ページの先頭です

ゴム高分子とシリカナノ粒子の相互作用解析

背景及び目的

FMO計算は、創薬、ナノ・バイオ以外にも一般の材料工学の課題にも適用可能な計算手法です。ここでは、その様な材料工学系の事例としてFMO法を用いたゴム高分子とシリカ界面における原子・分子スケールの相互作用解析を紹介します。

解析事例

近年、高性能タイヤ開発においてゴム中にフィラーとしてシリカを添加した製品が多く開発されているが、ゴム高分子とシリカ界面の特性については詳細な解析が多くは行われていない。そこで、天然ゴム(ポリイソプレン)と合成ゴム(スチレン‐ブタジエンゴム)の場合に、シリカとの相互作用がどの様に変化するかについて解析を行いました。

図1

ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、シリカナノ粒子のモデル構造に対するフラグメント分割。フラグメント毎に色を変えて表示。

成果及び展望

ポリイソプレンよりもスチレンブタジエンゴムの方がシリカナノ粒子に対して広い領域で相互作用をしていることが分かりました。(下図において赤が濃い部分が広く分布しています)。これは、合成ゴムに含まれるスチレンのπ電子とシリカ表面シラノール基とのOH/π相互作用が広く引力的に作用している事に由来していると考えられます。

図2

ゴム高分子(周辺:スティック表示)とシリカナノ粒子(中央:ボール&スティック表示)のFMO計算結果。シリカナノ粒子との相互作用の強さを濃淡で表示。

サイエンスソリューション部03-5281-5311

ページの先頭へ