内外経済の中期見通し
─ ポストコロナのメガトレンド、日本の賃金は緩やかに上昇 ─
見通しのポイント
- 世界経済は2023年に欧米の景気後退から減速するものの、その後は3%程度の緩やかな成長が続く見込み。今後10年で米中逆転はないも経済規模は接近。他方、世界経済成長率の寄与度の過半を占めるなどアジアが相対的に存在感を増す見通し
- 中期的には、少子高齢化、グリーン化、分断化といった供給制約要因によってインフレ圧力が掛かりやすい世界を想定。一方、省力化投資に加え、脱炭素やサプライチェーン再編のための投資が総需要を押し上げ
- 米国経済は、個人消費の拡大に加え、気候変動対応やサプライチェーン再編の加速による設備投資の増加から成長率は1%台半ばで推移。欧州経済は労働人口減少が成長率を下押しするも、気候変動対策が民間・公共投資を押し上げ、1%台前半での成長を見込む
- アジアでは、中国は高齢化に直面、資本投入と生産性の低減もあり、成長率は4%台で緩やかに鈍化。インドは人口ボーナス期が続き、約6%の成長率が続く。NIEsは高齢化が進行し、成長率が鈍化。ASEANは国毎に濃淡あり、人口動態や投資とイノベーションが成長を左右
- 日本経済は、デジタル・グリーン投資増加で資本投入がプラス推移も、労働投入が制約要因になり、先行きの成長率は0%台前半まで鈍化。人手不足による賃金上昇圧力から物価上昇率は1%台前半まで拡大見通しも、日銀の2%物価目標達成は中期的にも困難