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みずほリサーチ&テクノロジーズ技報 Vol.2 No.1

目次

巻頭言

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巻頭言
サイエンスソリューション部長 米田雅一

(PDF/168KB)

機械学習モデルの最新技術

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01. 最適輸送を用いた量子状態学習
宇野隼平,手塚宙之,山本直樹(概要

(PDF/1,186KB)

02. 非線形材料構成則計算に対する深層学習の適用可能性の検討
賀須井直規,今井隆太(概要

(PDF/1,113KB)

03. 拡散モデルを用いた分子構造生成
石田純一(概要

(PDF/934KB)

《コラム》第3の科学,研究開発など雑感 池田基久(PDF/527KB)

持続可能社会の実現に向けて

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04. FLIPによる液状化解析について
室井謙吾,眞鍋尚(概要

(PDF/1,559KB)

05. モード分解と経験コピュラを用いたシナリオ地震動予測地図のサンプル生成
今井隆太,賀須井直規,岩城麻子,藤原広行(概要

(PDF/1,935KB)

06. CADMAS-SURFによる波浪解析入門
荒木和博(概要

(PDF/1,820KB)

07. 浮体式洋上風力発電に関わる数値シミュレーションの利用状況とMHRTの取り組み
坂本大樹,吉村英人,眞鍋尚(概要

(PDF/1,553KB)

08. 水電解技術によるグリーン水素製造に関する最近の世界動向
仮屋夏樹,松田彩,米田雅一(概要

(PDF/747KB)

09. 原子力発電の最新動向
結城文香(概要

(PDF/789KB)

10. 核融合を理解する ―地上に「太陽」をつくる技術―
今野彰(概要

(PDF/1,335KB)

《コラム》『科学』に思いを込めて 小野耕平(PDF/468KB)

ものづくりを支える

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11. P-Stack® Cell Sketcherを用いた燃料電池のセル設計と最適化
塚本貴志,高山務,宮本裕平,小宮山敬介(概要

(PDF/3,732KB)

12. マルチノズルの静電スプレー法の解析
小宮山敬介(概要

(PDF/1,109KB)

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概要

01. 最適輸送を用いた量子状態学習
近年、既存のデータにもとづいて新たなデータを生成する機械学習モデル(生成モデル)が注目を集めており、画像生成、異常検知、分子構造の生成等、幅広い分野への活用が期待されている。 本稿では、通常のデータの代わりに、量子状態を量子コンピュータにより生成する機械学習モデルについて概説する。 特に損失関数として最適輸送距離を用いて、比較的低次元に量子状態が局在する場合の学習手法を示す。

02. 非線形材料構成則計算に対する深層学習の適用可能性の検討
構造解析の高速化に向け、近年、機械学習関連手法の活用が注目されている。本稿では、構造解析の構成要素のうち特に材料構成則計算に注目し、従来手法であるリターンマッピングの機能を代替するような深層学習モデルを具体的に構築・評価した。その結果、深層学習モデルは概ね高精度に従来手法の結果を再現した。今後、実務レベルの構造解析におけるさらなる精度検証や高速化効果の定量化を経て、構造解析への深層学習の適用に関する研究・取組が発展していくことが期待される。

03. 拡散モデルを用いた分子構造生成
発展著しい機械学習分野で、近年特に注目を集めている技術の1つが拡散モデルである。拡散モデルはDALLE 2(OpenAI社)、Imagen(Google社)といった高精度な画像生成エンジンのコア技術として活用されたことで、世界的な研究開発に火が付いた。既に画像だけではなく音楽生成、分子生成、動画生成といった幅広い用途への適用が進められている。本稿では、特に分子構造生成における拡散モデルの適用事例を調査し、その概要と将来的な展望を述べる。

04. FLIPによる液状化解析について
1995年に起きた兵庫県南部地震では、ポートアイランドをはじめ、神戸市や芦屋市、西宮市などの多数の埋立地で液状化の被害が発生した。液状化解析技術の習得には難解な計算手法の理解や適切な液状化パラメータの設定など高度な専門性が求められる。本論では液状化解析として広く用いられる港湾空港技術研究所が開発した液状化解析ソフトFLIPについて解析手法を紹介し、解析事例として港湾構造物の耐震解析の事例を紹介する。

05. モード分解と経験コピュラを用いたシナリオ地震動予測地図のサンプル生成
シナリオ地震動予測地図を大量に生成する手法として、蓄積されたシナリオ地震動予測地図を利用して、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果の候補を生成する手法を提案する。提案手法では、既存のシナリオ地震動予測地図のモード分解を考えることによってシナリオとそのモード座標を同一視し、確率変数と見なしたモード座標の同時分布に従う実現値を生成することで既存の地震動予測結果を補間する。提案手法を既存のシナリオ地震動予測地図に適用して、簡易にシナリオ地震動予測地図を大量に生成できることを確認した。尚、本原稿は日本地震工学会・大会2020の第15回年次大会梗概集から一部修正して転載した。

06. CADMAS-SURFによる波浪解析入門
港湾の設計で波力や越波量の算定等に利用される波浪解析ソフトウェアCADMAS-SURFの概要と、代表的な利用方法である断面2次元解析を対象とした使用方法を初心者向けに解説する。

07. 浮体式洋上風力発電に関わる数値シミュレーションの利用状況とMHRTの取り組み
近年、脱炭素化社会の実現に向けて、浮体式洋上風力発電の開発が進められてきており、浮体に関するシミュレーション技術にも注目が高まっている。本稿では、浮体式洋上風車の設計に関わるシミュレーションについての基礎理論をまとめたうえで、当該分野に関連する当部のソリューションである「船舶・海洋構造物動揺解析システム MIZUHO_MARIS-II」を紹介する。

08. 水電解技術によるグリーン水素製造に関する最近の世界動向
気候候変動対策への注目は世界的に高まる一方であり、各国がカーボンニュートラルの宣言を行う中、その実現に向けて「水素」が新たなエネルギーの一つとして近年著しい注目を集めている。 水素の活用が期待されている領域は多岐にわたるが、今後世界的な変動再生可能エネルギー導入拡大が予想される中、いわゆる「セクターカップリング」の手段として水電解によるグリーン水素製造が非電化領域の脱炭素化のための鍵となる。近年は特に欧米が将来の水電解市場に注目し、主導権を握るべく意欲的な投資計画を発表しており、技術開発競争は激化の様相を呈している。 本稿では、近年の劇的な環境変化の中で注目を集める「水電解でのグリーン水素製造」について国内外の動向を概観すると共に、今後の普及に向けた課題と展望について概観したい。本稿はエネルギー・資源学会誌「エネルギー・資源」2022年5月号の特集への投稿内容に一部追記修正をしたものである。

09. 原子力発電の最新動向
日本で最初の商業用原発である東海発電所が1966年に営業運転を開始して以来、原子力は我が国の重要なエネルギー源のひとつとして利用されてきた。2011年の福島第一原子力発電所事故の発生以降、我が国のエネルギー政策では再生可能エネルギーの拡大を図る中で可能な限り原発依存度を低減するという方針を取ってきた。しかし,電力の安定供給やカーボンニュートラル実現の観点から、再稼働の推進や運転期間の延長及び次世代原子炉の開発といった方向性が提示されている。

10. 核融合を理解する―地上に「太陽」をつくる技術―
脱炭素社会や新たなエネルギー資源開発の実現という社会的背景により、核融合エネルギーが注目されている。 核融合と聞くと、そもそも核融合とは何だろう、既にある原子力発電所とは同じなのか、あるいはどう違うのか、核融合とその発電は実現可能なのだろうか、など多くの疑問が浮かぶだろう。 そこで本稿では核融合の原理から最近の研究開発動向まで網羅的に取り上げることで、核融合への理解を深めることを目的とする。

11. P-Stack Cell Sketcherを用いた燃料電池のセル設計と最適化
燃料電池においては反応ガスと冷却水を内部に均一に流す必要があり、各流体の流路設計が重要となる。本稿では当社が開発した燃料電池のセル設計ツールP-Stack Cell Sketcherの概要とこれを用いた流路設計の事例を紹介する。具体的には、車載用の実機を模したセル形状において発電性能を向上させるセル設計が可能であること、セル形状のパラメータースタディーや流路の最適化によって最適なセル形状を広範囲に探索できることを示す。本技術は燃料電池に限らず、平板状の流路形状で化学反応を起こす様々なデバイス(水素製造の水電解セルなど)の設計へ適用可能である。

12. マルチノズルの静電スプレー法の解析
静電スプレーは、燃料電池や次世代型太陽電池等の脱炭素社会へ向けた重要なデバイスの製造に寄与することが期待される塗布技術である。OpenFOAMのソルバとして提案されているelectroSprayFoamを用いて、電場の解析、液滴の発射角度の予測、液滴と気流の相互作用を考慮したマルチフィジックスモデルを構築し、マルチノズルの静電スプレーの解析を実行した。さらに、今後のモデルの改良点について考察し整理した。

  • *「P-Stack」は、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社の登録商標です。