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サステナビリティ経営における非財務情報のデータ管理・IT活用の課題に関する調査

2022年12月16日
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

調査の目的と背景

【背景】サステナビリティに関連するデータの在り方の変化

  • サステナビリティの可視化、非財務情報に対する世の中の関心は高く、実際に非財務KPIや非財務情報をどのように定量化・可視化していくかについては多くの企業が課題を抱えている
  • プライム市場上場企業のTCFD提言に沿った開示の実質義務化などの制度対応も求められ、今後は企業がこれまで管理していたデータにサステナビリティに関する項目も追加して管理する必要があると想定される
  • 上記のような背景から、次の仮説を検証する
    • サステナビリティに関連するデータの管理は当たり前となり、負荷を減らす効率化が重要になる
    • 効率化を進めるうえで、DXを手段とした取り組みみを織り込んでいくことが不可避になる

【目的】サステナビリティに関連する取り組みとDXを踏まえた実態把握

  • 現在、企業はサステナビリティに関連するデータの収集・管理をどのように行っているのか、その手段として、各社のIT活用の取り組み状況や課題について把握することを目的として、アンケート調査を実施

調査方法

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調査対象 プライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場している企業でサステナビリティに関する取り組みに関与している経営者・就業者
調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査期間 2022年9月20日~9月22日
有効回答数 432名
調査項目
  • 現状のサステナビリティ対応フェーズ
  • サステナビリティに関するデータ収集・管理方法
  • サステナビリティ領域におけるIT活用について
  • サステナビリティに関する重要な取り組みと課題

調査結果概要

現状のサステナビリティ対応フェーズ

  • 「ストーリー・戦略構築フェーズ」と「業務プロセスへの落としこみフェーズ」は同程度であり、全体の半数は、業務プロセスへの落としこみの段階にある

サステナビリティに関するデータ収集・管理方法

  • データに関する課題は、「扱うデータが多く、把握に手間がかかる」が42.5%と最も多く、次いで「データフォーマットが異なるため、手間がかかる」が34.8%、「データの収集・分析ができる人材が足りない」が33.9%と続く
  • 現状のデータ管理方法は、Excelが最も多く、他のITツールに比して概ね10%以上の差を付けているが、一定程度ITツールを導入した管理も行われている

サステナビリティ領域におけるIT活用について

  • IT活用について「非常に取り組むべきである」が35.0%、「やや取り組むべきである」が40.7%と、全体の7割以上がIT活用に対して積極的な回答をしている
  • 社会的要請も含め、人材不足や扱うデータが増えていくことなど、解決したい課題に対してIT活用のニーズが顕在化

サステナビリティに関する重要な取り組みと課題

  • 「サステナビリティに関する取り組みにおいて重要な事項」の上位3位を見た結果のうち1位の回答をみると、最も重要なのは「経営層の理解が深く、そのうえで価値創造ストーリーやマテリアリティが策定されている」が30.3%である
  • 「サステナビリティに関する取り組みを推進するうえでの課題」の上位3位を見た結果のうち1位の回答をみると、最も課題として挙げられたのは「経営層のサステナビリティに関する理解醸成」が19.4%、「サステナビリティ推進のための人材不足」が19.4%である

調査結果から得られる示唆

IT活用を念頭に置いたサステナ推進が今後の鍵に

  • 回答企業のうち半数は「業務プロセスへの落とし込みフェーズ」にあって着実に取り組みを深化させており、サステナビリティを推進している。また、取り組みを推進していく程、IT活用の重要性が認識されている
  • 新たに管理が必要になるデータや情報の増加、人材不足、社会的要請という背景から、業務効率化を目的としたIT活用に対して積極的な意向が見られ、当初の仮説のとおり、サステナビリティ領域においてIT活用のニーズは顕在化している
    • IT活用のニーズはあるものの、扱うデータの多さ、データ把握の手間、保管しているデータフォーマットの違いなど、データ整備に課題がある
    • サステナビリティという新しい取り組みだからこそ、始めからIT活用を組み込んでいくことが有用であり、業務効率化と親和性の高いIT活用を念頭に置いた推進が今後求められる
    • 上記を推進するためには、経営層が自ら理解を深め、トップダウンで推進していくことが重要である。経営層からメッセージを発信することで、 IT活用を念頭に置いた推進、事業部門や現場社員への理解浸透、取り組みの自分事化へつながる

調査結果


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