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ホンダカーズ東京中央、支払い業務の効率化をきっかけに新たな業務フローを構築

株式会社ホンダカーズ東京中央

軽乗用車「N-BOX」、コンパクトカー「FIT」、スポーツ/SUVタイプ「VEZEL」、ミニバン「ODYSSEY」、セダン「Accord」など、世代を超えた幅広い層の消費者が求める車種を多岐にわたって展開するHonda。このHonda車の販売を手掛ける全国31社の販売会社のなかでも、全国トップクラスかつ関東最大級の規模を誇るのが、株式会社ホンダカーズ東京中央だ。

ホンダカーズ東京中央は、東京都内に新車拠点66店舗、中古車拠点9店舗と、計75店舗のネットワークを有し、主にHondaの新車・中古車販売及び点検・車検・整備、自動車損害保険やクレジット支払い手続きなどを手掛けている。

同社の管理本部経理ブロックでは、2014年8月より、みずほ情報総研の提供するワークフロー統合管理ソリューション「Systemaflow」を活用して、自動車販売会社ならではの複雑な支払い業務について、抜本的な見直しを進めている。今回、同社管理本部の総務・経理部で部長を務める柳田 孝太郎氏と、事業管理部経理ブロックでチーフを務める張 在国氏に、導入の背景とその効果について伺った。

経理ブロックの抱えていた二重作業問題

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株式会社ホンダカーズ東京中央
管理本部 総務・経理部
部長
柳田 孝太郎氏

「事業管理部経理ブロックでは、2013年7月から、従業員の目がよりお客さまに向くように、仕事を改善するという目的のもと、ワンオペレーションの取り組みをスタートしました。この業務改革の一連の動きのなかに、今般のシステム導入を組み込んでいます」と、柳田氏は語る。同社が取り組んでいるワンオペレーションとは、複雑化した業務をシンプルにすることで、業務効率を改善するという一大プロジェクトだ。

「買い替えに伴う自動車税の返金や中古車の仕入れ等、当社からお客さまへの振込みは、年間1万5,000件~2万件程度あります。従来は、各拠点で紙で作成した支払依頼書を店長が承認し本社へ送付。その情報を本社が手入力でシステムに打ち込み、振込依頼データの形で金融機関に送信するというフローでした。ワンオペレーションの取り組みを進めるなかで、まずはこの非効率な二重作業を改善をしようと思い立ちました」と、張氏は導入の経緯を説明する。

また、従来のフローには、各拠点から支払いの進捗度合いが即時で把握できなかったり、本社で手書きの支払依頼書を正しく読み取れずに、振込みが実行できず組み戻しとなるケースが生じるなど、様々な課題があったという。

そこで、支払い業務の見直しのために導入したのが、みずほ情報総研の「Systemaflow」だ。同ソリューションの導入により、これまで各拠点で起票していた内容をシステムへ入力してもらい、本社はそのデータを受け取るという仕組みにしたのである。さらに「Systemaflow」で蓄積した支払いデータは、登録内容の間違いがないかチェックが行われたうえで、同社のメインバンクであるみずほ銀行の口座確認振込システム「振込スッキリ」に引き渡されるという。このシームレスな連携も、振込後の組み戻し発生防止の一翼を担っている。

導入から2カ月で削減した時間は244時間。大幅な効率化をもたらした新システム

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株式会社ホンダカーズ東京中央
事業管理部経理ブロック
チーフ
張 在国氏

2014年8月の「Systemaflow」導入から約3カ月が経過したが、どのような効果が現われているのだろうか。

「9月以降、組み戻しの件数は0になりました」と、張氏はその結果に頬を緩める。9月以降の2カ月間、約3,000件の振込のうち平均3%、つまり約90件発生していた組み戻し件数が0になったという。この組み戻しの減少の理由については、柳田部長が説明をしてくれた。「まずは、各拠点で支払いに関する情報をデータ入力するようになったことで、本社による読み取りや入力時の誤りが無くなり、これに起因する振込不能がなくなります。また、銀行への振込処理の前にデータの確認を行えるので、実際の振込でエラーが発生する前に、入力の間違いに気付くようになったことが大きいでしょう」。

目に見える効果として挙げられたのは、組み戻しの激減だけではない。当初の目的である、二重作業の解消による効果も如実に現われているようだ。

「従来、本社がデータ入力に掛けていた時間は、1件あたり1分。年間で2万件ありますので、本社では約2万分(約333時間)もの時間を短縮できたことになります。また、かつて拠点では手作業で入力していたために履歴が残らず、お客さまから支払い期日に関する問い合わせを受けると、1件ずつ依頼票を手作業で探し、本社への問い合わせをするなど、大変な体力をかけていました。システムの導入後は、各拠点のPC上で振込みに至るまでのステータスが見られますから、本社に確認の連絡を入れる必要もなくなりました」と、張氏は導入効果を説明してくれた。また、日々発生する処理以外にも、経理ブロックでは2カ月分の全振込みデータを2週間かけて集計していたが、現在は、データの集計が1時間で終わるようになったという。

張氏の試算によると、8月の導入から10月末までの約3カ月で、本社によるデータ入力だけでも約60時間、その他の経理業務での効果も含めると全体での削減時間は約377時間になるそうだ。また、エラーの減少による金融機関の手数料減は約12万円になるという。その他、電子申請により、本社とのFAXでのやり取りがなくなり、FAX通信費や紙の削減にも貢献するなど、業務全体にわたるランニングコストの圧縮という効果も大きいようだ。

担当者間の密な相談を経て迎えた本番稼動

検討段階では、大規模販売店ならではの問題もあったという。柳田部長によると、2006年にHondaがホンダカーズのチャネル変更を決定し、従来のベルノ、クリオ、プリモという販売チャネルの一本化が行われることになった。利用しているシステムだけでなく、処理の手法も違う各店舗を段階的に統合していく中で、統合の度に、拠点に応じたやり方に変化させ、教育を行い、水準を合わせたものの、なかなか足並みが揃わないこともあったようだ。

「店舗の統合を繰り返していく中で、イレギュラーな対応も増えてしまっていました。そのため、当初想定していた機能でカバーし切れず、随時、みずほ情報総研の担当者に相談をさせてもらいました」と、張氏は大規模店ならではの悩みを吐露した。「当社で気付いた時点で一緒に検討してもらえる体制が構築されていた点については、大変有難く感じています」。密な連携によって無事動き始めたシステムについて、張氏は笑顔で語りながら、現在はその安定稼動へと目を向け始めている。

一方で、これまで紙ベースで起票していたものを、電子申請に変えることに、利用者から戸惑いの声はなかったのだろうか。

「各拠点や経理ブロックで使う前に、全経理スタッフを対象に研修を実施したこともあり、大きな混乱はありませんでした」と、張氏は語る。「必要な事項を必要な箇所に入れるだけで、画面操作や処理はとても簡単です。動き出すと、利用者もすぐに慣れてしまったようです」と、柳田部長も「Systemaflow」の使いやすさを評価する。

システムの高い柔軟性を活用し、新機能の追加に着手

支払依頼書の電子化の完了後、同社では「Systemaflow」に下取り車に使用する中古車搬入票の機能を構築した。「Systemaflow」でデータを一元管理することで、下取りをする販売会社、本社、中古車販売店との書類のやり取りをなくし、搬入事務や後続の支払い関連手続きの早期化と省力化を実現しているという。

「中古車の搬入に関する共通の情報は、本社で日々入力しているため、拠点で入力する必要はありません。中古車の場合、数字をひとつ間違えただけで別の車両を示すことにも繋がるため、共通の情報については、拠点での入力を省くことで、間違いの発生を防いでいます。すでに、中古車搬入票を導入した目的である自動車税の支払いはクリアしています。ただ、還付金に関する手続きを想定していなかったため、追加開発を検討しているところです」と張氏は話してくれた。

柳田部長も、「個人が所有する車は、購入した年度や国の政策・制度、管轄する税務署によって、税金の申請や還付方法など、何もかもが異なります。非常に複雑で担当者の経験に頼るところが大きい税の仕組みをシステムでカバーできれば、誰でもスムーズな処理が可能になり、大きな効果が生まれると期待しています。税金が発生する来年4月までに、還付金の仕組みも完成させたいと思います」と、追加機能への期待を熱く語る。

加えて、柳田部長は、健全で透明性の高い経営への効果も見込んでいることを教えてくれた。「コーポレート・ガバナンスの高度化を推進している当社において、契約段階でお客さまに通知している税の還付は、正確な履行が絶対です。しかし、監査で帳票の確認をした時に初めて支払漏れが判明するというケースも見られました。このような処理も、システム上でデータ管理を行えれば、本部側で流れを把握できます。還付金の仕組みが加わることは透明性の高い業務運営にもつながると考えています」。

同社の目指す新たな業務フローと今後の展望

同社では「Systemaflow」を、経理領域だけではなく、サービスの領域でも活用していく計画を進めているという。「今後、当社で実施している年間2回の棚卸しでも活用する予定です。棚卸しは、現物を確認して、経理が伝票を入力して、それを確認するというプロセスを決算期に1日でこなさなければならないため、経理ブロックでも棚卸し本番(2015年3月)前に試行運用する予定です。棚卸しの機能も一部拠点ですでに稼動させているのですが、大変使いやすいものに仕上っています」と張氏は語る。

支払い業務の効率化を目的に導入した「Systemaflow」。ホンダカーズ東京中央は、その柔軟性を最大限に活かし、中古車搬入票の電子化や棚卸し業務へと活用領域を拡げている。この仕組みを、今後、全国の販売会社に展開していく予定はあるのだろうか。

「お客さまへの支払いに関しては、どの販売会社も苦労しているようです。ある販売会社では、専任のアルバイトスタッフを雇用して、毎日振込みの手続きをしているという話も聞いています。おそらく、どこも同じ苦労をしているのだと思います。中古車搬入票への税の還付金の仕組みを搭載できた段階で、他の販売会社にもお勧めしていきたいですね」と、張氏は構築してきた仕組みを広く展開していきたいと話してくれた。

当初の目的達成に満足することなく、業務の改革を進めていくホンダカーズ東京中央。消費者の求めるクルマを提供し、そのアフターフォローまで手がける同社の中で、「快適なカーライフを提供する」という思いが新しい業務の流れを生みだそうとしている。

  • *この記事は、2014年11月の取材をもとに作成したものです。

お問い合わせ

担当:広報室
電話:03-5281-7548

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