持続可能な社会への貢献——脱炭素の実現をめざすコンサルタントの想い

2024年2月

サステナビリティコンサルティング第1部 主任コンサルタント

野原 珠華

サステナビリティコンサルティング第1部 コンサルタント

遠藤 啓史

世界共通の課題である地球温暖化への対応。そのひとつである脱炭素への取り組みが、さまざまな角度から検討されています。今回は、脱炭素化に資する次世代エネルギー技術分野で調査・コンサルティングを行うみずほリサーチ&テクノロジーズの野原 珠華と遠藤 啓史の2人が、脱炭素への想いと今後の展望を語ります。

世界共通の問題に取り組む。最新の動向を探りながら、脱炭素実現をめざす

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▲サステナビリティコンサルティング第1部 主任コンサルタント 野原 珠華

世界各国が脱炭素化への対応を進める中で、日本政府は、2030年までに温室効果ガスの排出量を2013年度比46%削減、2050年までにカーボンニュートラル実現を目標として掲げています。

野原と遠藤が所属するサステナビリティコンサルティング第1部エネルギービジネスチームでは、そうした社会的背景の中、脱炭素に向け官民両軸で、電力ビジネスや脱炭素燃料などの次世代エネルギーに関わるコンサルティングを行っています。

野原:私たちのチームは、電力や燃料といったエネルギーの生成において、二酸化炭素をどのようにして排出しないようにするか、もしくは排出した二酸化炭素をどのように削減するかを考えることがメインです。

わかりやすい分野で言えば、太陽光や風力などの再生可能エネルギーも私たちの領域。そのような領域に関する、国内外の技術開発や市場・政策動向の調査、事業化支援のコンサルティング、ライフサイクルでのCO2排出量の分析・評価に係るコンサルティングに従事しているという現状です。

その中で、私は官公庁や民間企業を対象に「CCUS(Carbon dioxide Capture,Utilization and Storage)」という技術を中心に担当しています。発電や工場から出る排ガスに含まれる二酸化炭素をそのまま外に出すのではなく、貯蔵して地下に埋めたり、別の製品に変換したりを試みています。

一方、遠藤が専門とするのは、二酸化炭素を排出しない水素やアンモニアなどの次世代燃料。

遠藤:水素やアンモニアは炭素を含まないため燃料として利用した際に二酸化炭素を排出しないというメリットがあります。ただし、現状普及していない理由に、多数の課題があります。

こうした課題に対する技術開発の動向や政策動向の調査やライフサイクルでのCO2排出量やコストの分析を行っています。

お客さまである官公庁や民間企業が求める情報を調査し、最新動向を整理してお伝えしたり、お客さまの抱える本質的な課題を探り、効果的で実効性の高い提案をしたりすることが業務となります。結果的に、継続してより良い社会やお客さまのビジネスをデザインできるように動くことが求められます。

社会全体への貢献度が高い分、専門性も高度になる分野。常に世界の最新の動向、情報にアンテナを立てる必要があります。

野原:今後の社会の動向として、エネルギーの使用量は増えていく傾向が考えられます。気候変動対策とビジネス、実現可能な社会導入をどう両立させていくのか。私だけでなく、社内外の関係者と一緒に大きなチャレンジをしていることが大きなやりがいです。

遠藤:脱炭素はとても難しいチャレンジです。産官学連携して、コスト面や実現可能性、日々変化する市場動向を加味し、脱炭素に向けて動く。民間だけでも、政府だけでもできないことをお互い協力しながら進めていかなければなりません。

その中で、私たちは動向を探りながら次の一手を提案し、官民を支援させていただいています。見えづらい部分ですが、結果的に社会に大きなインパクトを残せる点でやりがいを感じています。

若手から裁量を任せられる風土。やりたいことを実現できる環境が入社の決め手

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▲サステナビリティコンサルティング第1部 コンサルタント 遠藤 啓史

野原、遠藤はともに大学で工学系の領域を専攻。その後に進学した大学院ではエネルギーに関わる研究を行っていました。

野原:大学時代は、化学システム工学科に所属していました。学部で環境問題を考える授業があり、エネルギーと環境問題の解決をどう両立させるのかを考えるきっかけとなりました。

そこから、エネルギーへの関心が高まり、大学院で環境システム学を専攻。電力需給の予測モデルを作る研究を行っていました。

遠藤:私は、エネルギー科学研究科に所属していました。研究は、プラスチックゴミを破砕して、水素を製造できないかという研究をしていました。

将来の道を考えた際、この分野を広く見て、さまざまな立場の方と関わりながら成果を出すことができる領域に挑戦したいと考え、就職先を選びました。

みずほリサーチ&テクノロジーズへの入社を決めた背景には、風土の魅力があったといいます。

野原:就職活動は、環境とエネルギーという軸は決まっていたのですが、業界は絞っていませんでした。

そんな中で、さまざまな会社のお話を聞いて、自分の特性を振り返った時に、多くの関係者と関わりながら多くの方のサポートができる、支えられる業界が合っていると感じました。そこで、シンクタンク・コンサルティングに絞っていったという経緯があります。

さまざまな企業を見る中でこの会社を選んだのは、組織風土の魅力。見ていた業界は、どちらかというと個人プレイというイメージがありました。ですが、みずほリサーチ&テクノロジーズは、チームで協力してプロジェクトを進める傾向にあり、それが自分に合っていると感じたのです。

遠藤:私も同じく、風土の面で魅力を感じました。年齢問わずに意見を尊重し、自ら手を挙げれば裁量を任せてくれる環境なのだと聞き、ここで挑戦したいと思いました。

遠藤が就職活動で感じた通り、入社後は責任ある業務にもトライできる環境があったといいます。

野原:1~2年目は幅広い分野で業務を経験しようという流れがあります。研修を終え、最初の数カ月は、OJTと一緒に業務を進め、議事録の取り方や資料作成などの基礎的なことを行います。

そこからのスピードは速く、1年目の終わりには、プロジェクトリーダーを経験させてもらいました。いきなりだったので不安が大きかったのですが、OJTの先輩を含めチームの方がサポートをしてくれる体制が整っていることで、大きな問題なく終わらせることができました。

遠藤:若手の段階から責任ある業務を任せてもらえることは、大きな成長につながっていたのかなと思います。私も、1年目の終わりにはプロジェクトリーダーを経験しました。早々に実戦経験を積むことで、成長の速度が速まったと感じています。

また、私も野原も社内の「チャレンジ投資」という制度を使って、新たな事業を考えたり、最新の市場を調査し、情報発信をしたりという試みにも挑戦しました。実際に、その時の成果は案件に活用したり、提案に組み込んだりすることもできました。

やりたいことが実現できる環境や制度があることが大きな強みです。就職活動の時に感じたことは間違っていなかったと、入社してあらためて感じているところです。

必要なのは、事業と技術の二方向からの視点

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民間企業における新規技術開発や新規事業のサポートのほか、官公庁における政策の立案に際し、エネルギーの専門家としての視点を持ってコンサルティングを行う機会が多いという両名。

野原:実際に技術や事業を展開する方たちがその作業に集中できるように、市場動向や二酸化炭素削減の分析・評価などのサポートを行います。国の補助を得ながら新規技術の開発・実証を行うお客さまの場合、もしくは官公庁の案件だと、通常でも2~3年、長い場合は5年単位で一緒に動くこともあります。

そんな中で、支援をしていた民間企業の技術開発事業の実施が決まり、プレスリリースされたときは嬉しいと感じますね。そうやって長い年月をかけて、すべての技術が集約されていく過程はとても感動します。それは、どの案件においても共通して心に残る瞬間です。

遠藤:民間と官公庁で、案件のスピード感は異なる部分があります。民間企業のお客さまだと、やはり早く結果が欲しい。会社の事業や決算のタイミングなどで、早い場合は2~3カ月ほどのプロジェクトもあります。業務の進め方で、官民の違いはあるのかなと感じています。

実際に技術を社会的に適応させていくのには、さまざまな壁があります。

野原:そもそも技術自体の普及には膨大なコストがかかる場合がほとんど。加えて、製造過程、製品の使用時、すべての工程を鑑みて、二酸化炭素を軽減させる必要があります。

製品は、二酸化炭素が出ないものでも、その製造工程で既存のものより排出量が多ければ意味がありません。すべての状況を理解しながら、コストと製造の落としどころを探る。事業目線と技術普及目線で、全体を俯瞰して見ることが大切なことだと考えています。

また、官公庁向けでも民間企業向けでも、お客さまにとって何が必要な情報で、どういうふうに伝えるとより役に立つ調査になるのか。その結果が、その後のお客さまのどのようなアクションにつながっていくのかを丁寧にヒアリングし、ともにディスカッションして考えていくことを、仕事をする上では大事にしているところです。

遠藤:新技術の調査などは、市場性を含め不確実な部分が拭えません。そこを加味した上でそのトレンドを含め、情報ソースを集め、コンサルティングをしていく必要があります。どう根拠を持たせるのか、説得材料をそろえるのかは重要なパーツです。

日々アップデートされる分野なので、そこに興味を持って、楽しく学びながら進めることも重要だと思います。

講演や寄稿などさまざま方法で発信。個人のプレゼンスも高められる環境

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市場動向を常に拾っている立場だからこそ、それに関わる情報発信にも力が入ります。

野原:動向をインプットするだけではなく、チームとして、外に発信していくこともひとつの命題として挙げられます。お客さまのニーズに応えるだけでなく、自ら社会として必要な情報を届けていく。

私自身も、2020年に「CO2有効利用(CCU)の国内外の動向」という題で、レポートを出しました。それがきっかけで、その分野の講演依頼がきたりすることにもつながります。

また、経済産業省直下機関であるNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)という、エネルギー・環境分野と産業技術の技術開発の推進を担う部門で、事業内容や申請企業の審査委員を担う機会をいただきました。

遠藤:私も、講演や寄稿などをさせてもらっています。自社としても、どんな取り組みを行っているかの広報活動にもなりますし、自身のプレゼンスをあげることにもつながっています。

その第一歩としては、社内で何かの分野の専門家になること。そこから、社外に対しても専門家という形で、認知されていけると良いのかなと思います。

若くしてプロジェクトリーダーも務める両名に、今後の展望を聞きました。

野原:変わらず、お客さまのニーズを把握して、価値を提供することは必須。その上で、現在のCCUSという縦軸の専門領域を深掘りしつつ、横軸で事業化支援などの知見を広げていきたいと考えています。

2023年11~12月にかけては、ドバイで開かれる気候変動に関する国際会議「COP28」に参加させてもらいます。さまざまな団体が参加しているので、その場でディスカッションしながら、生で動向を見てきたいですね。

遠藤:先ほど述べたように、脱炭素社会の実現は課題が多い分野です。

現在、私は水素やアンモニアを担当していますが、CCUS、バイオマス、電化、脱炭素化の対応策はいろいろ存在し、検討すべき対応策はお客さまごとに異なります。複雑化しているからこそ、さまざまな技術を把握しながら、社会実装につながる方法を多方面から判断して、提案していきたいと思っています。

社会実装には投資が必要となります。当社は銀行グループにも所属していることからファイナンスの知識は得やすく、グループ内の知見も活用しやすい環境にあります。そういった知識と経験の幅やつながりを広げていくことが直近の目標です。

社会的な意義が高い領域で、やりたいことが実現できるみずほリサーチ&テクノロジーズ。実戦経験を経て、専門性を高めていったメンバーがそろいます。

※ 取材内容は2023年11月時点のものです

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