キービジュアル画像

2025年 新春経済見通し
─ トランプ2.0の政策想定と世界経済への影響 ─

全文ダウンロードはこちら

2025年 新春経済見通し─ トランプ2.0の政策想定と世界経済への影響 ─ (PDF/5,876KB)

見通しのポイント

  • 世界経済は、米国による関税引き上げが逆風に。中国等の報復関税実施も予想され、世界貿易の縮小や物価上昇が下押し要因に。各国が価格引き下げ等で関税の影響を減殺するために関税の短期的な影響は▲0.1%程度にとどまる見通しも、本格的な代替生産開始には時間を要し、世界貿易量の回復は2026年以降に持ち越し
  • 米国では、次期トランプ政権が物価や減税効果を考慮しつつ関税引き上げなどを政策を実施する見込み。良好な所得・資産の回復に支えられ、当面の景気は個人消費を中心に底堅く推移。インフレ率は減速が続くも、関税引き上げの影響で2025年半ばより再加速へ。FRBの利下げは3.25~3.50%の高めの金利水準で打ち止めに
  • 欧州では、トランプ関税による輸出の下押しは総じてみれば小幅にとどまるが、対米貿易黒字が大きいドイツやイタリアへの影響が相対的に大。ECBによる利下げは、賃金インフレへの警戒感から慎重なペースとなり、2%台で打ち止めと予想。金利の高止まりを受けて、投資の回復ペースは緩慢にとどまる見通し
  • 中国では、不動産市場の調整が続き、内需は伸び悩み。トランプ関税による下押しもあり2025年の成長率は4%台前半へ減速。習政権は新たな景気刺激策を打ち出さず、トランプ2.0を意識し財政支出を温存する構え。NIEs・ASEANは電機中心に輸出の回復基調が続く見込みも、関税の影響で緩慢な回復にとどまる見通し
  • 日本では、トランプ関税の下押し影響は限定的。高水準の企業収益が継続することで賃上げ余力は相応に担保され、人手不足もあって春闘賃上げ率は2025年も高い伸びを維持。良好な所得環境を受けて消費は持ち直しへ。企業の価格転嫁の動きを受けて、消費者物価は2025年度後半にかけて+2%前後で推移する見通し
  • 日銀は2025年度中に1.00%まで利上げを行い、その後は物価上昇率の鈍化や利上げ影響見極めのため据え置きへ。長期金利は1%台半ばまで上昇。日米金利差の縮小のもとドル円相場は2025年度末にかけて円高基調で推移する見通しも、米利下げ停止により140円台前半で下げ止まり

内外経済見通し