みずほリサーチ&テクノロジーズ デジタルコンサルティング部 鈴木 大介
おわりに
気象庁が発表する富士山の動向において、噴火を懸念するような状況は2023年3月初旬の時点では確認されておらず、富士山噴火は喫緊のリスクであるとはいえない。しかし、過去の大噴火(宝永噴火、1707年)は、南海トラフ地域を震源とする大規模地震(宝永地震、1707年)の49日後に発生しており、30年以内に70~80%で発生するとされている南海トラフ地震が発生した場合に、連動して噴火することは十分に考えられる。
日本の象徴として壮大な姿を見せる富士山だが、ひとたび牙をむけば、遠く離れた首都圏にも影響を及ぼし、企業活動に多大な被害を与える存在となる。「遠くの災害」「いつ起こるかわからない災害」と、他人事のように捉えるのではなく、万が一噴火した場合に、自社にどのような影響が生じるか、業務を継続するためには何が必要か、改めて確認しておくことが望まれる。
注
- *1)富士山ハザードマップ(静岡県)
- *2)中央防災会議 防災対策実行会議 大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ「大規模噴火時の広域降灰対策について ―首都圏における降灰の影響と対策― ―富士山噴火をモデルケースに―(報告)」(PDF/4.100KB)
- *3)万一の際の備えとしての計画停電の考え方について(電力広域的運営推進機関)
- *4)計画停電について(東京電力パワーグリッド)
- *5)地震・津波と火山の監視 火山の監視(気象庁)
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