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統合有限要素解析ソフトウェア

Abaqus 概要

みずほリサーチ&テクノロジーズでは、統合有限要素解析(FEA)ソフトウェアAbaqusに関する技術サポート、受託解析、カスタマイズなどの独自のコンサルティングサービスを通じ、お客さまのエンジニアリングにおける課題解決をサポートいたします。

図1

概要

Abaqusは、ダッソー・システムズ社(仏)が開発している統合有限要素解析ソフトウェアです。世界各国において航空宇宙、自動車、機械、建設、土木及びエネルギーなど幅広い業界で使われており、日常的な現象の解析から高度なエンジニアリング問題に至るまで、多様なアプリケーションをカバーする高精度で安定した機能が実装されております。Abaqusを用いることで、高度な非線形解析、大規模な線形動的解析、陰解法と陽解法の統合非線形解析、マルチフィジックス解析などの難易度の高い問題に取り組むことが可能となります。また、Abaqusに実装されているユーザプログラミング機能、Pythonスクリプト記述機能、GUIカスタマイズ機能を活用することにより、新規解析手法の取り込みや解析手順の汎用化など、お客さまのご要望に合わせて容易にカスタマイズすることができます。

Abaqusが選ばれる5つの理由

国内外で多くの有限要素解析ソフトウェアが開発・市販されていますが、多くのお客さまがAbaqusを選んでいます。以下に、Abaqusの有する5つの特長をご紹介します。

(1)複雑な条件でも信頼性の高い解を提供

私たちの身の回りで起こっている現象の多くは、次のような「非線形性」を含んでいます。

  • モノとモノがぶつかる(接触)
  • モノが大きくたわむ(大変形)
  • モノがたわんだまま戻らなくなる(塑性変形)

「線形」な現象に比べて、これらの現象を精度よく解析することは難しいことです。Abaqusには、このような解析の難易度を下げるための多くの工夫が盛り込まれています。

接触による「境界非線形」

接触する可能性のある面が複数ある場合、それらを全て指定するには大きな手間がかかる場合があります。Abaqusには「全ての接触」を自動的に考慮する機能があり、業務を効率化できるだけでなく、事前に想定できなかった接触を考慮することもできます。

塑性や破壊による「材料非線形」

Abaqusは金属の塑性変形における速度依存性や温度依存性を取り扱うことも可能であり、異方性を考慮した複合材の評価にも多くの実績を有しています。また、土や岩、コンクリート(鉄筋コンクリートを含む)やセラミック、ペーストやポリマー材料に関する洗練された材料モデルも用意されており、細かい調整を施すことができます。これらの機能は、実験結果との合わせ込みを行う際に有用です。

Abaqusは、塑性領域のみならず、材料の破断や崩壊までシミュレート可能であり、大きな変形が生じる解析に対しても多くの適用事例が報告されています。先にご紹介したように接触解析に強みを有しているため、接触を含むような材料損傷や破壊の評価にも使用することができます。

AbaqusにはXFEMが搭載されており、要素内部に亀裂面を生成して破壊の様相をリアルに評価することができます。また、VCCT(Virtual Crack Closure Technique)によるはく離の評価機能や、低サイクル疲労の評価機能も有しています。

大変形による「幾何学的非線形」

大きな変形が発生すると、メッシュのゆがみが大きくなり、計算の安定性が低下して収束しにくくなります。Abaqusは大変形を伴う解析においても収束安定性が高く、デフォルトのパラメータ調整も洗練されています。

さらなる大変形に対応するため、メッシュのつぶれを制御する「アダプティブメッシュ」の機能があり、計算精度の向上に役立てられています。

(2)2つのソルバーが拓く大きな可能性

静的応力・変位等を対象としたAbaqus/Standardと、動的応力・変位等を対象としたAbaqus/Explicitの2つのソルバーがあり、静的な状態と動的な現象の両方を含む問題でも、シームレスに解析することができます。また、Abaqus/ExplicitにはEuler-Lagrange連成解析機能(CEL)があり、流体のような非常に柔らかい物質と、構造体(モノ)の相互作用を精度よく解析することができます。

陰解法:Abaqus/Standard

陰解法は反復計算によって非線形問題を解くため、解が得られればその信頼性は高く、静的な問題から動的な問題まで幅広く適用可能です。Abaqusの歴史は陰解法のソルバーからスタートしており、非常に豊富な機能が用意されています。

陽解法:Abaqus/Explicit

陽解法は、短時間の衝突や落下などの非線形性の強い現象のシミュレーションに適しています。陽解法ソルバーAbaqus/Explicitを用いることにより、陰解法では解くことができなかったダイナミックな問題に対応することができるようになります。

陰解法と陽解法の切り替え・組み合わせ

Abaqus/StandardとAbaqus/Explicitは、AbaqusのGUIであるAbaqus/CAEから容易に切り替えることができます。そのため、Abaqus/Standardで解析を試行し、うまくいかないことがあったとしても、Abaqus/Explicitでの解析にスムーズに移行することができます。また、Abaqus/StandardとAbaqus/Explicitを組み合わせた解析も可能です。

(3)豊富な機能と材料モデル

静的応力/変位、動的応力/変位、伝熱、音響等の様々な現象をシミュレーションするための機能が揃っています。また、金属やゴム等の一般的な工学材料に加えて、複合材、地盤、コンクリート等の様々な材料モデルを備えています。


左右スクロールで表全体を閲覧できます

Abaqus/Standardの代表的な機能
項目 内容
解析タイプ 静的応力/変位
粘弾性/粘塑性応答
動的応力/変位
(固有振動、定常調和、時刻歴、応答スペクトル)
伝熱
質量拡散
音響
マルチフィジックス
(熱-応力、熱-電気、圧電、間隙水-応力、構造-音響、静磁気 など)
モデリング手法 ユーザーサブルーチン
破壊力学(XFEM, VCCT)
アダプティブメッシュ
材料モデル 弾性材料特性
(線形弾性、多孔質弾性、亜弾性、超弾性、粘弾性 など)
非弾性材料特性
(金属塑性、クリープ、コンクリート、Cam粘土塑性 など)

左右スクロールで表全体を閲覧できます

Abaqus/Explicitの代表的な機能
項目 内容
解析タイプ 動的応力/変位
音響
断熱応力
連成Euler-Lagrange
マルチフィジックス
(熱-応力、熱-電気、圧電、間隙水-応力、構造-音響、静磁気 など)
モデリング手法 ユーザーサブルーチン
自動マススケーリング
アダプティブメッシュ
材料モデル 弾性材料特性
(線形弾性、超弾性、状態方程式、繊維 など)
非弾性材料特性
(金属塑性、進行する損傷と破壊、コンクリート、Cam粘土塑性 など)

(4)使いやすいGUIで簡単操作

Abaqus/CAEを使えば、モデルを直感的に作成したり、解析結果をわかりやすく可視化したりすることはもちろん、CADデータを読み込んで解析用に編集することもできます。

(5)他のソフトウェアとの連携

ダッソー・システムズのSIMULIAブランド製品には、プロセス自動化・設計最適化ソフトウェアIsight、構造最適化ソフトウェアTosca、耐久性解析ソフトウェアfe-safeなどがあります。これらをAbaqusと組み合わせて使用することにより、例えば剛性や耐久性を維持しながら最適な形状を探索するプロセスを自動化することができます。結果として、時間やコストの削減、品質の向上が実現でき、製品競争力の強化が期待できます。

図8
Abaqusと他のSIMULIA製品を組み合わせた最適化フロー


  • *ダッソー・システムズは、3Dエクスペリエンス企業として、企業や個人にバーチャル・ユニバースを提供することで、持続可能なイノベーションを提唱します。世界をリードする同社のソリューション群は製品設計、生産、保守に変革をもたらしています。ダッソー・システムズのコラボレーティブ・ソリューションはソーシャル・イノベーションを促進し、現実世界をよりよいものとするため、バーチャル世界の可能性を押し広げます。ダッソー・システムズ・グループは140カ国以上、あらゆる規模、業種の19万社以上のお客さまに価値を提供しています。より詳細な情報は、www.3ds.com(英語)、www.3ds.com/ja(日本語)をご参照ください。
  • *CATIA、SOLIDWORKS、SIMULIA、DELMIA、ENOVIA、GEOVIA、EXALEAD、NETVIBES、3DSWYM、3D VIAおよび3DEXPERIENCEはアメリカ合衆国、またはその他の国における、ダッソー・システムズまたはその子会社の登録商標です。

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