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2024・2025年度 内外経済見通し
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パンデミック後の落ち着きどころを探る世界経済 ─ (PDF/6,533KB)
見通しのポイント
- 世界経済は、インフレ一服と金利低下が押し上げ要因になるも、成長率は力強さを欠く見通し。 当面は高金利の余波が続くほか、 自動車や産業機械などIT製品以外の製造業の伸び悩みが重石に。景気回復の主軸を欠く中で、バランスシートの健全性や製造業競争力の差を背景に、国・地域ごとの回復ペースにはまだら感
- 米国では、企業の底堅い労働需要を背景に、引き続き良好な雇用所得環境が消費を下支え。貯蓄率上方改定で過剰消費懸念は後退、企業の値下げ戦略も中低所得者の購買力低下を緩和しており、軟着陸の蓋然性が高い。一方、低金利の恩恵顕現までにラグがあり、その間は高金利政策の余波で米経済は小幅減速する見通し
- 欧州では、インフレ鈍化や利下げが景気を押し上げる見通し。ただし、ユーロ圏の経済大国であるドイツでは国際競争力低下に伴う製造業低迷が長期化しており、回復の重石に。また、サービス業がけん引する形で好調を維持してきた南欧も供給制約から減速が見込まれ、回復ペースは緩慢なものにとどまる見通し
- 中国では、内需低迷を外需が補う構図が継続も、輸出ドライブの効果が徐々に減衰し2025年にかけて成長は鈍化。財政支出を伴う景気対策も不動産市場正常化には力不足で、逆資産効果などによる消費抑制が継続。NIEsは先端半導体やサーバー等の輸出中心に回復、ASEANは輸出増や利下げ転換で緩やかに回復へ
- 日本では、高水準の企業収益が継続することで賃上げ余力は相応に担保。人手不足感も相まって2025年春闘賃上げ率は4%前半と高めの伸びを維持するとみられ、良好な所得環境を受けて消費は持ち直しへ。価格転嫁が進む一方で、円安一服の影響から2025年後半の消費者物価は2%割れとなる見通し
- 金融市場では、日銀は2025年度上期に0.75%まで利上げを行い、その後は物価上昇率の鈍化や利上げ影響見極めのため様子見へ。長期金利は1%台前半まで上昇。他方、米長期金利は米景気の減速を確認しつつ緩やかに低下へ。日米金利差の縮小のもと、ドル円相場は2025年度末に130円台半ばへと円高基調で推移する見通し