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みずほリポート

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「新しい資本主義」と人的資本投資

─ 生産性と所得格差からみる日本の長期停滞要因と処方箋 ─

2022年5月20日

調査部 経済調査チーム 上席主任エコノミスト 服部直樹
naoki.hattori@mizuho-rt.co.jp

概要

  • 日本は1990年代以降、「低生産性」と「低所得化」の2つの課題を抱え、長期停滞が継続
    • 成長期待の低下を受けて企業の投資活動が停滞
    • 企業はコスト削減圧力から人件費を抑制し、非正規雇用が拡大
    • 「低所得化」を背景に、景気回復局面でも消費が力強さを欠く状況
  • 経済構造の「無形化」シフトに乗り遅れたことが、「低生産性」と「低所得化」の背景
    • 付加価値の源泉が有形の「モノ」から無形の「サービス」に移行し、既存産業の生産性が低下
    • 日本は無形資産投資が停滞。なかでも人的資本への投資が不足し、新たなスキルを身に着けた労働者を十分供給できなかったことが、産業構造転換の遅れの一因に
  • 公的な人的資本投資を拡充し、成長と分配を同時に実現へ
    • 生産性を高める(成長)には無形化シフトへの対応が求められるが、その恩恵は一部の高スキル労働者に集中し、結果的に所得格差が拡大する分配面の副作用あり
    • 民間企業の人的資本投資を支援し、生産性を高める(成長)とともに、公的な教育訓練と雇用セーフティーネットの拡充で幅広い労働者の稼得能力を高め、所得格差の拡大を是正(分配)
    • 日本の成長率を欧米並みの1%台半ばへ引き上げるには、官民で年間4兆円弱の人的資本投資が必要。現状対比の追加額は年間2.3兆円、うち1.3兆円を公費負担すべきと試算
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