ページの先頭です

7割強がIT活用に取り組むべきと回答、データ整備に課題

サステナビリティ経営におけるデータ管理、IT活用に関するアンケート調査結果を発表

2022年12月16日
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:吉原 昌利)は、全国の上場企業に勤める経営者・役員および会社員のうち、サステナビリティの取り組みに関与する人(有効回答数432名)を対象に「サステナビリティ経営における非財務情報のデータ管理、IT活用の課題に関する調査」を行い、このたび調査報告書としてまとめましたのでご案内いたします。

昨今、サステナビリティ関連情報、とりわけ非財務情報に対する世の中の関心は高く、実際に非財務KPIや非財務情報をどのように定量化・可視化していくかについては多くの企業が課題を抱えています。プライム市場上場会社のTCFD提言に沿った開示の実質義務化などの制度対応も求められ、今後は企業がこれまで管理していたデータにサステナビリティに関する項目も追加して管理する必要があると想定されます。

また、今後はサステナビリティに関連するデータの管理が一般的となるなかで、負荷を減らす効率化が重要になり、効率化を進めるうえで、ITを活用し、DXを手段とした取り組みを織り込んでいくことが不可避になると考えられます。

みずほリサーチ&テクノロジーズでは、サステナビリティ経営における企業の取り組みとDXを見据えたIT活用の実態把握を目的として、非財務データの収集・管理方法、およびIT活用の状況や課題についてのアンケート調査を実施しました。主な調査結果は以下のとおりです。

現状のサステナビリティ対応フェーズ

  • 「ストーリー・戦略構築フェーズ」(48.9%)、「業務プロセスへの落としこみフェーズ」(51.2%)と同程度であり、全体の半数が、業務プロセスへの落としこみの段階にある

サステナビリティに関するデータ収集・管理方法

  • データに関する課題は、「扱うデータが多く、把握に手間がかかる」が42.5%と最も多く、次いで「データフォーマットが異なるため、手間がかかる」(34.8%)、「データの収集・分析ができる人材が足りない」(33.9%)であった
  • 現状のデータ管理方法は、「Excel」が最も多く、「ITツール(CO2排出量算定ツールなど)」に概ね10%以上の差を付けているが、CO2排出量算定ツールなどのITツールを導入した管理も一定程度行われている

サステナビリティ領域におけるIT活用について

  • IT活用について「非常に取り組むべきである」が35.0%、「やや取り組むべきである」が40.7%と、全体の7割以上が取り組むべきと回答した
  • 取り組み状況別に見ると、より具体的な取り組みを実行する段階になるほど「非常に取り組むべきである」との回答が増加し、IT活用のニーズが高まる

サステナビリティに関する重要な取り組みと課題

  • 「サステナビリティに関する取り組みにおいて重要な事項」について、1位の回答が最も多かったのは、「経営層がサステナビリティについてよく理解したうえで、価値創造ストーリーやマテリアリティが策定されている」(30.3%)であった
  • 「サステナビリティに関する取り組みの推進における課題」について、1位の回答が最も多かったのは、「経営層がサステナビリティの重要性を理解していない」「サステナビリティに関する取り組みを実施する組織の人材が不足している」(いずれも19.4%)であった

アンケート調査の概要

左右スクロールで表全体を閲覧できます

サステナビリティ経営における非財務情報のデータ管理、IT活用の課題に関する調査
調査対象 プライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場している企業でサステナビリティに関する取り組みに関与している経営者・就業者
調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査期間 2022年9月20日~9月22日
有効回答数 432名
調査項目
  • 現状のサステナビリティ対応フェーズ
  • サステナビリティに関するデータ収集・管理方法
  • サステナビリティ領域におけるIT活用について
  • サステナビリティに関する重要な取り組みと課題

調査・分析結果

現状のサステナビリティ対応フェーズ

  • サステナビリティに関する取り組み状況は、「ストーリー・戦略構築」フェーズ、「業務プロセスへの落としこみ」フェーズが同程度であり、全体の半数は、業務プロセスへの落としこみフェーズの段階にある
  • ストーリー・戦略構築フェーズでは、「マテリアリティや価値創造ストーリーの策定を行っている」段階が多い
  • 業務プロセスへの落としこみフェーズでは、「マテリアリティや価値創造ストーリーの策定・目標設定を行い、具体的なアクションを行っている」段階が多く、PDCAを回していく段階といえる

図1

サステナビリティに関するデータ収集・管理方法

  • サステナビリティに関するデータ収集の課題は、「扱うデータが多く、把握に手間がかかる」が42.5%と最も多く、次いで「データフォーマットが異なるため、手間がかかる」(34.8%)、「データの収集・分析ができる人材が足りない」(33.9%)であった。
  • 一方で、「組織内外でデータがどこにあるのかわからない」「データの特定が難しい」「データが収集しづらい」といった課題は少ない
  • データ自体はあるものの、「分析できるように加工する」「分析を実施する」段階に課題を抱え、さらに「これらを担う人材が不足」していることがうかがえる

図2




  • 現状のデータ管理方法は、「Excel」が最も多く、「ITツール(CO2排出量算定ツールなど)」に概ね10%以上の差を付けているが、ITツールを導入した管理も一定程度行われている
  • 「ITツール」の活用は、「環境に関するデータ」で最も多く、CO2排出量の収集から算定までの効率化を図るために導入が進められていると推測される。また、「BIツール」の活用は、「社会資本に関するデータ」「人的資本に関するデータ」で多く、社内のデータを可視化することに長けているためと推測される

図3


サステナビリティ領域におけるIT活用について

  • IT活用について、「非常に取り組むべきである」が35.0%、「やや取り組むべきである」が40.7%と、全体の7割以上が取り組むべきと回答した
  • 取り組み状況別に結果を見ると、③「目標設定を行う段階」では、IT活用に対して消極的な傾向が読み取れるが、より具体的な取り組みを実行する段階(④⑤)になるほど「非常に取り組むべきである」との回答が増加し、IT活用のニーズが高まる

図4

考察

  • 回答企業のうち半数は、業務プロセスへの落とし込みフェーズにあり、着実に取り組みを深化させており、取り組みを進める中で、IT活用の重要性が認識されている
  • 新たに管理が必要になるデータや情報の増加、人材不足、社会的要請という背景から、業務効率化を目的としたIT活用に対して積極的な意向が見られ、IT活用のニーズは顕在化している
    • IT活用のニーズはあるものの、扱うデータの多さ、データ把握の手間、保管しているデータフォーマットの違いなど、データ整備に課題があり、業務効率化と親和性の高いIT活用を念頭に置いた推進が今後求められる
    • IT活用を前提とした取り組みの推進には、経営層が自ら理解を深め、トップダウンで推進することが重要。これにより、事業部門・現場社員への理解浸透、取り組みの自分事化につながる

本調査の詳細については、こちらをご覧ください。
サステナビリティ経営における非財務情報のデータ管理・IT活用の課題に関する調査

本件に関するお問い合わせ

アンケート調査に関するお問い合わせ

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
デジタルコンサルティング部
伊東 優、小林 陽子、岡松 さやか
電話:03-5281-5291

報道関係者からのお問い合わせ

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
広報室 佐藤
電話:03-5281-7548
E-mail:info@mizuho-rt.co.jp

デジタルコンサルティング部03-5281-5430

ページの先頭へ