調査部 シニア米国経済エコノミスト 松浦大将
調査部 主任エコノミスト 白井斗京
調査部 主任エコノミスト 菅井郁
要旨
- 政権発足から1カ月、トランプ大統領は国民からの強い支持を受け、実行力重視の政策運営を展開
- AIブームが支えとなりハイテク産業を中心に生産性は力強く改善、インフレを抑制する要因に。一方、ハイテクの恩恵は一部の富裕層に集中。格差拡大から国民の不満が蓄積していることが、トランプ政権による保護主義的政策を後押しする構図
- 政権発足当初は関税を交渉材料に「移民・麻薬対策の強化」に注力。一方、足元では政策の軸足は徐々に「貿易不均衡の是正」に転換。この先、トランプ政権は世論に配慮した現実的な政策を展開すると予想。保護主義政策で景気は減速するが影響は一時的で、支持層の離反には至らない見込み
- 仮に、保護主義政策によりインフレが再燃し、FRBが利下げできない事態となれば、高金利が経済に変調をきたす懸念。また、ハイテクに偏った経済成長には不確実性が伴うことにも留意
- 目の前のトランプ政策ばかりに目を奪われると、先行きを見誤る可能性。中間選挙後はポスト・トランプを巡る動きが加速。米国の将来を担う若中年世代がどのような米国を望むかをイメージすること(備えること)が重要に