株式会社日立製作所
株式会社みずほフィナンシャルグループ
株式会社みずほ銀行
みずほ情報総研株式会社
株式会社Blue Lab
株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭、以下「日立」)と株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役社長:坂井 辰史)、株式会社みずほ銀行(頭取:藤原 弘治)、みずほ情報総研株式会社(代表取締役社長:向井 康眞)、株式会社Blue Lab(代表取締役社長:宗國 修治)は、ブロックチェーン技術を活用した金流・商流・物流の一体管理と、サプライチェーンファイナンスの高度化を目指し、2021年1月より、ブロックチェーン技術を活用した物流業界の輸配送代金の早期資金化に関する共同実証実験を開始します。
背景
現在、物流業界ではドライバー不足や労働環境の整備、煩雑な帳票管理の解決を目指す動きが加速し、アナログ中心の見積・受発注管理、配車・運行管理業務、請求管理等をデジタル化する機運が高まっています。
加えて、今般の新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、運送会社の資金繰りが喫緊の課題であり、輸配送代金の早期資金化は、物流業界のさらなる発展に寄与する重要なテーマです。
新たな提供価値
物流業界では、荷主から受注した後、複数の運送会社に運送事業を委託する多重構造の商流が存在しています。本実証実験を通じて、物流データと連携したファイナンス提供を行い、輸配送代金の早期資金化を実現します。
実証実験の概要
関東圏の物流企業の営業所、運送会社が参加し、「発注、納品、支払に関わるやり取り」に対して、PCやスマホ上の実証用システムを使い、業務フローイメージを具体化するとともに、その受容性を検証します。また、ニーズ調査として、運送会社へのアンケートやインタビューを実施します。
今後の展開
これまで日立と〈みずほ〉は、サプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術(※1)の活用促進と新規事業の創出に向け、共同で検討を重ねてきました(※2)。ブロックチェーン技術を活用して、リアルタイムでの真正性を確保した取引情報をもととする、高度なサプライチェーンファイナンスの実現を目指しています。具体的には、日立のLumada(※3)で開発を進めるサプライチェーン決済プラットフォーム(※4)上で、〈みずほ〉が開発を進めている新たなファイナンス決済スキーム(※5)を金融付加価値機能として提供することを進めています。
日立は、本プラットフォームの開発を進め、今後、金融以外の業種とのサービス連携も含め、幅広い展開を検討していきます。〈みずほ〉は、新たなファイナンス決済スキーム確立に向け、技術的側面以外に、法律・会計等に関する整理も行い、物流業種以外の業種へのニーズ調査も含め、ビジネス化に向け検証を実施し、2021年度内のサービス開始を目指します。
(※1)ブロックチェーン技術
分散型台帳技術。複数拠点に分散されたサーバなどの通信機器に、それぞれ同一の記録を同期させて一つの台帳を維持する仕組み。
(※2)日立と〈みずほ〉が、サプライチェーン領域におけるブロックチェーン技術の活用に関する共同実証を開始(日立・〈みずほ〉共同ニュースリリース 2017年9月21日)
- URL:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2017/09/0921c.html
- URL:https://www.mizuho-fg.co.jp/release/pdf/20170921release_jp.pdf(PDF/15.85KB)
(※3)Lumada
お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。
(※4)日立が開発するサプライチェーン決済プラットフォーム
ブロックチェーン技術を活用して複数事業者間での決済取引を支援する決済プラットフォーム。当事者間で共有・活用するデータをブロックチェーンによりトークンとして扱い、真正性かつ耐改ざん性を確保し管理する。利用企業は取引情報を活用した金融サービスを享受でき、資金繰りの改善、運転資金確保が可能なほか、金融機関は取引情報を分析し、各種金融サービスへの活用が可能。
なお、本プラットフォームは、ブロックチェーン基盤の一つであるHyperledger Fabricの利用環境をクラウドサービスで提供する「Hitachi Blockchain Service for Hyperledger Fabric」を活用。日立は2020年10月にHyperledgerが認定するベンダー資格「Hyperledger Certified Service Providers」を有する企業の1社に認定されている。(2020年12月10日時点で、グローバルで20社が認定)
(※5)〈みずほ〉が開発を進める新たなファイナンス決済スキーム
サプライチェーンにおける商流・物流に関わる情報とデータ連携し、川上企業が将来の売上見合い(将来債権)を川下企業の信用力で割引可能とする邦銀初の金融サービス。発注時点で将来債権をトークンとして表象させ、債権者はそのトークンを割り引くことが可能。また、その信用力は物流工程の進捗により判断。利用企業は、サプライチェーンの商流を裏付けとした将来債権の資金調達により、資金繰りの改善や迅速な運転資金確保が可能となる(特許出願中)。
また、データ管理にはブロックチェーン技術を適用し、サプライチェーン内の債権・債務を一元管理。物流と金流を連動させ、資金決済の事務負担となっていた照合管理業務などを省力化することも想定している。