要旨
- 民間部門では債務抑制と借入金利の固定化により、過去の利上げ局面よりも利払い負担は増えず
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利上げに伴う企業業績の悪化は限定的で、米経済は大幅な減速は回避(ソフトランディング)
- ただし、企業業績が想定以上に堅調を維持する場合や、外的ショックによりインフレが上昇する場合には、FRBは利下げが出来ず、Higher for Longerへ
- リーマンショックと足元を比較すると、問題視される債務の「量」は減少、証券化商品や金融機関間の信用を通じた「波及しやすさ」も低下しており、リーマンショックの再来にはならず
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ただし、商業用不動産(CRE)とプライベートクレジット(PC)にはリスクが蓄積
- CREの主要な貸し手である中小銀行は、預金金利の上昇にも直面しており、一部銀行の破たんリスクは残存
- PCの貸出は、変動金利が主体で、Higher for Longerに脆弱。PC貸出の焦げ付き時には機関投資家を介した金融システムへの波及に要注意