2023・2024年度 内外経済見通し
─ 根強いインフレ圧力。財政・金融の引き締めが世界経済の重石に ─
見通しのポイント
- 2023年の世界経済は+2.4%の低成長にとどまる見通し。インフレ・高金利持続を受け、欧米は2023年にかけ景気後退に。アジア圏は、ゼロコロナ政策を解除した中国を中心にサービス消費主導の回復に向かうも、物価上昇に伴う内需下押し・外需減速が成長の足かせに。2024年の世界経済はインフレ残存から+2.9%の緩慢な景気回復に
- 労働需給のひっ迫によるインフレ圧力が強い米国では、物価抑制のためにFRBが2023年前半にかけて政策金利を5.0~5.25%まで引き上げた後、2023年末から慎重に利下げ。金利上昇が住宅投資、設備投資などの下押し圧力として働き、米国経済は2023年4~6月期から2023年10~12月期にかけて景気後退に
- 欧州は、暖冬によるガス価格下落を受けて2022年末は堅調に推移。一方、賃金インフレへの懸念からECBは金融引き締めを維持。高金利、コアインフレ高止まりの影響から、欧州は2023年に▲0.1%とわずかにマイナス成長、2024年は緩やかな回復に
- 中国は、ゼロコロナ政策を解除し、2023年はサービス消費主導の回復。不動産市場の低迷は継続も、2023年末には底入れし、2024年は巡航速度並みに。ASEANは中国からのインバウンド回復の恩恵を受ける一方、NIESでは欧米経済の停滞が輸出を下押し。2024年はそれぞれの要因がはく落し、巡航速度並みに回帰
- 日本は、物価高や海外経済減速が下押し要因となるも、サービス消費、インバウンド需要を中心に回復し、プラス成長を維持。2023年は主要先進国が軒並みマイナス成長の中、相対的には堅調に推移。2024年は海外経済の回復が輸出を押し上げる一方で、実質賃金の減少は継続し成長率は鈍化
- 金融市場は、米国の景気後退の影響を受け、2023年後半にかけ米長期金利、米株が下落。日銀は2023年4~6月期に長期金利目標を撤廃、2024年10~12月期にマイナス金利解除を予想。日本の長期金利は1%近傍まで上昇。日米金利差の縮小からドル円相場は1ドル=120円前後まで円高が進展