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2024年8月30日

みずほリポート

ASEAN製造業ビジネスにおける競争環境の変化

調査部 アジア調査チーム 上席主任エコノミスト 江頭 勇太

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要旨

  • 日系製造業は、販売市場・生産拠点としての中国への関心を薄める一方、ASEANへの期待を拡大
    • 中国に対する見方の変化は、米中摩擦、地政学的緊張、人口高齢化や経済成熟化などが背景
    • ASEANは、元々日系製造業の牙城である上、中立的な立ち位置で人口増加と経済成長が続く見込み
  • しかし、非日系もASEANに進出し、日系と競争を激化させているとの情報が目立つ
  • ASEANのどの国・業種で、どの相手と競争が激化しているのか?
    • これまで日系が強みを発揮していたタイやインドネシアの自動車セクターにおいて、中国企業との競争が特に激化
    • 中国から両国への自動車輸出が近年急増。さらに、中国は両国への自動車関連の直接投資も拡大させており、今後、中国勢との競争は一段と激化する公算大
  • 競争環境の変化を踏まえ、日系製造業が取りうる戦略は?
    • 自動車セクターを守るには、電動化や知能化への対応が急務
    • 加えて、新ビジネスを開拓する攻めの戦略も重要。たとえば、火力発電の燃料としての利用拡大が期待され、日本企業が技術とノウハウを保持する水素・アンモニア関連のビジネスに伸びしろ