ページの先頭です

みずほリポート

全⽂ダウンロードはこちら(PDF/5,041KB)

リポートに関するアンケートにご協力ください(所要時間:約1分)
(クアルトリクス合同会社のウェブサイトに移動します)

景気堅調とインフレ減速が両立する米国経済

─ 先行きはマイナス成長を回避、「グロース・リセッション」へ ─

2023年12月25日

調査部 経済調査チーム 上席主任エコノミスト 松浦大将

要旨

  • 大幅利上げでも足元の米国経済が堅調なのはなぜか?
    ―FRBが大幅利上げを行うなかでも、個人消費は力強い伸び。家計では、リーマン・ショック以降の低金利環境で、借入金利の固定化が進み、利上げ局面でも利払い負担が増えづらい構造。インフレ率は鈍化傾向にあり、雇用増と相まって家計購買力の支えに
  • 「景気堅調」と「インフレ鈍化」が両立しているのはなぜか?
    ―コロナ禍で行われた投資増を起点に製造業の生産能力や流通業のロジスティックスは正常化。供給能力の正常化で「モノ不足」が解消し、小売段階の財インフレは鈍化
    ―移民やプライム層の労働参加で「ヒト不足」も緩和。労働需給の緩みから企業の賃上げ意欲が後退し、賃金・サービス価格は鈍化。労働供給拡大が雇用増と物価減速を促進
  • 米国経済はこのまま堅調さを維持できるのか?
    ―金融引締めが企業部門の総需要を抑制、2024年前半に投資は伸び悩み
    ―企業業績の悪化に伴い人材の採用意欲は後退するが、景気に左右されにくい医療と政府といった「岩盤」産業に移民やプライム層が流れ込み、雇用・所得の大幅悪化は回避
    ―雇用喪失なき景気減速・インフレ鈍化が実現する「グロース・リセッション」へ
  • 金融政策の見通しは?
    ―FRBは、景気とインフレの着実な減速を確認した上で2024年Q2より利下げを開始
    ―ただし、高齢層の早期退職という労働市場の構造的な人手不足要因が残る中、賃金インフレ圧力は残存。FRBはインフレ警戒バイアスを残しつつ、慎重に利下げを実施
ページの先頭へ