みずほリポート
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「貯蓄から投資へ」は進むか?
─ 資産所得倍増プラン成功のカギと将来シミュレーション ─
2023年8月18日
調査本部 調査部
チーフエコノミスト 太田智之
経済調査チーム次長 山本康雄
主席エコノミスト 酒井才介
主席エコノミスト 服部直樹
主任エコノミスト 風間春香
エコノミスト 中信達彦
西野洋平
総括・市場調査チーム次長 有田賢太郎
主席エコノミスト 宮嵜浩
主任エコノミスト 坂本明日香
要旨
- ■岸田政権が新しい資本主義政策の一環として策定した「資産所得倍増プラン」をきっかけに、家計のリスク資産(株式・投資信託)投資増加への期待が高まっている。
- ■高齢化の影響で貯蓄率は低下するものの、家計の金融資産残高は今後も緩やかな増加が見込まれる。
- ■家計のリスク資産保有を阻害してきた要因として、①リスク資産の収益率の低さ、②金融リテラシーの低さ、③未成熟な投資促進制度、④将来不安、が挙げられる。このうち①~③に変化の兆しがみられ、長年の政策課題であった「貯蓄から投資へ」の進展が期待できる状況になっている。シミュレーションによれば、若年層を中心とするリスク資産保有世帯の増加、株価の持続的な上昇により、家計のリスク資産保有残高は現状の2.4倍に拡大する。
- ■投資拡大が期待される若年層の金融リテラシーは、過去に比べて改善しているとはいえ、まだ低い。資産所得倍増プランを促進する上では、官民を挙げて金融教育の拡充に取り組む必要がある。