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みずほリポート

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円安が進むドル円の再評価

─ 緩やかな円高予想も、日米金利や円需給を巡る不確実性は円安リスクに ─

2024年4月23日

調査部 総括・市場調査チーム エコノミスト 東深澤 武史
主席エコノミスト 有田 賢太郎
主席エコノミスト 福田 善之
上席主任エコノミスト 上村 未緒
調査部 経済調査チーム 主席エコノミスト 服部 直樹
主席エコノミスト 酒井 才介
上席主任エコノミスト 松浦 大将

要旨

  • ドル円は金利要因、円需給要因、投機要因で足元1ドル=154円台に。日米金利差拡大や円需給悪化、そうしたもとで進んだ投機的な円売りが背景に
  • 米長期金利は、足元の景気の底堅さ、米3月CPIでインフレの根強さが引き続き確認され、4%後半まで上昇。もっとも、労働需給緩和や生産性改善の動きは継続しており、先行きは緩やかなインフレ鈍化の見方を維持。9月以降段階的な利下げを実施し、米長期金利は4%程度まで低下
  • 日本の長期金利は、マイナス金利解除後も小幅な上昇に留まる(0.8%台)。日銀が緩和継続スタンスを示すとともに、国債保有残高を維持し、長期金利の上昇を抑制。先行きは春闘の力強い賃上げを受け、2025年前半までに2回程度の利上げ、日長期金利は1%台前半までの上昇を見込む
  • 円需給は、今後マイナス幅が縮小、円安圧力は緩和へ。貿易収支は製造業サイクル改善、原油価格上昇一服で赤字幅縮小へ。直接投資は、国内・海外のバランスをとった投資になり、2023年のコロナ禍からの反動による急増からは一服。ただし、サービス収支は赤字継続し下押し圧力に
  • 投機要因は、日米金利差縮小、円需給の改善に伴い、円売り圧力が今後緩和する見通し
  • 以上を踏まえ、ドル円は2024年度末に1ドル=140円台前半と緩やかな円高を予想
  • もっとも、為替のボラティリティは高く、リスクバイアスは円安方向。米景気の強さの継続、トランプ政策などを起点とするインフレ再燃(米金利上昇によるドル買い)、中東情勢の本格的悪化による原油価格急騰(円需給悪化による円売り)など、円安リスクを顕在化させうる要素への点検は随時必要
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