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2022・2023年度 内外経済見通し
─ ウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰で世界経済は減速 ─

見通しのポイント

  • 2022年の世界経済は前年比+2.6%と、ウクライナ侵攻に伴う資源価格高騰の影響を受けて減速する見通し。ただし、コロナ禍からの正常化局面で個人消費の持ち直しが見込まれることから、景気腰折れには至らず。2023年の世界経済は前年比+3%台の成長に回帰。見通し改訂のポイントは以下の5点
  • ウクライナ侵攻に伴う供給懸念から、資源価格は高騰。欧州が漸進的に対ロ依存度を引き下げるなか、ガス価格は当面高止まりの見通し。なお、ガス供給途絶はロシア・欧州共に影響が甚大であり、あくまでリスク。原油価格は、世界経済減速に伴う需要鈍化や他の産油国の増産もあり、供給不安緩和とともに2023年にかけ下落
  • FRBは物価抑制に向け利上げペースを加速し、資産縮小(QT)に早期着手。金融引き締めにより2023年には物価安定圏に収束と予想。迅速な利上げを進めても、高インフレ下で実質金利はマイナス(=緩和的)であり、労働需要・所得の高い伸びも景気を下支えすることから、米国は景気減速しても後退には至らない見通し
  • 資源高によるインフレや、海外景気減速による外需悪化は新興国景気の下押し圧力に。特に輸出主導型のフィリピン・タイなどは貿易面を通じた影響大。インフレ圧力の高まりや米利上げによる新興国通貨安は金利上昇圧力を高め財政悪化要因に。但し、支払余力・対外債務水準に鑑みると、主要国の短期的デフォルトリスクは限定的
  • 米金利上昇や日本の経常収支悪化、投機筋の円売りも加わり、円安ドル高が進展。2022年後半以降は米物価のピークアウト、原油価格下落に伴う経常収支の悪化一服などが確認され、過度な円安は回避へ。円安は本来日本経済にプラスだが、海外経済減速やコロナによるインバウンド需要低迷もあり円安メリットが享受しにくい状況。特に2022年前半は円安に加え資源高による所得流出のデメリット(「悪い円安」)が意識されやすい環境に
  • ワクチンのブースター接種・治療薬の普及により、先進国各国ではコロナ感染が再拡大しても、医療ひっ迫には至らず、経済影響は限定的との見方。一方、ゼロコロナ政策を続ける中国では、経済活動制限が消費を下押し。減税策などで下押し影響は緩和も、2022年の中国経済の成長率は+4.7%に鈍化する見通し
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