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2025・2026年 内外経済見通し
─ グローバル化の再調整に向けた過渡期の世界経済 ─

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2025・2026年 内外経済見通し─ グローバル化の再調整に向けた過渡期の世界経済 ─ (PDF/3,541KB)

見通しのポイント

  • 世界経済は、自国第一主義を掲げる米国の関税引き上げを受けて減速を見込む。震源地の米国が返り血を浴びる形で成長率が大きく鈍化するほか、米国以外の地域は対米輸出の減少が足かせに。2026年は関税影響がはく落するほか、米欧の財政拡張も下支えとなり、世界経済は巡航速度の成長ペースに回帰する見込み
  • 米国では、関税引き上げによる痛みが先行する形で2025年に大幅に景気減速の見通し。関税負担から企業投資が減少するほか、関税コストの一部が転嫁されることで家計の実質購買力が低下、米国経済の7割を占める個人消費が弱含む公算。FRBはインフレ警戒も、雇用悪化に配慮して金利を3.25~3.50%に引き下げる見込み
  • 欧州では、関税影響により2025年は対米輸出依存度が高い製造業国を中心に成長率が下振れ。ECBは景気回復を後押しすべく、夏場まで連続利下げを行うと予想。金融緩和の効果に加え、ドイツを中心に財政拡張の効果が発現することで関税の悪影響が緩和され、2025年末~26年にかけて景気は回復へ
  • 中国は、輸出ドライブや第三国輸出拡大により対米輸出の減少を一部相殺も、内需低迷の継続が足かせになり成長率は減速。政府対策を織り込んでも5%前後の成長率目標達成のハードルは高い。アジアでは、対米輸出依存度が大きいベトナムなどで関税影響大。米国市場から溢れた中国製品の流入も下押し要因に
  • 日本では、関税影響が逆風となり2025年度は低成長を予想。もっとも、原油安で輸入コストが抑制されることで企業収益は高水準を維持し、強い人手不足感のもと賃上げ機運は継続へ。個人消費も緩やかな回復が継続し、深刻な景気後退を回避。労務費等の価格転嫁を受けコア物価は2026年度にかけて+2%弱の伸びとなる見込み
  • 日銀は景気に配慮して2025年内の利上げを見送り。2026年入り後は4%台後半の賃上げと2%弱の物価上昇を確認し、利上げを再開する見通し。日米金利差は縮小に向かい、ドル円相場は円高基調での推移を予想。2026年後半に130円台後半まで円高ドル安を見込む