「教員が必ず育つ赴任経験」を目指した研修モデル開発に関する事業報告書を公開
東京都利島村における離島型教育DXの取組を支援
2024年8月8日
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
東京都利島村教育委員会
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社(代表取締役社長:吉原 昌利、以下「みずほリサーチ&テクノロジーズ」)は、昨年度文部科学省の公募事業である「教員研修高度化支援教員研修の高度化に資するモデル開発事業」に採択された東京都利島村教育委員会より業務委託を受け、村特有の成長環境を活かし「教員が必ず育つ赴任経験」を目指した教員研修モデルの開発に関する調査研究の支援を行いましたので、ご案内します。
主な事業成果は、以下の2つです。まずは、「アクションリサーチ」と呼ばれる方法論を用いた教員研修のプログラムを作成・試行し結果を取りまとめたことが挙げられます。現地で教壇に立つ、延べ10名程度の教員に協力いただき、およそ半年間プログラムを試行し、結果をふまえ、今後のプログラムの在り方について、研修目的から使用する教材(アクションリサーチフォーマット)まで様々な観点を以て整理を行いました。
そして、教員研修の実践も含んだ東京都利島村としての「教員の赴任経験」の効果を可視化するための方法論として「教育成果指標リスト」「教員の資質能力向上に向けた行動チェックリスト」とされる2つの「見える化」リストを作成したことが挙げられます。文部科学省より公表される次期教育振興基本計画(答申)にて公表される指標(例)や、東京都にて公表される教員として期待する資質能力等を参考に、東京都利島村としての教育方針をふまえ着目すべき指標の抽出・整理を行いました。
図 利島訪問およびリモートでの研修実施の様子
背景および弊社役割
東京都利島村は、東京都伊豆諸島にある人口約300人の小離島であり、小学校・中学校が施設併設で設置されています(今年度からは伊豆諸島初の義務教育学校へ移行)。児童生徒数は約30名、教職員数は約25名(事務職員・栄養士含む)となっています。教育委員会としては、こうした環境に身を置く教員にとって、居住地も変わり、極小規模(最大5人程)のサイズの学級を受け持つといった挑戦的な赴任経験こそ、自らの教職観を捉え直す契機となり得ると考え、文部科学省事業に応募し、採択を受けました。
一方で、教育委員会は教育長・事務局2名の3人構成となっており、指導主事の配置がない等、体制に課題があります。そこで、調査研究の実行支援として、教育DXに関する知見・ノウハウを有す、みずほリサーチ&テクノロジーズに業務委託がありました。
今回みずほリサーチ&テクノロジーズは、本事業推進に必要な専門性を最大限発揮できるよう、部横断の体制を組みました。デジタルコンサルティング部では、自治体における教育データ利活用推進のための知見や関連動向を中心とした、教育DXに関わる事業に複数年携わっています。また、社会政策コンサルティング部では、人材・雇用・地域・EBPM(エビデンスに基づく政策立案)・統計データの利活用といった知見を豊富に有します。こうした両部の専門性を活かし、事業取りまとめに向けた支援を実施しました。
報告書の概要
本報告書では、前述の2つの事業成果について整理しました。主なポイントは以下の通りです。
アクションリサーチを取り入れた教員研修プログラムの作成、試行
2023年10月以降、およそ半年間かけ10人程の教員に協力をいただき、研修プログラムの試行を実施しました。具体的には、アクションリサーチの手法を応用し、教員自身が深めたい課題意識・教員としての在り方等をリサーチテーマとして設定し、リサーチを深めるための検証方法(有識者へのヒアリング等)を設計し、設計した検証方法を実践した上で、振り返りを行いました。みずほリサーチ&テクノロジーズは、研修プログラムの作成、実行支援の事務局、および実施後参加した教員の感想もふまえ研修プログラムの改善すべき点を含む取りまとめを担当しました。特に、従来まで行われていた研修とは異なり、オンライン会議ツール等も積極的に活用することで、リサーチテーマに関連する有識者へのヒアリング等検証方法を、教員の関心に合わせたプログラムの設計を目指しました。
図 教員研修プログラムの実施フロー概要
教員研修プログラムの教材としてアクションリサーチフォーマットを作成
教員研修プログラムを実施した際に使用した教材として、有識者からの意見も参考にしつつ、リサーチテーマの設定から振り返りまで一気通貫で行える様式を作成しました。様式は、研修参加者の教員にとってより使いやすい教材とできるように、研修初期に設定するリサーチテーマの粒度ごとに使用する教材を複数パターン準備しました。本フォーマットを作成したことで、事業完了以降の東京都利島村にて研修プログラムを継続実施や、他自治体への成果普及展開に寄与することが期待されます。
図 作成したアクションリサーチフォーマット概要
教員の赴任経験の効果を可視化するための指標として「見える化」リストを作成
「教員の赴任経験」の効果を可視化するための方法論として、文部科学省より公表される次期教育振興基本計画(答申)にて公表される指標(例)もふまえ、今後東京都利島村にて策定・実施される「教育振興基本計画」や学校・教員の取組において、目標設定の目安やPDCAの指標として活かせるような「土台」としてのデータブックとして利用可能な指標リストを作成しました。
図 作成した「教育成果指標リスト」の位置づけ
詳細については、報告書および別添資料をご覧ください。
本件に関するお問い合わせ
報道関係者からのお問い合わせ
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
広報室 木原
E-mail:info@mizuho-rt.co.jp
電話:03-5281-7548
本事業・報告書に関するお問合せ
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
デジタルコンサルティング部
伊澤、高橋
電話:03-5281-5430
社会政策コンサルティング部
森安、風間
電話:03-5281-5277