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テレワーク特集レポート vol.3

テレワーク環境下におけるマネジメント

ビジネス企画部 宮地 翔大

テレワークの状況

従来、働き方改革推進の中でテレワークの導入が進められてきましたが、コロナ禍を背景にテレワークの導入が急速に拡大しています。これまでのテレワークは、希望する社員や実施可能な社員が限定的に実施する「小規模、短期間、低頻度」という形が中心でしたが、コロナ禍においては政府からの要請もあり、「大規模、長期間、高頻度」という形に変わってきています。

テレワーク時におけるマネジメント課題

こうしたテレワークの急速な拡大に伴い、様々な課題が見えてきましたが、特に大きなものがマネジメントの課題です。対面から伝わる視覚的・聴覚的情報が獲得しづらくなることに加え、対面時と比較して雑談を含む気軽なコミュニケーション機会が減少していることから、以下のようなことに今まで以上に意識的に取り組むことが求められています。

  • 健康面を含む部下の状態把握
  • 部下とのコミュニケーション機会の確保や関係性構築
  • 部下の成長に対するフォロー
  • 部下のパフォーマンスを把握し、正しく評価すること

テレワーク時に求められるマネジメント手法
―ピープルマネジメントとは―

こうしたマネジメントの課題に対応するために有効な手法として、ピープルマネジメントがあります。

従来のマネジメントは、従業員の持つスキルや経験の管理、効率的な人員配置や人材開発といったパフォーマンスの管理監督が中心でした。一方、ピープルマネジメントでは、マネジャーが従業員一人ひとりと向き合い、伴走することで、パフォーマンスだけでなくエンゲージメントやモチベーションを高めることにもフォーカスします。テレワークによって物理的な距離が生まれているからこそ、マネジャーと従業員の心理的距離を近づけることが求められており、そうした状況への対応として、ピープルマネジメントが注目されているのです。

テレワーク環境下でより注目されているピープルマネジメントですが、その手法はコロナ禍よりも前から注目されており、そこには現在の社会背景が大きく関わっています。VUCAの時代と言われ、市場環境の変化が激しく、将来予測が困難な時代にあるため、ビジネスにおける正解がない場面が増加し、より創造性が求められています。これまでのように、上司や先輩が持っている正解を部下へ指導すればよい場面ばかりではなく、上司と部下が一緒になって考える場面が増えているのです。また、働き方や仕事に対する価値観の多様化が進んでおり、その多様な価値観を認め合い、お互いの価値観を出し合うことが求められています。このような社会背景もあり、これまでのようなトップダウン型のマネジメントではなく、伴走型のマネジメントであるピープルマネジメントが必要とされているのです。


図表1


ピープルマネジメントのポイント

ピープルマネジメントを実施する上での一番のポイントは、マネジャーが部下一人ひとりと向き合う機会となるコミュニケーションの量と質の向上です。このコミュニケーションの量と質を向上させるための代表的な取組みに、1on1面談があります。

1on1面談とは、マネジャーと部下で行う定期的な1対1のミーティングであり、従来の評価や管理のための人事面談とは異なり、部下の成長をサポートする場です。

1on1面談では、当然業務の話も行いますが、それ以外にも人間関係や心身の状態、今後のキャリア、プライベートの話など、様々なことが話題になります。こうしたコミュニケーションを定期的に行うことによって、部下に対する適切なフォローが可能になるとともに、マネジャーと部下の相互認識が深まり、信頼関係が構築されます。その結果、コミュニケーションの量と質が更に向上し、部下のエンゲージメントやモチベーションの向上にも繋がります。

1on1支援ツール(カケアイ)を活用したピープルマネジメント取組み事例

1on1支援ツール(カケアイ)を活用して1on1面談を導入し、ピープルマネジメントに取り組んだA社の事例をご紹介します。

A社では、コロナ禍を背景にテレワークを全社導入したところ、コミュニケーションの量や質の低下を指摘する意見が、マネジャーと部下の双方から多く寄せられていました。これに対応するため、先ずは上司と部下のコミュニケーションを改善するべく、1週間に一度、30分の1on1面談の実施を推奨したところ、社内コミュニケーションや生産性の改善実感に繋がりました。

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概要 1週間に一度、30分の1on1面談の実施を推奨。
支援ツール 1on1面談のスムーズな実施や対話の質の向上を支援するツールとしてカケアイを導入。
1on1面談の位置付け 1on1面談は「業務の話でもよいが、"あくまでも部下のための時間"」という位置付けで周知。

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1on1面談の流れ
  部下 マネジャー
1.面談準備
図2
カケアイにて、1on1面談で話したいトピック(業務、会社や部署の方針、キャリア、心身の状態など)と、上司に求める対応(話を聞いてほしい、一緒に考えてほしい、具体的なアドバイスが欲しいなど)を選択し、次回1on1面談予定を登録。 部下から登録された1on1面談のトピックや自身に求められている対応を確認。
同時に、その面談テーマに対するマネジャー自身の得意不得意や、カケアイからレコメンドされる部下への関わり方のヒント(相手の話を遮らない、自分の経験は求められた時だけ発言等)を確認。
次回1on1面談に向け準備を行う。
2.面談
図2
部下・マネジャーともにトピックや上司に求める対応を意識して対話。
必要に応じてカケアイにメモや宿題を記録。リアルタイムに共有することでお互いの認識のずれを防止。
面談終了時、部下はカケアイ内のサーベイ機能で「1on1面談のすっきり度合い」を回答。
3.1カ月に1度
図2
カケアイ内のサーベイ機能で「成長を実感している度合い」を回答。 カケアイで収集した部下の「1on1面談の満足度の傾向」や「成長実感」、マネジャー自身の「トピックや対応毎の得意不得意」などを確認。
次回1on1面談や日常的な関わり方に活用する。

最後に

コロナ禍を背景に急速に拡大したテレワークですが、地方移住や本社移転、居住地を問わない採用といった動きもあり、今後、恒常化していくことが予想されます。こうした社会の変化にも柔軟に対応できる組織を目指し、ピープルマネジメントの実践を検討してみてはいかがでしょうか。


  • *本文中に記載の商品名は各社の商標です
  • *情報提供:株式会社KAKEAI
  • 本レポートは当部の取引先配布資料として作成しております。本稿におけるありうる誤りはすべて筆者個人に属します。
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