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透過膜材料設計に対する分子動力学計算

背景及び目的

燃料電池に向けた高純度水素ガスの製造のための水素透過膜や水質浄化に用いる汚染物質除去膜など、環境・エネルギー分野等で優れた透過性を持つ高機能膜が注目されています。透過膜材料の設計では、水素分子や水分子等必要な物質を効率良く透過するため、透過率を高くすることが求められます。透過率は拡散係数と溶解度の積で現れることから、これらの物性値が材料設計における指標となります。

解析事例

分子動力学計算を用いて、材料中の溶質分子の拡散係数の評価を行った事例を紹介いたします。非晶質合金中の水素の分子動力学計算により、様々な合金組成や水素濃度に対して拡散係数を求め、それらの条件による影響を調べました。拡散係数は水素の軌跡から平均二乗変化を計算し、その時間に対する勾配から求めました。

非晶質合金中の水素の挙動


非晶質合金中の水素分子の軌跡の平面投影図


非晶質合金中の水素の平均二乗変位


合金中の水素の拡散係数と水素濃度

成果及び展望

非晶質合金中の水素の挙動に対して分子動力学法に基づくシミュレーションを行い、合金組成や水素濃度等、様々な条件に対する拡散係数を求めました。今後の展開としては、最適な水素透過膜材料の設計指針提供のために、様々な合金材料に対して系統的にシミュレーションを行っていくことが考えられます。また、水素透過膜以外にも、水質浄化膜や汚染除去フィルタ等の環境浄化のための材料設計への応用が考えられます。

お問い合わせ

担当:サイエンスソリューション部
電話:03-5281-5311

サイエンスソリューション部03-5281-5311

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