インベントリ分析の作業は大きく分けると、図7に示す4作業になる
図7:ライフサイクルインベントリの作業フロー
ライフサイクルフロー図を書く
ライフサイクルフロー図は、製品の製造から輸送・販売・使用・廃棄・リサイクルといった全ライフサイクルの流れを図(図8参照)にしたもので、特に製品の製造工程は「素材製造」・「部品製造」・「製品製造」等に細かく分かれている。ライフサイクルフロー図の作成は、後にプロセス別のインベントリデータを作成する際に各プロセスの位置付けや各プロセスの入力・出力の量を予め把握しておくために必要となる。ライフサイクルフロー図の作成例と作成する上でのポイントを以下に示す。
ライフサイクルフロー図作成上のポイント
- 1)後で行うプロセス別のインベントリデータの作成時に、ライフサイクルにおける各プロセスの位置関係がわかりやすいように作成する。
- 2)データを作成する上では物量の流れが必要となる。インベントリデータ作成時には物量の流れ(入力・出力)を入力した図(マテリアルフロー)を別途作成することが望ましい。
- 3)フローの要素としては、「プロセス」、「プロセスからの生産物」があるので、一つのフロー図内にこれらが混在する場合には、わかりやすく区別しておくことが望ましい。
図8:ライフサイクルフロー図の例
製品重量を調べる
ライフサイクルフロー図の作成にあわせて、製品重量の調査を行う。重量はライフサイクルフロー図を書く際に、プロセスごとの入力・出力の数量を与えるのに必要となる。つまり、フロー図で区分した製造プロセスごとに出力の重量を示しておく必要がある。把握しておくべき重量は、以下の3種類である。
- 1)最終製品の重量
- 2)ユニット別・部品別・中間製品別の重量
- 3)構成素材別の重量
表4:重量の調査例
プロセスごとのデータを作成する
ライフサイクルフロー図を作成し、重量の調査を行って、プロセスごとの物量の流れを把握した後、フローに従って、各プロセスのインベントリデータを作成していく。その作成方法には、実測や既存データの引用、統計等からの推計等いくつかの方法があり、プロセスごとに実施目的や既存データの有無等をもとに作成方法を検討・選択しながら、作成していくことになる。実測が可能である場合はその実測値を利用する。しかし、購入する部品やその部品を構成する素材の製造時におけるデータのように、実測することが困難なデータは、既存のデータを利用あるいは代用したりすることによってインベントリデータを作成していくのである。
データを集計・まとめる
プロセスごとのインベントリデータを作成した後、最初のライフサイクルフローに戻り、作成した各プロセスのデータの入力・出力の数値をライフサイクルフローにあわせていく。すなわち、マテリアルフローに従って各工程の製品生産量(出力)が次のプロセスへの入力に等しくなるように、計算していく。そして、それら各プロセスのデータを合算し、対象とした環境負荷項目についてライフサイクルデータを作成する。
このとき、評価の目的を考慮して、ある程度の段階ごとのデータがわかるように整理しておくとよい。
- 実施手順1.目的及び調査範囲の設定
- 実施手順2.ライフサイクルインベントリ分析
- 実施手順3.ライフサイクル影響評価
- 実施手順4.ライフサイクル解釈
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