REPORT レポート
教育分野におけるAIの利活用と検討事項(3/3)
4. おわりに
本稿では、教育におけるAIの利活用と利活用における検討事項について紹介した。利用者に未成年が含まれる教育分野は、進路決定や監視社会への習慣化等、人生に与える影響が大きいことから、慎重にならざるを得ない分野であることは否めない。しかし、今回紹介した検討事項を過剰にネガティブに捉えてAIを含めた先端技術を一切導入しないとするのではなく、EUのAI規制や米国の“Evidence-based”の考え方のように、利活用の場面を定めたり、どの程度有効性を示せているか評価したりするといったグラデーションをもった検討をすることで教育現場での利活用が進むのではないだろうか。
当社では、AIをはじめとした先端技術利活用に係る技術調査業務の実績が豊富である。業務経験により培った知見等を活かして、教育分野へ貢献していきたい。
謝辞:本論の作成に当たっては、当社の戦略コンサルティング部の月井氏に中国での取り組みについて調査協力頂いた。記して御礼申し上げる。
引用文献
*1)NHK, 読書感想文コンクール AI悪用への懸念から応募要項を改定へ | NHK | IT・ネット(参照2023-10-27)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230329/k10014023701000.html*4)太田邦史, 生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について | utelecon (参照2023-10-19)
*5)文部科学省 初等中等教育局, 「初等中等教育段階における生成 AI の利用に関する暫定的なガイドライン」の作成について(参照2023-10-19)(PDF/3,240KB)
*6)文部科学省 初等中等教育局, 初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(参照2023-11-13)(PDF/3,080KB)
*13)文部科学省編:諸外国の教育動向2022年度版(明石書店, 2023)223.
*15)https://www.opm.go.kr/_res/opm/etc/kukjungfile2022.pdf(参照2023-10-20)(PDF/2,330KB)
*16)文部科学省編:諸外国の教育動向2022年度版(明石書店, 2023)262.
*18)文部科学省, 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ) (参照2023-10-19)(PDF/1.490KB)
*21)緒方研究室, 【NEDO】学習者の自己説明とAIの説明生成の共進化による教育学習支援環境EXAITの研究開発(2020年7月~2022年2月) – 緒方研究室(参照2023-10-23)
*24)Khan Academy, Khanmigo Education AI Guide | Khan Academy(参照2023-10-23)
*26)経済産業省,令和5年度「未来の教室」実証事業 公募要領 (生成AIを用いた教育サービスの検証)(参照2023-10-23)
*28)UNESCO, Beijing Consensus on Artificial Intelligence and Education (参照2023-10-19)
*29)UNESCO, AI and education: guidance for policy-makers (参照2023-10-30)
*32)Department for Education, Generative artificial intelligence in education(参照2023-10-23)
*34)文部科学省, 教育の質の向上に向けた効果的なデータ連携・活用のポイントと学校改善事例集(参照2023-10-23)(PDF/12.980KB)
*35)文部科学省, 教育データの利活用に係る留意事項(第1版)(参照2023-10-24)(PDF/3.400KB)
*36)若林魁人, 岸本充生, 教育データEdTechのELSI(倫理的・法的・社会的課題)を考えるための国内外ケース集 (参照2023-10-24)
*37)文部科学省, 学校における先端技術活用ガイドブック(第1版)(参照2023-10-23)(PDF/6.610KB)
*38)Milly Chan., This AI reads children’s emotions as they learn(参照2023-10-24)
*39)経産協力開発機構:OECD教育DX白書スマート教育テクノロジーが拓く学びの未来<OECDデジタル教育アウトルック2021年版>(明石書店, 2022)29-30.
*40)小田智博, 「聞いてるふり」は通じない?集中しない生徒をリアルタイムで把握 教員からは期待,「管理強化」に懸念も(参照2023-10-24)
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ad2010ecaa0c279e014640d39b6c33bda3e8adf*41)国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター, 人工知能研究の新潮流2―基盤モデル・生成AIのインパクト―(参照2023-10-24)(PDF/9.460KB)
*42)経産協力開発機構:OECD教育DX白書スマート教育テクノロジーが拓く学びの未来<OECDデジタル教育アウトルック2021年版>(明石書店, 2022)47-48.
*44)「人工知能に関する調和の取れたルールを定める規則の提案」(欧州委員会(2021年4月21日))本文・付属書(仮訳)(参照2023-10-24)(PDF/986KB)
*48)Open AI, New AI classifier for indicating AI-written text(参照2023-10-27)
*53)吉田塁, 生成 AI の基礎と教育における活用可能性(生成AIの利用に関するオンライン研修会【第1回】 (参照2023-10-27)(PDF/4,300KB)
*54)U.S. Department of Education, U.S. Department of Education Shares Insights and Recommendations for Artificial Intelligence | U.S. Department of Education (参照2023-10-27)
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