実施にあたり、最初に行うのは「目的と調査範囲の設定」である。設定項目の推奨例と各項目の概要を表3に示す。これらの項目の中には次のライフサイクルインベントリ分析を行うのに必要となる項目とそうでない項目があるので、各項目がどこで必要となるかも示した。
設定項目 | 概要 | 必要となる段階 |
---|---|---|
実施目的 |
結果の利用用途、評価手法としてLCAを選択した理由、結果の提供者・公表先等を検討する。この設定はLCA全般で様々な設定をする際の基準となり、他のすべての設定はこの実施目的に従って設定される。 |
<LCA全般> |
対象製品 |
対象とする製品の名称だけでなく、固有の機能、性能や耐用年数といった製品仕様を設定する。製品間比較を行う場合は比較対象も設定 |
<LCI> |
機能単位 |
評価する製品の機能や性能を一定の数値単位で表現して設定する。例えば自動車であれば、「20万kmの走行」が機能単位の一例として挙げられる。その際、LCAの評価対象は「20万km走るという機能を満たすのに必要な自動車の数」となる。(→基準フローを参照) |
<LCI> |
基準フロー |
機能単位で表される機能を満たすために必要な製品システムの出力の量を、機能単位と製品の性能から設定する。例えば、生涯で10万km走る性能を有する自動車であれば、上の機能単位のケースは「2台」必要となり、基準フローは「2台」となる。このケースにおけるLCAは、自動車「1台」ではなく、「2台」で行うことになる。(→機能単位を参照) |
<LCI> |
システム境界 |
対象製品の調査範囲を設定する。原材料から廃棄されるまでのライフサイクルにおいて、どこからどこまでを対象とするか、その範囲を決める。例えば、海外での製造工程は調査範囲に含めないといった設定を行う |
<LCI> |
環境負荷項目 |
インベントリデータ作成を行う際に、様々な環境負荷項目の中で、どの項目のデータを作成するかを設定する。例えば、「CO2とNOXと資源消費量」をデータ区分とすると、ライフサイクルインベントリ分析でこの3種類のデータを作成する。 |
<LCI> |
表3:実施に必要な設定項目の概要
- 実施手順1.目的及び調査範囲の設定
- 実施手順2.ライフサイクルインベントリ分析
- 実施手順3.ライフサイクル影響評価
- 実施手順4.ライフサイクル解釈
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