総研、つくばウエルネスリサーチ、凸版印刷は、2014年12月から2017年3月までの期間、スマートウエルネスシティ(以下、SWC)総合特区に参加する6市(福島県伊達市、栃木県大田原市、千葉県浦安市、新潟県見附市、大阪府高石市、岡山県岡山市)とともに、多数の市民を健康づくりに誘引できるインセンティブ制度の大規模実証(参加者数約12,600人)を行い、最終成果を取りまとめましたのでご案内いたします。

自治体におけるこれからの健康増進事業には、運動無関心層も含め、社会全体を健康へ導く「ポピュレーション・アプローチ」による取り組みが求められます。そこで期待されるのが本実証事業において取り組んだインセンティブ制度です。「健幸ポイント」によるインセンティブ制度は、各市で提供される健康づくりなどのプログラムに参加・継続することや、日々の健康努力と実践したことによる成果(健康状態の改善)に基づき、最大24,000pt/年(24,000円相当)のポイントが付与される仕組みです。プログラムは自治体が主体で行う健康教室のほかにも、民間企業が行う健康サービスも対象とし、健康無関心層も参加しやすいよう6市合計200程度の対象プログラムを用意しました。貯まったポイントは、Pontaポイント、地域商品券や全国商品券、社会貢献(寄付)に交換することができます。

本実証事業の参加者を分析すると、日常的に運動習慣がない人(運動未実施層)や、これまで自治体の実施する健康増進事業に参加したことがあっても身体活動量が充分でなかった人(運動不充分層)が、全体の約76%を占めていました。このことは、本実証事業におけるインセンティブ制度が、日頃から充分な運動習慣がある人に限らず、健康づくりの動機づけとなったことを示しているものと考えられます。また、運動未実施層や運動不充分層が多数を占める参加者に対して、「インセンティブ」と「運動プログラム」を組み合わせて提供することで参加意欲を刺激し、身体活動量の増加や、それに伴う健康度の改善(メタボ該当者および予備群の減少や、肥満者の減少)につながる行動変容を促せたことも成果の一つです。あわせて、運動継続が医療費に及ぼす影響についても検証を行い、本実証事業への参加を継続した方々については、60歳代では一人当たり年間約4.3万円、70歳以上では一人当たり年間約9.7万円の医療費抑制につながることも明らかになりました。

今後は全国他自治体への展開が日本全国を元気にすることにつながるものと考え、本実証事業の成果を株式会社タニタヘルスリンクおよび株式会社ベネフィットワン・ヘルスケアへ継承し、2017年4月より新たな健康支援サービスとして提供が開始されています。

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【関連する事業(調査研究)】
省庁 事業名
総務省 2014年度 ICT健康モデル(予防)の確立に向けた地方型地域活性化モデル等に関する実証
2015年度 ICT健康モデル(予防)の確立に向けた地方型地域活性化モデルに関する実証
2016年度 IoTサービス創出支援事業(インセンティブ付きIoT健康サービスの有料化挑戦事業)
厚生労働省 2015年度 インセンティブの制度化を見据えた健康ポイント等の予防事業の類型化のための調査検討
文部科学省 2014年度 健康づくり無関心層も含めた多くの国民がスポーツ・運動ライフ化を促進できるインセンティブのあり方
2015年度 健康無関心層の行動変容の促進、および成果向上のインセンティブ付スポーツ運動プログラムの実証
スポーツ庁 2016年度 スポーツによる地域活性化推進事業(スポーツを通じた健康長寿社会等の創出)

実証事業 調査概要

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調査期間 2014年12月~2016年12月
(実証期間:2014年12月~2017年3月)
対象地域
(実証事業参加自治体)
福島県伊達市、栃木県大田原市、千葉県浦安市、新潟県見附市、
大阪府高石市、岡山県岡山市
調査対象
(実証事業参加者)
上記6市に在住する40歳以上の中高齢者12,616人
男女比率 : 男性 36%、女性 64%
年代別比率: 40歳代 20%、50歳代 18%、60歳代 34%、
70歳代 25%、80歳代 3%

成果

1.運動無関心層の取込みに成功

1.1.運動の実施状況からみた3グループの定義

  • 本実証事業に運動無関心層がどの程度参加したかを明らかにするため、事業開始時に歩数計で計測した歩数とアンケートで調査したスポーツ・運動教室への参加状況から次の3グループに分類し、「運動未実施層」と「運動不充分層」をあわせて、「運動無関心層」と整理した。

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(1)「運動未実施層」 現在、国の推奨活動量(8,000歩/日)を満たしておらず、
自治体/民間のスポーツ・運動教室に参加していない者
(2)「運動不充分層」 現在、国の推奨活動量(8,000歩/日)を満たしていないが、
自治体/民間のスポーツ・運動教室に参加している者
(3)「運動充足層」 現在、国の推奨活動量(8,000歩/日)を満たしている者

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分類 動未実施層 運動不充分層 運動充足層
推奨活動量 満たしていない
(8,000歩/日未満)
満たしている
(8,000歩/日以上)
スポーツ・運動教室
参加状況
参加していない 参加している -

1.2.参加者の約76%は運動未実施層と運動不充分層

  • 参加者全体の17.6%が運動未実施層、58.2%が運動不充分層であり、この2グループの合計である運動無関心層は、全体の75.8%を占めた。

図1

2014年度に参加した7,623人のうち、参加時調査および歩数データを有する6,410人を分析対象としている。

2.参加者の歩数は、開始から18カ月目を経過しても国の推奨活動量8,000歩/日を上回り、継続維持

  • 参加開始1週間の平均歩数をベースラインとし、平均歩数の推移を調べた。
  • 結果、6市全体の平均歩数は、ベースラインの6,473歩/日から開始6カ月後には国が定める推奨活動量(8,000歩/日)以上になり、約2,000歩/日の増加が認められた。さらに、開始より18カ月目においても、平均歩数は8,647歩/日を記録しており、継続して国が定める推奨活動量以上を維持している。
  • 運動未実施層および不充分層での平均歩数推移を確認すると、ともにベースラインより18カ月目には約3,000歩増加しており、当初は低歩数であってもインセンティブにより身体活動量を引き上げることが示唆される。

図2

2014年度に参加した7,623人のうち、参加時調査、参加時歩数、6カ月後歩数、12カ月後歩数および18カ月後歩数すべてのデータを有する者を分析対象としている。

*:反復測定分散分析により、各群(運動未実施層、運動不充分層、運動充足層、全体)について、時間の経過と共に平均歩数が有意に増加していることを示す。

3.参加者の身体活動量増加および「運動プログラム」の実施に伴い、BMI25未満への改善やメタボ非該当への改善

  • 事業参加時に計測した体組成データにおいて、BMI25以上該当者のうち、約26%の参加者が、事業開始から18カ月目にはBMI25未満へと改善した。
  • 事業に参加した年度の健診データにおいて、メタボ該当および予備群と判定されていた参加者のうち、約35%の参加者が、2年後の2016年度の健診データでは非該当の判定に改善した。

図3

図4

4.実証参加6市全体における医療費において、60歳代では年間約4.3万円/人、70歳以上では年間約9.7万円/人の抑制効果

  • 事業開始前後となる2013年度と2015年度の6市全体における国民健康保険加入者の一人当たり医療費の推移を調査した結果、本実証事業の参加者(参加群)における医療費の伸びは、本実証事業に参加していない方々(対照群)と比較して、60歳代では年間約4.3万円、70歳以上では年間約9.7万円の抑制効果があったことが確認された。
  • 本実証事業の総参加者数(12,616人)を用いて、事業全体の効果額(=年間医療費抑制額+地域経済波及効果-年間事業費)を試算すると、年間で約4.7億円となる。

図5

1) 40-74歳国民健康保険加入者での医療費抑制額に基づく試算

5.本実証事業の成果をベースに、2017年度からは民間企業2社より、新規サービスとして提供開始

  • 本実証事業で得られた成果を全国の自治体へ広げていくために、インセンティブ付与ルールや運動プログラムをアルゴリム化したうえで、民間企業2社(タニタヘルスリンク、ベネフィットワン・ヘルスケア)が自社のICTシステムへ搭載し、新たな健康支援サービスとして提供を開始する。2020年度には100万人以上の住民へのサービス提供を目標としている。

図6

本件に関するお問い合わせ

健幸ポイント運営事務局
株式会社つくばウエルネスリサーチ内(担当:越智、山田、赤嶺)
電話:04-7197-2360

国立大学法人筑波大学
人間総合科学研究科 久野研究室(担当:千々木)
電話:029-853-7336

みずほ情報総研株式会社
広報室 (担当:佐藤)
電話:03-5281-7548
E-mail:info@mizuho-ir.co.jp

凸版印刷株式会社
広報部(担当:島田)
電話:03-3835-5636

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