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経営戦略に活きる「定量的」なTCFD物理的リスクシナリオ分析支援 背景・課題

迫られるTCFDへの対応

現在、各企業に対し、気候関連リスク・機会の経営戦略への反映および財務上の影響の把握、さらにこれら情報の開示が求められており、この動きは近年加速しています。

背景

金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)により、2017年6月に「TCFD提言(最終報告書)」が公表されました。本提言は、自社ビジネスへの気候変動による物理的リスク・移行リスクの検討、及びその財務的影響について、投資家等への情報開示を推奨し、今日では気候関連の情報開示フレームワークのスタンダードとなりつつあります。

世界

すでにEUやイギリス、カナダ、中国などではこれら情報開示の制度化に向けた動きが始まっており、マーク・カーニー国連気候アクション・ファイナンス特使は、2020年2月、COP26に向けたスピーチにて「TCFD開示義務化への道筋の提示」を宣言しました。

国内

2019年5月以降、日本のTCFDへの賛同企業・機関数は世界第1位を維持しています。2021年3月末時点の日本の賛同企業・機関数は370にのぼり、これは総賛同数の約2割に相当します。 また、2021年6月には、コーポレートガバナンスコードも改定され、プライム市場上場会社に対しては、「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」と記載されるに至りました。

企業

TCFDに賛同し対応を始めた先進的・意欲的な企業では、気候変動が「企業価値」「資金調達」等の面から経営にとって明確なリスク・機会となりうるとして、全社で取り組む必要性が認識され始めていると考えられます。開示の義務化や制度化の動きも見られる中で、TCFD提言への対応が不十分な場合、今後の企業の持続的な発展を妨げるおそれがあります。


気候関連リスクと機会が与える財務影響

図2
出所:TCFD最終報告書の記載等を基にみずほリサーチ&テクノロジーズ作成

経営戦略に活用可能な分析と課題

TCFDの求めにいち早く応え、これまでにシナリオ分析を実施し、気候変動の影響を開示した企業の中には、ビジネスインパクトが大きい物理的リスクについて、定性的な大小関係を示しているケースや、影響量に大きな幅を持たせて示しているケース等もあります。

一方で、シナリオ分析を実施したものの、 分析結果を適切に経営戦略へ組み込むことが難しい、経営判断の材料としては十分ではない、と課題を感じている企業もあるかもしれません。また、今後新たにシナリオ分析に取り組む予定の企業にも、同様の課題が起こりえるものと考えられます。

初めてシナリオ分析を行う際の主な課題

  • 国内外にて生産している原材料への影響を把握したいが、本専門領域においては社内対応が困難。
  • 社内にて対応を検討しているが、シナリオ分析に活用可能なデータが不足している。
  • 自社所有の農園における影響を把握したいが、該当地域に焦点を当てた研究がない。

シナリオ分析の見直し(再検討)時の主な課題

  • 影響の定性的な傾向は分かったが、より詳細な記載が求められている。
  • 初回のシナリオ分析では未検討とした原材料も、分析見直しの際は検討が必要である。
  • 今後どのようにシナリオ分析を高度化していくべきか分からない。
  • 経営戦略上の判断材料として活用可能な、詳細な分析が必要である。
  • 具体的な影響量(数値)がないため説得力に欠け、戦略的な計画立案が困難である。

このような課題に対応するためには、より具体的・定量的に将来影響量が把握できるシナリオ分析が必要です。

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