2022・2023年度 内外経済見通し
─ 政策が高める不確実性。蓋然性増すインフレ下の景気後退リスク ─
見通しのポイント
- 世界経済は2023年に+1.6%と一段の低成長になる見通し。欧米中心にインフレは深刻化しており、中央銀行は金融引締めによるインフレ抑制に注力。インフレ・金利上昇を受け、欧米は2023年にかけ景気後退に。アジア圏は今後コロナ禍からの回復に向かうも、物価上昇に伴う内需下押し・外需減速が成長の足かせに
- 労働需給のひっ迫によるインフレ圧力が強い米国では、物価抑制のためにFRBが2023年初にかけて政策金利を4.5~4.75%まで引き上げる見通し。金利上昇が住宅投資、設備投資などの下押し圧力として働き、米国経済は2022年10~12月期から2023年7~9月期にかけて景気後退に
- ウクライナ情勢緊迫化からロシアは欧州へのガス供給を前年比2割程度に減らすと想定。ガス価格高止まり、利上げ進行、米国景気後退の影響から欧州は2022年末からマイナス成長に陥り、2023年の成長率は▲1.2%を見込む。ECBは政策金利を2022年内に2%まで引き上げ、2023年以降は景気後退の深まりや物価ピークアウトを受け様子見に
- アジアは、コロナ関連規制の緩和から足元堅調に推移も、今後は外需下振れやインフレ・通貨安に伴う金利上昇が足かせに。中国は当面ゼロコロナ政策継続による消費低迷と不動産市況の悪化が経済下押し圧力に。ゼロコロナ政策解除、不動産投資の底入れ時期は2023年前半になる見通し
- 日本は、物価高や海外経済減速が下押し要因となるも、 感染収束、水際対策緩和が後押しとなりサービス消費を中心に回復し、プラス成長を維持。2023年は主要先進国が軒並みマイナス成長の中、相対的には堅調に推移
- 金融市場は、FRBの利上げを受けて2022年末にかけ米長期金利の上昇を見込む。日米金利差拡大を受け、ドル円相場は1ドル=150円台半ばまで円安が進展。米金利上昇を受け、米株価は2022年末にかけ下落後、底値圏で推移する見通し。原油価格は需要懸念から下落基調も、そのペースは緩慢に