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2025年7月2日

みずほリポート

変わるアジアの立ち位置

トランプ2.0がもたらすリスクとチャンス

シニアアジア経済エコノミスト 江頭 勇太
主任エコノミスト 亀卦川 緋菜
主任エコノミスト 西野 洋平
主任エコノミスト 鎌田 晃輔
シニア米国経済エコノミスト 松浦 大将

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要旨

  • 「チャイナ+1」として発展してきたアジア(ASEAN)に逆風
    • トランプ1.0以降、アジアは中国からの生産移管の受け皿となる形で対米輸出を拡大。しかしトランプ2.0では、対米貿易黒字の大きさが高い相互関税として跳ね返り、これまでの「追い風」が「逆風」に
    • トランプ関税の下でもアジアの生産拠点としての優位性は概ね維持される見込みも、対米輸出の減少や中国製品との競争激化が景気を下押し。経済成長維持には外部環境変化への対応が急務
  • 「輸出先多角化」や「輸出品高度化」でアジアと日系企業に連携余地
    • 日系企業から見たアジア企業は、中国が入りづらいインドなどへの輸出先拡大に向けて共闘の余地あり。また、中国への依存度が依然高い戦略物資調達の切り替え先としても有望なパートナー
    • 高い技術力と資金力を誇る日系企業は、輸出品の高度化の面でもアジア企業の成長を後押し可能
  • アジアの「国内需要拡大」は日系企業にとってもビジネス機会に
    • 輸出先多角化や輸出品高度化はアジアの所得・内需の拡大にも寄与。長期的には経済の「サービス化」が見込まれる中、日系企業にとっても物流などサービス分野でアジアの内需を取り込む余地あり
    • 中国との競争激化という共通の脅威に晒される中、互いの強みを活かして連携を強化していくことがアジアと日本が「ともに」成長を続ける好循環創出の活路