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ガス管路系流体解析プログラム u-FLOW®/GL 解析事例 ガス管路系非定常解析

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1自動初期定常状態設定機能

u-FLOW/GLでは、過渡計算に入る前の通常運転状態に相当する初期値の設定作業の負荷軽減を計る目的として、自動初期定常設定機能(以下、SSIとよぶ)を有しています。本機能では、時間項を省略した質量、運動量、エネルギーに関する3本の保存式を解くことで、管路系の圧力、温度、流速などの初期値を求めています。また、バルブやブロワなどの流体機器も考慮でき、バルブの開度は設定圧に基づいて自動的に設定されます。さらに、バルブにおいて臨界状態であれば、臨界流速とそれに相当する開度も自動的に設定されます。

一般に、一本のパイプラインであれば、端部の圧力と流量を既定することで、パイプラインの初期定常状態が簡単に求まることができますが、図1に示すような体系のように、圧力境界が複数あり、また、管路系にループ状の管路が存在すると初期定常状態は簡単には求まりません。しかし、u-FLOW/GLでは、このような体系でも初期定常状態を比較的簡単に求めることができ、この体系で設定された初期定常状態が安定であることを確認するために、過渡変動を与えないで圧力や流量の境界条件を一定とした null transient 計算の結果を図1に示します。この図から、得られた初期定常状態が安定なものであることがわかります。

1.自動初期定常状態設定機能

図1 左:u-FLOW/GLによるガス管路系解析モデル
右:管路内圧力変化(SSI計算およびnull transient計算)

2制御系モデル

u-FLOW/GLには、圧力調整弁、減圧弁、逃し安全弁などのバルブ操作の為に、制御系モデルが組み込まれています。本機能は、一次遅れ要素、進み遅れ要素、比例・積分・微分要素(PID)などの14種類の制御要素を用いて、自由に制御系を構築できます。制御系モデルを用いた解析例として、図1の解析体系でV110、V130、V220にPI制御による圧力制御を行った例を紹介します。

V110、V130、V220の設定圧力はそれぞれ、3000kPa、550kPa、450kPaであり、V130とV220のPI制御の比例ゲインと積分時間を変えて3ケース解析を実施致しました。本解析は、ボリューム190への需要量が300t/hから100t/hに急変した時のパイプラインの過渡応答を解析したものです。PI制御の比例ゲイン、積分時間を変更した3ケースの解析結果として需要側に近いボリュームの圧力変化を図2、図3に示します。いずれも、需要量の急変に伴って、圧力は急上昇しますが、制御系によってバルブ開度が制御されてオーバーシュートしながら、それぞれのバルブの設定圧力に整定します。比例ゲインを0.1から0.2へと倍にしますとバルブの応答が早まり、圧力上昇もより小さく、また早く整定しています。また、積分時間を30秒から60秒に変えますと、バルブの応答がそれだけ遅れ、圧力上昇がより高く、また、圧力が整定するまで、長く時間がかかっています。いずれの解析も比例ゲインや積分時間の特性に応じた過渡応答が示されています。なお、いずれの解析も総格子数が84であり、当社のSUN Sparc10で約200秒のCPU時間で結果が得られています。

2.制御系モデル

図2 管路内圧力変化(比例ゲイン:0.1、0.2) ・図3 管路内圧力変化(積分時間:30秒、60秒 )

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