- 概要
- 詳細
当社では、これまでの管路系水撃解析プログラムu-FLOW/WHの開発の実績をいかして、解析サービスを行っております。
u-FLOW/WHは、水撃現象(ウォータハンマー)の解析を行います。特性曲線法によりポンプ停止やバルブ閉鎖の水撃を計算します。対策としてエアチャンバ、空気弁、サージタンクなどの機器を設定できます。
送水管路ネットワーク、原子力等各種プラント、上水道管等のパイプラインにおける、水撃現象を解析することができます。

「u-FLOW/WH」について

u-FLOW/WHは、以下の特徴を持っています。
- 管路内の水撃現象(Water Hammer)など過渡状態の流体解析が行えます。
- 特性曲線法を用いて、一次元管路における質量保存式・運動量保存式を解きます。
- 管路ネットワークの計算ができます。
- 管路内の液柱分離(水柱分離)現象が計算できます。
対応する流体機器
- 空気弁
- バルブ
- リザーバ
- ポンプ
- ポンプユニット(並列・直列)
- サージタンク
- アキュムレーター
- 空気室(空気溜り、エアチャンバー)
- 付加容積(流体溜り)
- バネ質量要素
機能概要
管路系流体シミュレーションの機能概要をPDFファイルでご覧になれます。
最大圧力線、最小圧力線、動水勾配線などを解析結果として得られます。

図1 解析結果のイメージ
なお現在、u-FLOW/WHの販売は行っておりません。
これまでの実績
左右スクロールで表全体を閲覧できます
水 | 定常流れ |
上水道や各種プラント配管を対象に、古くから確立された計算手法のエネルギー法により定常解を効率よく求めることができます。 応用例
|
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過渡流れ |
上下水道や揚水発電所、原子力発電所などの各種プラント配管を対象に、特性曲線法と豊富な流体機器モデルにより過渡計算をおこないます。 応用例
|
|
ガス | 定常流れ |
ガス配管を対象に、実用公式に基づくエネルギー法により定常解を効率よく求めることができます。 |
過渡流れ |
ガスパイプラインを対象に、ボリュームジャンクション法と半陰解法により過渡計算をおこないます。 応用例
|
水撃解析以外の管路系流体シミュレーションについてはお問い合わせください。
管路系水撃解析の解析条件
項目 | 内容 | |
---|---|---|
解析対象 |
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基礎方程式 |
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数値解法 |
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|
初期状態設定機能 |
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|
液柱分離計算機能 |
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リーク(漏洩)モデル |
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最大設定可能数 |
パイプ本数 | 500 |
パイプ内の分割数 | 30 | |
パイプ特性数 | 500 | |
パイプ接続点数 | 500 | |
分岐点数 | 100 | |
分岐点に接続するパイプ数 | 5 | |
バルブ数 | 20 | |
バルブ特性数 | 20 | |
バルブ特性の点数 | 20 | |
リザーバ数 | 20 | |
ポンプユニット数 | 5 | |
ユニット内のポンプ数 | 5 | |
ポンプ特性数 | 10 | |
アキュムレータ数 | 6 | |
サージタンク数 | 6 | |
空気室数 | 6 | |
付加容積数 | 12 | |
バネ質量要素数 | 10 | |
出力点数 | 100 | |
リーク数 | 20 | |
リーク特性数 | 20 | |
リーク特性の点数 | 20 |
管路系水撃解析の流体機器
ポンプ
- ポンプ特性カーブは代表的なNsについて文献値を内蔵しています。なお正転正流だけでなく4象限すべてについてカーブを用意しています。
- ポンプ特性カーブを入力により与えることも可能です。
- ポンプトリップだけでなく、ポンプスタート時の解析も可能です。ポンプスタート時の回転数は、100%回転数になるまでの時間を入力し、線形で立ち上げます。バルブ開度を徐々に上げることで、ポンプスタート時の水撃を評価します。
- ポンプを逆転水車としての解析も可能です。無拘束状態への推移、ロータロック発生時についての計算機能を有しています。
- ポンプ運転時に羽の回転によって生じる圧力脈動をポンプ揚程に与える機能を付加しました。脈動はsinカーブまたは入力で波形を与えることが可能です。
バルブ
- 1.バルブ開度は時系列テーブルで与えることができます。これにより、急閉逆止弁だけでなく緩閉逆止弁を模擬することが可能です。
-
2.時系列テーブルは、以下の3通りの方法で入力が可能です。
1.時間-バルブ損失係数のテーブル
2.時間-バルブ開度のテーブル
3.バルブ開度のテーブルと、バルブ開度-バルブ損失係数のテーブル
4.テーブルの補間は線形補間および対数補間の機能を有しています。
サージタンク
- 流入時、流出時の開口面積をそれぞれ与えることができます。
- 流入時の開口面積の値を小さくすることにより、ワンウェイサージタンクを模擬できます。
- タンク断面積を高さのテーブルで与えることができます。これにより断面積の変化するタンクの入力も可能です。
空気室(エアチャンバ)、アキュムレーター
- 空気の状態はポリトロープ変化を仮定しています。ポリトロープ指数を入力で与えることが可能です。
- 空気室モデルを用いて、配管内に空気溜りが生じた際の圧力上昇を評価することもできます。
空気弁
- 空気弁は、他の水撃対策機器(フライホイールやサージタンクなど)よりも安価であり、取り付けスペースも小さいことから、水撃対策として多く用いられています。
- 一方、取り付け位置や口径によっては、排気の際に水柱衝突が生じ、初期動水勾配よりも大きな圧力上昇が発生する場合があります。空気弁口径に対する吸気・排気の感度から負圧対策として適切であるかどうかや、 空気弁取り付け位置が吐出水槽水位よりも低い場合に生じやすい排気時の圧力上昇の評価を行うことができます。ただし本モデルでは、パイプ内に流入した空気は空気弁近くにとどまり排気されることを仮定しています。
テーパ管
- 人体の血流解析において狭窄をテーパ管により模擬することもできます。。
パイプ
- 内径、肉厚、ヤング率、ポアソン比を用いて音速を評価します。
- 異径管接続、合流、分岐を取り扱うことができます。
液柱分離計算機能
- 負圧により発生したボイドによる音速の低下を考慮するモデルとして、ARMモデルを採用しています。
管路系水撃解析の事例
空気弁モデルを考慮した解析例
図2に解析モデルを示します。

図2 空気弁空気体積
管路途中にワンウェイサージタンクを有する送水管路において、ポンプ下流に空気弁を設置しています。空気弁設置高さは、吐出槽水位よりも低い位置にあります。この管路でポンプトリップが生じた場合の解析を行いました。図3に空気弁の空気体積の時間変化を、図4にワンウェイサージタンク取り付け位置上流側の水頭と流量の時間変化を示します。ポンプトリップ後、空気弁は吸気し水頭は一定付近に保たれています。しかし吐出槽からの逆流により、排気終了時に水柱衝突があり大きな圧力上昇が発生しています。

図3 空気弁空気体積

図4 サージタンク取り付け位置上流側の流量と水頭
ポンプトリップによる水撃解析
管路上流側にあるポンプがトリップした場合に生じる水撃(ウォーターハンマー)の解析である。水撃により配管に負圧が生じる場合があるが、負圧が-10m以下になる(圧力が水蒸気以下になるのと同等)と水柱分離が生じる。そのためポンプにフライホィールをつけるなどして負圧の発生を抑える必要がある。本解析は、ポンプにフライホィールをつけることにより、ポンプトリップ時に配管の負圧がどのように変化するかを確認したものである。
解析モデル
全長900mの送水管の上流側にポンプが設置されている。ポンプはu-FLOW/WHのポンプモデルで模擬し、瞬時停止し慣性により回転数を下げた。吸い込み側水槽と吐き出し側水槽の高低差は15mである。


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