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インフルエンザウイルスタンパク質とタミフルとの相互作用解析

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背景及び目的

ノイラミニダーゼ(NA)はインフルエンザウイルスタンパク質の1つであり、増殖したウイルスが宿主細胞から脱離する過程にかかわります。またNAはタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬のターゲットであり、薬剤耐性にもかかわっています。

解析事例

フラグメント分子軌道法を用いて、NAタンパク質とタミフルとの相互作用を、残基単位で明らかにしました。His274Tyr, Asn294Serは、タミフル耐性を持つことが知られています。地球シミュレータを用いてMP3/6-31G法による計算を行い、高精度な相互作用解析を行いました。

ノイラミニダーゼ阻害薬(抗インフルエンザ薬)

成果及び今後の展望

図は、タミフルに対するNAの各アミノ酸残基の相互作用を示しています。赤色はタミフルと引力的な相互作用、青色は反発的な相互作用をしています。赤色のアミノ酸残基が突然変異を起こすことで、薬剤耐性を持つ可能性が高いと考えられ、ウイルス変異の予測に役立つことが期待されます。また、赤色・青色のアミノ酸残基との相互作用の強さを調節することで、より効果の高い阻害薬の設計ができると考えられ、論理的創薬に役立つことが期待されます。

タミフル(黄色)とNAの各アミノ酸残基とフラグメント間相互作用エネルギー

図:タミフル(黄色)とNAの各アミノ酸残基とフラグメント間相互作用エネルギー

参考文献

Y. Mochizuki, K. Yamashita, K. Fukuzawa, et al., Chem. Phys. Lett. 493, 346 (2010).