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NDBデータからみる生活習慣とメタボ

2019年1月22日 社会政策コンサルティング部 近藤 拓弥

メタボと特定健診

「メタボ」という言葉は社会的にほぼ認知された。2006年には流行語に選出されたこともあり、一度は耳にしたことのある方が多いだろう。

「メタボリックシンドローム(通称:メタボ)」とは、「内臓脂肪に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態」(*1)である。

メタボに着目した健診として、40歳から74歳の方を対象に特定健康診査(特定健診)が実施されている。特定健診は、2008年度の制度開始から10年が経過し、2008年度に38.9%であった実施率も、2016年度には51.4%と着実に受診者数も増加しているところである。

特定健診の実施状況に関する情報は、厚生労働省の保有するレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積されており、現在、NDBオープンデータ(*2)等において、集計値の公表が進んでいる。本コラムでは、当該データを用いて、生活習慣の概況やメタボとの関係性について紹介していきたい。

特定健診受診者の生活習慣

特定健診受診者の生活習慣をNDBオープンデータからいくつか紹介したい。

運動習慣では、「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施」している人は28.0%、食習慣では、「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」人は27.3%、また、「20歳の時の体重から10kg以上増加している」人は、35.4%であった。

ご自身の生活習慣と比較してどのように感じるだろうか。

生活習慣とメタボ

生活習慣とメタボにはどのような関係があるのだろうか。「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」において実施された分析結果(*3)によると、メタボ該当者と非該当者で最も差が大きかった質問項目は、「20歳の時の体重から10kg以上増加している」への該当有無であった。例えば、男性の40~44歳では、メタボ該当者のうち「20歳の時の体重から10kg以上増加している」人は約80%であったのに対し、メタボ非該当者では約30%と約50%の開きがあった。

また、「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施」している人の割合は、メタボ該当者より非該当者で高く、「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」人の割合は、メタボ該当者の方が高かった。メタボの該当者と非該当者で、生活習慣の善し悪しが異なる結果となった。

特定保健指導による生活習慣改善の取り組み

特定健診の結果から、生活習慣病の発症リスクが高いと判断された方には、生活習慣を見直すサポートを行う特定保健指導が実施されている。「特定健診・保健指導の医療費適正化効果等の検証のためのワーキンググループ」において実施された分析結果(*4)によると、2013年度に特定保健指導を受けた人は、受けなかった人に比べて、翌年度に「既に生活習慣の改善に取り組んでいる」人の割合の増加幅が大きかった。

また、同様に、「1回30分以上の軽く汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施」している人の割合の増加幅が大きく、「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」人の割合の減少幅が大きかった。

特定保健指導の対象となった場合は、保健指導をきちんと受けることで、生活習慣の改善につながる傾向がうかがえる。

生活習慣の改善に向けて

メタボにならないようにするためには、各個人が生活習慣を見直す必要がある。

NDBオープンデータでは、上記で例示した項目以外にも、「標準的な質問票」(*5)全22項目の性年齢階級別かつ都道府県別の集計値が公表されている。ご自身と同じ性別、年代で、同じ都道府県に住む方がどのような生活習慣であるかを把握し、ご自身の生活習慣を見直すきっかけとしてほしい。

また、40歳未満の方であっても、メタボ該当者は、「20歳の時の体重から10kg以上増加している」人の割合が非該当者に比べ高かったことから、20歳の頃の体重を思い返し、生活習慣を振り返ってみてはどうだろうか。

  1. *1e-ヘルスネット
  2. *2NDBオープンデータ
  3. *3第26回保険者による健診・保健指導等に関する検討会 資料2-1、2-2
  4. *4第28回保険者による健診・保健指導等に関する検討会 資料2-1、2-2
  5. *5標準的な質問票
    (PDF/917KB)
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