バイオマス普及に向けた多様なアプローチを支援。海外へも赴くコンサルタントの挑戦

2024年2月

加藤 都
中村 彩乃

サステナビリティコンサルティング第2部グローバルイノベーションチームに所属する加藤 都と中村 彩乃。持続可能な社会実現に向け、官公庁と民間企業への調査・アドバイスを行っています。生物資源/バイオマス活用・サステナブルファイナンスをキーワードにグローバルに働くコンサルタントが仕事とやりがいを語ります。

現地に赴いたからこそ見えたハードル。〈みずほ〉の豊富なリソースが提案の強みに

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▲サステナビリティコンサルティング第2部 コンサルタント 加藤 都

みずほリサーチ&テクノロジーズには、130名を超えるサステナビリティ分野のコンサルタントがいます。そのうち、加藤と中村が所属するサステナビリティコンサルティング第2部では、官公庁や民間企業を対象に環境分野に特化したコンサルティング事業を展開しています。取り扱っているのはESG経営、サステナブルファイナンス、生物多様性、資源循環、化学物質管理など幅広いトピックス。官公庁に対しては政策に関する調査や立案に向けた支援、民間企業に対してはそうした政策への対応案の提案などが主な仕事です。

加藤:私たちが関わっているプロジェクトのひとつとして、バイオマス関連事業があります。バイオマスとは「再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」を指します。

これまでは化石資源が広く用いられてきましたが、環境や生態系への影響を危惧し、化石資源から脱却しようという流れが加速しています。そこで、バイオマスへの注目が集まっているのです。

このような流れの中で、加藤が取り組んでいるのは、バイオマスを扱ったプロダクトの製造支援です。

加藤:日本国内でのバイオマス資源の調達量には限界があり、現在は海外からの輸入に頼っているものも多くあります。持続可能なプロダクトの製造のためには、国内でバイオマスとして利用できる可能性を秘めた新たな資源を探し出し、それを活用することが必要になってきます。私はお客さまのために国内の未利用バイオマスを探す調査をし、そのバイオマスをどう活用して事業につなげていくかを提案しています。

加藤の仕事はバイオマスに関する事業の支援にとどまりません。さらに中長期的な視点に立ち、バイオテクノロジー技術の活用に関わる支援を実施することもあると話します。

加藤:“バイオものづくり”は、微生物の力を用いて新たな成分・製品を製造しようという取り組みです。このような“バイオものづくり”の利活用をめざす事業者さまへのご支援として、社会的ニーズや社会情勢に合わせた建設的な手法などのアドバイスをしています。

中村も加藤と同じくバイオマスのプロジェクトに関わっています。しかし、ものづくりを支援する加藤とは少し異なるアプローチから顧客への提案を行っています。社会的課題の筆頭にも挙げられるエネルギー問題の解決に向けて、バイオマスを原料としたエネルギーの製造・活用を検討する顧客をしています。

中村:私はものづくりの面ではなく、国内の未利用バイオマスをどうエネルギーとして活用するか、という面で支援を行っています。活用方法の例として「メタン発酵発電」や「バイオマス発電」があります。このような方法でバイオマス資源を活用する提案をし、事業のキャッシュフローを評価するようなサポートを実施しています。

事業の経営に関する提案を行う際には、〈みずほ〉の一員であることが大きな強みを発揮します。同グループの金融機関とスムーズに連携し、金融のプロフェッショナルからの手厚いサポートを受けることができるからです。

中村:金融業界においても持続可能な社会の実現に取り組む企業を積極的に評価しようと、関心は高まりを見せています。〈みずほ〉の中でも私たち環境部門と銀行が連携し、環境に配慮している企業を評価する仕組みや、それに特化した金融商品を開発しています。

そのひとつが「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス」。私はこの商品の取り扱いが始まった段階から運用業務に携わり、評価対象企業が事業活動を実施する上で与えうるインパクトがどこになるかを評価、レポーティングしています。こうしてビジネス業界、ひいては社会全体でサステナビリティを推進していこうとしているのです。

環境と経済を結びつけ、サステナビリティの推進に注力するふたり。もうひとつ忘れてはならないのが、「グローバル」を冠するチームに所属しているということです。グローバルイノベーションチームでは海外出張の機会が多くありますが、加藤と中村は、海外での次の経験が印象に残っていると話します。

加藤:私が入社する以前から、岩手県で生産した種苗をアフリカで栽培して欧州に出荷するというプロジェクトが他社と共同で進められていました。入社後に私もアフリカでの調査に携わり、ナイジェリアを訪問しました。

ほかにも、海外で農作物の栽培・利用を考えているお客さまの案件で、私たちが現地に行くことがあります。農作物の栽培が現地の環境に与える影響も調査し、農作物をエネルギーに変えることでビジネスが成り立つかどうかをコンサルティングしています。こうした海外に関する案件も扱っているのが、私たちのチームに「グローバル」を冠している由縁ですね。

海外であっても現地での調査を怠らないことが、精度の高いコンサルティングを提供する上での秘訣です。中村は堪能な語学力を活かし、ヨーロッパでの現地調査に関わっていました。

中村:実際にヨーロッパに2週間程度渡航して、農家や農業関係機関、食品に関する業界団体にヒアリングを行いました。やはり、実際に現地を訪れなければ見えてこないハードルやリスクがあるということを実感しました。目で見たこと、実際に対面だからお伺いできたこと、肌で感じたことが、お客さまの課題を解決に導く思考力や提案力につながっています。

農学と法学。それぞれの学びが育んだ「社会全体に貢献したい」という同じ想い

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▲サステナビリティコンサルティング第2部 コンサルタント 中村 彩乃

加藤のバックグラウンドにあるのは農学の学び。学生時代から農学や環境について専門的な知識を深めていました。それと並行して農場見学やマルシェなど、農業者と地域の住民をつなぐイベントの実施にも精力的に取り組んでいたと振り返ります。

加藤:学生時代から、消費者・生産者・研究・ビジネスをつなぐ活動に魅力を感じていました。それを仕事にしたいと考えたときに、シンクタンクが選択肢に浮上したのです。

自分ひとりでは提案にも限界が訪れると思っていますが、みずほリサーチ&テクノロジーズは長い歴史で蓄積されたノウハウとサステナビリティ分野で130名以上のコンサルタントを有しているので、知見を共有することでより優れたコンサルティングができるのではないかと考えました。

一方の中村は、大学では法学を学んでいたと話します。環境と法律は縁遠い関係のように思われますが、なぜみずほリサーチ&テクノロジーズに入社することを決めたのでしょうか。

中村:法学部では、主に国際関係論を勉強していました。中でも、国と国のパワーバランスは多国籍企業の力に影響を受けるというひとつの考え方に関心を持っていました。その点、政策分野に強いシンクタンクに就職すれば、政策を知っている立場の人間として、個別の企業を支援することによって日本経済全体の発展に貢献できると感じたのです。

正直、環境分野は未知の世界でしたが、サステナビリティについては今後のホットトピックとして関心を持っていました。

学んできた分野は異なっていますが、ともに高い志をもってみずほリサーチ&テクノロジーズに入社した加藤と中村。入社後は先輩社員のサポートを受けつつ、政策に関する調査に関わることになります。その後、自らメインとなってプロジェクトを進める機会が次第に増え始めました。

加藤:官公庁系の政策調査に関わることが増えました。海外の農業政策を調べ、それを日本で応用できないか検討するような業務ですね。国によって環境や法律は異なっているため、海外で効果的だった政策が日本でも成功するとは限りません。そのため、その国の背景も含め多くの情報を集めて検討の材料にすることが必要となります。現在のチームにおいてこうした業務は非常に多いですね。

中村:私は民間企業向けには、直近でバイオマスエネルギーの事業化プロジェクト、サステナブルファイナンスの組成に向けたご支援に携わってきました。事業化など、何かこれまでとは違った行動を起こそうとしているお客さまに、役立つ情報をお出しするために頭を悩ませながら、調査・コンサルティングを実施しています(※)。

※ 事例:地域での水素社会実現へ。お客さまと〈みずほ〉の知見を結集し、次世代ビジネスを切り拓く。

日進月歩の環境分野に対応するため、旺盛なチャレンジ精神で自己研鑽を積む

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世の中では知られていない情報を調査し、企業や社会に還元していくことがコンサルタントに求められている能力だと語るふたり。実際、そうした場面に仕事のやりがいを感じることも多いと話します。

加藤:これだけ情報が溢れている社会なので、インターネットで検索すればなんでもわかるとつい思ってしまいますよね。しかし、そうした情報をどのように国の政策や企業の戦略に活かしていけばいいのかということはWeb上には現れてこないのです。そうした情報を統合して新しい価値を生み出すことこそがコンサルタントのミッションですし、その点に仕事のおもしろさを感じています。

中村:コツコツ調査したことが役に立ったとわかる瞬間はやっぱりうれしいですよね。〈みずほ〉として提案した内容が、企業の統合報告書や対外的に盛り込まれているのを確認すると、お客さまとしても有意義であったことを実感します。そうした成果はお客さまとのコミュニケーションの中で関係性を構築することによって初めて実現できるものだと考えています。

環境は技術革新が著しく、注目を集めるキーワードの移り変わりが激しい分野のひとつです。こうした流れに取り残されぬよう、ふたりにはそれぞれ挑戦してきたことがありました。

加藤:若手のチャレンジを支援する社内投資をきっかけとして、神戸大学・みずほ銀行産業調査部とともに『バイオものづくりへの挑戦―バイオファウンドリの成功戦略』という専門書の発刊に至りました。自分の収集した情報と有識者の方の意見をディスカッションの中ですり合わせ、バイオものづくりに関する専門性を深めることができたと考えています。

中村:私は業務に関連して、メタン発酵技術アドバイザーの資格を取得しました。多様なメタン発酵技術の全体像を理解し、事業化や課題解決に応用できる人材を育成するための資格です。現在も案件に対応する上での基礎になっている感覚があるので、こうしたチャレンジの重要性を感じています。

初心を忘れず、さらに幅広い知見から社会貢献をめざす

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経験則として挑戦することの大切さを実感しているふたりに、これからの展望を尋ねました。

加藤:私たちが専門としている環境は、農学、工学、経営学など、さまざまな知見が集約される分野です。日々たくさんの情報を収集し統合していく中で、業界を狭めずに多くの方にとって“よき相談相手”となる、ハブの役割を担っていきたいと考えています。それがお客さまの行動につながれば理想的です。そのためには、いつも好奇心を持ちさまざまな情報にアンテナを張って仕事に取り組むことが重要だと思います。

中村:確かに大切ですよね。私自身、やりたいことは入社したときと変わっていないので、さまざまなテーマを知り、自分だけでなく社内の知見も活用しながら、お客さまの後押しをしたいと考えています。環境分野については専門性を築き上げてきた自負があるので、今後は〈みずほ〉の強みを活かして金融機関などとも連携し、インプットの幅を増やしながら提案の質を高めることが目標です。

加藤と中村は初心を忘れることなく、これからも新しい挑戦を続けます。最後に、あらためてみずほリサーチ&テクノロジーズで働く魅力を聞きました。

加藤:サステナビリティコンサルティング第2部は、業務の幅が広く、チャレンジに寛容な部署です。自分の専門性を確立した後に、興味のある分野があればそちらに参画することもできる。長年にわたって環境に携わってきた先輩社員が多く、安心感を持ってトライできるところが大きいですね。

中村:ひと口に「環境」といっても、その中には無数の細分化されたテーマが存在しています。そうした幅広いテーマに対応できるところが当社の魅力ですね。旧来の価値観に固執せず、新しいトピックやキーワードにも敏感に反応することができます。自らの挑戦によって、さらに幅を押し広げていきたいと思っています。

※ 記載内容は2023年12月時点のものです

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