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2025・2026年 内外経済見通し
─ トランプ2.0の影で進む構造変化と成長格差 ─

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2025・2026年 内外経済見通し─ トランプ2.0の影で進む構造変化と成長格差 ─ (PDF/5,530KB)

見通しのポイント

  • 世界経済は、米国による段階的な関税引き上げが下押し要因となり、緩やかな回復ペースにとどまる見通し。自由貿易に対する逆風の中、日欧では輸出市場における対中競争激化も輸出回復の重石に。一方、米国ではハイテク産業が、中国では製造業が一層競争力を高め、各国の成長格差は拡大を見込む
  • 米国では、関税引き上げ等の保護主義政策が景気を下押し。一方、ハイテク産業の好調に加え、2025年末からは財政政策が下支えし、大幅な景気悪化を回避。関税引き上げや移民排斥はインフレ加速要因も、生産性上昇がこれを抑制し、利上げを迫るほどのインフレ圧力には至らず。FRBは金利を3.50~3.75%に引き下げる見込み
  • 欧州では、ドイツを中心にエネルギーコストの高止まりがEUの価格競争力を下押しするほか、域内外における中国との競争激化が経済の逆風に。ECBは景気回復を後押しすべく、2025年央にかけて連続利下げ。金融緩和を受けて経済は回復に向かうも、上記構造問題が足かせとなり回復ペースは緩やかなものにとどまる見通し
  • 中国は、不動産不況に起因する内需低迷が続く見込み。ただし、製造業の競争力向上や輸入代替の進展などから、外需が下支えする形で4%前後の成長を維持する公算。アジアでは、AI需要や中国からの代替輸出を中心とした輸出の回復やインフレ一服を受けた利下げが経済を下支えも、回復ペースは国ごとに濃淡
  • 日本では、賃上げ機運の高まりを受けた個人消費の持ち直しが継続。省力化等の投資需要も継続することで内需主導で緩やかな景気回復へ。ただし、物価影響を除いた実質賃金の改善は鈍く力強い消費回復には至らず。労務費等の価格転嫁進展を背景に、コア物価は2026年度にかけて+2%程度の伸びを予想
  • 日銀は5%程度の賃上げと2%程度の物価上昇を背景に、段階的な利上げを続ける見通し。円長期金利は、2026年前半にかけて1%台後半まで緩やかに上昇する見通し。日米金利差は縮小に向かい、ドル円相場は円高基調での推移を予想も、米FRBが3%台後半で利下げを停止することで140円台前半で下げ止まる見込み