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テレワーク特集レポート vol.1

今、テレワーク導入を考える企業が準備すべきこと(1/3)

ビジネス企画部 須田 陽子

企業のテレワーク導入率

従来から、総務省をはじめ各省庁よりテレワークの導入推進がなされていましたが、2020年2月25日に新型コロナウイルス感染症対策本部において決定された「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」に基づき、日本政府より企業へ、時差出勤やテレワークの強力な推進が要請されました。

東京都で2020年6月に調査、9月に発表された都内企業向けのテレワーク導入実態調査結果*1では、都内企業のテレワーク導入率は57.8%で前年比2.3倍と、大きく増加しています。

また、回答企業を従業員数別で見ると、300人以上の企業では76.8%、100人以上300人未満の企業では65.1%、30人以上100人未満の企業では49%がテレワークを導入していると回答。

今後予定ありとした企業も全体で16.4%という調査結果となり、テレワークを検討中の企業も多いようです。


図表1


商慣習の変化とテレワーク化の考え方

一方で、敢えて実施しない企業、何らかの理由で実施できない企業もあります。当然ながら店舗や工場といった、現場に定められた時間いなければならない職種の場合、テレワークを行うことは難しいです。しかし、業務全体を見渡してみると、切り分けを行うことで業務の一部をテレワーク化、あるいは自動化できる可能性はあります。特に対面、紙、判子の業務は、日本特有の商慣習として根強く残っていますが、テレワークが急速に浸透している今、商慣習もターニング・ポイントを迎え、見直されるべき重要なポイントの1つとなっています。

テレワークの導入で重要なことは、業務のすべてを「テレワーク化できない」とあきらめるのではなく、業務毎に整理してテレワーク化できる部分を見極めること、そして全体の大きな成果だけを期待するのではなく、現場単位での成果を達成目標としてミニマムな成功体験を積み上げていくことです。

現在では、観光業や小売業などテレワークの導入が比較的難しいと言われている業種でも検討が進み、JTBやローソンなどでは一部の業務において成果を挙げています。出社とテレワークを組み合せたハイブリッドな働き方は、従業員の健康・ライフスタイルに応じた柔軟な働き方の実現だけでなく、企業の競争力強化、新しいビジネスの創出や労働形態の改革、事業継続能力の向上に繋がると考えられます。

テレワーク化による企業側のコストメリット

企業では、テレワークの導入にあたってICT(情報通信技術)関連の整備コストを懸念する声があり、実際、相応の初期費用が必要となります。 しかし、自社に適したテレワークを導入できた場合、従来コストの削減や生産性の向上が期待できるため、トータルで見るとコストメリットは高いと考えられます。


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《 コスト面で得られるメリットの例 》

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テナント代、定期代の削減

在宅勤務者の定期代や、人数分のデスクスペースにかかるコストを支払う必要がなくなります。これは、週1,2回の在宅勤務とする場合でも効果があります。

オフィスは自由に着席場所を選んで仕事をするフリーアドレスに切り替えることで省スペース化し、最適な規模のオフィスに移るといった対応も併せて、テナント代の削減も期待できます。

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交通費の削減・人件費削減

営業などでは、顧客との対面のために遠方まで出向く機会が減ることで、交通費を削減することができます。また、移動にかかる時間が削減することで、一人ひとりがより多くの業務を行うことができるようになるため、全体として人件費の削減効果も期待できます。

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消耗品のコスト削減

テレワークで行う業務は「ペーパーレス」が基本となるため、資料の印刷、文房具や日用品の補充などが不要となり、大幅なコスト削減が期待できます。

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離職防止による人材獲得コストの削減

柔軟な働き方の推進によって、出産・育児・介護などの家庭の事情による離職を防ぐことができ、人材の獲得や従業員の育成コストを抑えることも可能になります。

助成金制度

また、厚生労働省の助成金制度を利用することで、条件に一致する事業主は更にコストを抑えることも可能です。

その他、厚生労働省以外に民間支援団体も存在しますので、検討してみるのも良いでしょう。

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