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宮崎太陽銀行、BANK・Rの導入により融資業務に関わる業務効率を大幅に向上

宮崎太陽銀行

2005年より、地域金融機関向けの融資業務支援パッケージソフトウェアソリューション「BANK・R」を導入している宮崎太陽銀行。同行では、必要なシステムだけを段階的に導入できるというBANK・Rの利点を活かし、2005年12月にBANK・Rの「信用格付・自己査定システム」を導入して以来、「バーゼルII対応システム」、「電子稟議システム」、「不動産担保評価システム」と必要なシステムを段階的に迅速に追加し、融資業務に関わる多くの情報を統合データベースとして一元化することで、融資業務の効率化、高度化、そして迅速化を図っている。そして2012年4月には、「顧客情報管理(営業支援)システム」を追加し、BANK・Rを営業推進にまで拡張させた。

カスタマイズにより最適なシステム構築を実現

宮崎太陽銀行 取締役営業統括部長 中原 直樹氏

宮崎太陽銀行
取締役営業統括部長
中原氏

数あるシステムのなかで、なぜBANK・Rの導入に踏み切ったのか。「当時、審査関連業務に関しては、紙ベースで運用していました。しかしながら、稟議スピードの向上、審査基準の統一、データ蓄積という3つの観点から、電子化に移行することを決定しました。様々なシステムを比較したところ、当行の意見を反映させて最大限のカスタマイズ(*1)ができ、無駄を省いたシステムを構築できるのが、BANK・Rであるという結論に達しました」と、同行の取締役営業統括部長を務める中原 直樹氏は、BANK・Rの導入に至った経緯を振り返る。

同行のBANK・Rは、導入開始から8年が経過した本年、従来の審査業務に関連するシステムにとどまらず、営業支援システムを加えて完成を迎えた。中原氏は現在、完成したBANK・Rをどのように見ているのだろうか。

「当行のBANK・Rは、要望をほぼ満たした、使い易いシステムに仕上がったと自負しています」と、中原氏はBANK・Rの機能性を高く評価する。「システムをフル装備しても、使いこなせなければ勿体無いですから、導入に当たってはある程度のカスタマイズが必要だと思います。当行は、現場の声を吸い上げ、みずほ情報総研と電通国際情報サービスの担当者の方と頻繁に打ち合わせを重ねて、カスタマイズを実施しました。両社の担当者からは、当行の要望に対して、“負荷がかかる”、“費用と時間がかかる”などの実情を踏まえた助言こそあれ、“出来ない”といわれた事はこれまで一度もありません。当行の要望をよく理解した上でカスタマイズのご提案を頂いたからこそ、無駄を省きながら、要望を満たしたシステム構築が実現したと考えています」と、中原氏はBANK・Rの構築におけるカスタマイズの重要性を説く。

本年4月に導入した営業支援システムも、同行のリクエストを受けたカスタマイズ開発と言える。「BANK・Rの導入当初、将来的には営業推進にまでBANK・Rの機能を広げたいという思いはありましたが、当時使用していた企業財務分析診断システムや担保調査システム、MCIF(Marketing Customer Information Files:マーケティング用の顧客情報データベース)を上手く統合することが第一優先でした。しかし、5、6年ほど経った頃、みずほ情報総研と電通国際情報サービスの担当者と様々な話し合いを進めるなかで、県内6~7割の企業から決算書を頂いている以上、決算書のデータを営業に活かすという意味でも、BANK・Rに営業推進の機能を付加すべきであるという結論に至ったのです」と、中原氏。そして、構想からおよそ2年の歳月を経て、BANK・Rの顧客情報管理(営業支援)システムが開発され、同行への導入となったのである。

BANK・Rにより達成した業務効率向上

では実際、BANK・Rによって、宮崎太陽銀行での業務は、どのように変化したのだろうか。「電子稟議システムを導入してから、業務スピードと業務効率が格段に向上しています。BANK・Rを導入してからは、従来の紙ベースではなくネットワークを活用してシステム上で処理できるようになりましたので、事務作業は本部ですべて一括して行っています。これまでは、渉外担当者、上席、そして支店長が確認してから稟議書を本部に回していましたが、現在では渉外担当者がBANK・Rに案件を入力すると、自動的に本部へ回付され、即日融資が可能かどうかの判断が下されます。営業店での作業時間が10分の1程度に短縮されたほか、お客様への連絡も迅速に出来るようになりました」と、中原氏はBANK・Rの導入効果を高く評価する。

宮崎太陽銀行 経営企画部 副長 岡田氏

宮崎太陽銀行
経営企画部 副長
岡田氏

同行の経営企画部で副長を務める岡田氏によると、BANK・Rによって業務効率が向上したことで、2年半ほど前から各店舗で1名ずつ、融資担当から渉外担当へとシフトさせているそうだ。また、1日あたり1,500枚程度使用していた用紙の使用量も大幅に削減、ペーパレス化も達成している。

8年を掛けて段階的に導入したことで、現場にもスムーズに受け入れられたようだ。中原氏によると、BANK・Rの導入当初こそ相当な回数の研修を要したものの、段階的にシステムを導入したことで、運用する行員がBANK・Rの扱いに慣れ、円滑に使いこなしているという。本年4月の営業支援システムの導入において、研修を1、2回実施したのみで行員が運用できているという事実からも、同行の行員がいかにBANK・Rの機能を理解し、使いこなしているかがよくわかる。

また、営業支援システムは、営業スタイルにも変化をもたらしたと言う。「これまでも、お客様からの要望は出来るだけ記録に残すようにと指導していましたが、渉外担当者の裁量によるところが大きく、記録保存と呼べるものではありませんでした。しかしながら、今回営業支援システムを導入したことで、お客様の情報を詳細に記録しようという意識が行員間で高まり、徹底的な情報管理がなされるようになったと実感しています」と、中原氏は語る。BANK・Rからデータを抽出、データをもとに顧客の要望や傾向などの分析を行い、営業活動に活かす行員も見られるという。

「かつてのように、1日何件の企業を回るというノルマを設定するやり方は、現代では通用しません。資産運用をしたい方、資産をこれから作りたい方、手持ち資産をそのままにしておきたい方など、その方々にあった提案が必要です。しかしながら、お客様のデータ蓄積がないとお客様のニーズにあった最適なご提案もできません。当行では、BANK・Rを活用することで、お客様の状況を把握するうえで必要な情報を効率よく入手し、お客様についての理解を深め、時間をかけてお客様にあったご提案をするというスタイルに近年移行しています」と、中原氏は語る。

教育ツールも担うBANK・R

BANK・Rが果たすのは、業務効率の向上だけではない。同行では、BANK・Rが教育的役割も担っているようだ。「紙ベースで業務処理を行っていた時代は、案件が放置されていても、渉外担当者の記入の仕方に問題があっても、承認者の手元に書類が来るまではなにも出来ないという状態でした。しかしながら、今では同時に複数人が画面上で同じ案件を確認することが可能ですから、案件が承認者の手元に上がってくる前に確認や指示をすることも出来ますし、書き方や表現方法の指導も出来るようになりました」と中原氏は語る。

「BANK・Rの導入により、コミュニケーションが円滑化したというメリットもあります。かつては、書類が手元にない状態で、営業店の新人行員が本部の審査担当者からいきなり電話で怒られるということもよくありました。しかしながら、今は同時にシステム上で確認できますから、どう修正すべきなのかのやりとりが瞬時に行えるようになっています。若い行員にとって、怖いおじさんという存在だった審査担当者が、いまでは良い教師という存在に変化していると感じています」と、中原氏は続けた。

BANK・Rの今後の活用

宮崎太陽銀行では、既にBANK・Rが業務のなかで最大限に活かされていると感じられるが、今後新たな使用方法も検討しているのだろうか。「BANK・Rは非常に汎用性があると感じています。他行でも実践されているようですが、今後は人事考課にも、BANK・Rを活用したいと考えています。たとえば、5,000万円の案件を獲得するのにかかった時間や、1時間で処理した案件数など、単純な比較をすることも可能ですし、渉外についても、データの登録内容や実績をシステムで確認することができますから」と、中原氏は語る。

「機能を追加するという観点で考えると、債権回収に役立つ機能も追加できれば、より完璧なシステムになると思います。現在、他社の消費者ローン系の代弁システムなどを利用していますので、その機能まで備えることが出来れば、より効率化を図ることができるほか、これまでとは違うデータ分析も出来るようになるでしょう」と、中原氏は今後の機能追加を検討していることも示唆する。

岡田氏も、「不動産担保評価システムを導入済みですので、不動産情報を営業に活かす戦略も考えられると思っています。地図情報も入っていますので、それを営業にどのように活かせていけるかを考えています」と、BANK・Rのさらなる活用を検討していることを打ち明けてくれた。

地域密着型銀行を目指して

BANK・Rの導入が一通り完了した宮崎太陽銀行。今後はどのような活動に注力するのだろうか。「今後は、リテールに注力していくほか、もう一つの柱としてコンサルティング業務にも傾注します。また、宮崎県を中心に約50店舗を運営していますが、都市部に人口が集中していることもあり、県内のポジションを見直す動きにも出ています」と、岡田氏は同行の戦略について語った。

中原氏は、「これまでは、お客様ひとりひとりのニーズをじっくりと聞く時間が確保できませんでした。これからは、BANK・Rを活用して時間を確保し、お客様にあったご提案をしていきたいと考えています。お客様はそれぞれニーズが違います。時間は限られていますので、今後は営業のあり方を変えていきたいと思っています」と、今後の同行のあるべき姿についての考えを教えてくれた。

お客様ひとりひとりのニーズを理解し、最適な提案をしようと様々な策を練る宮崎太陽銀行。その姿勢は、地域密着型銀行として地域の顧客を第一に考えている同行の理念を投影している。


  1. *1カスタマイズ:BANK・Rの既存仕様に対して当行独自の仕様を組み込むこと

  • *BANK・Rは株式会社電通国際情報サービスの登録商標です。

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